「いつもどこか調子が悪い」ことがデフォルトの日々をどう過ごすか【#40代のリアル】

 「いつもどこか調子が悪い」ことがデフォルトの日々をどう過ごすか【#40代のリアル】
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井上敦子
井上敦子
2024-03-08

いつもどこか調子が悪い。更年期にいる同世代の女性とよくよく話してみると、多くの人がそんな風に感じているようです。私もその一人です。快晴の日のように晴れやかな体調の日はごくわずかで、いつもどこかに不調を抱えている。それでもそれが大きな不調でない限り、「何でもない」顔をしながら生きている。今回は、どこかに不調を抱えながら生きる更年期世代の私たちのことを、深掘りしていきます。

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更年期は病気ではないから「しんどい」と言いにくい

私は職業柄、ヨガクラスにいらっしゃる同世代の方々に、体調についてお話をする機会が多くあります。すると更年期世代は、ほとんどの人が何かしらの不調を抱えているということに気がついくのです。訳もなくイライラする、不眠が続いている、落ち込むことが増えた、生理が不順・・・そんな悩みを持ちながらも「しんどい」とは言わず、何でもない顔をしながら(おそらく少し無理をしながら)日々を過ごしている人たち。周りからは健康に見えても、本人しかわからない不調や悩みを抱えている場合が本当に多いのです。

更年期にまつわる不調は病気ではなく、生理現象である。そんな認識が社会にはあるから、辛い状況を声にすることにためらいがあるのかも知れません。または、「しんどいけれど病気ではないから、我慢しなくては」と周りに見せないようにしているのかも知れません。いずれにせよ、こちら側が体調を尋ねるまでは、辛い状態にあるのだということを周囲には見せないようにしている人が、とても多いように思います。

更年期に入った自分を受け入れられていますか

40代はいわゆるプレ更年期から、本格的な更年期に移行していく時期です。そのため、まだ更年期に入った自分を受け入れられないという場合もあるでようです。まだ若くいたい、年齢を重ねるのが怖い、そんな気持ちがあるのかも知れません。そんな心の葛藤が、辛い状態を表に出さないことの根底にある。しかしながら、おそらくこの更年期への移行期間に一番大切なことは、まず自分自身のありのままを受け入れることなのではないでしょうか。

自分の身体や感情の変化に敏感に気づき、その変化を受け入れる。これは多くの人が苦手としていることだとヨガ講師の立場から見ていて思います。ネガティブな感情や身体の変化は見たくないからです。見なかったことにしたいし、理想の自分の姿と今の自分のギャップに気がついていても認めたくない。

それでも、「今の自分」を丁寧に観察し、変化を受け入れられているか?自分の身体や心を大切に扱えているか?を自問してみることが、プレ更年期から更年期に移行する時期にはとても大切なことだと感じています。そして、「今の自分」をまるっと受け入れる覚悟のようなものを持つ。そうすることによって、辛くしんどい自分にOKを出すことができ、結果的に周囲の人に対してもヘルプのサインを出せるようになるのではないでしょうか。

今こそ、人と比べない生き方を

また、他人と比べてしまうというのも、辛さを助長させてしまう要因です。人間は社会性を持つ生き物なので、人と比べることは当たり前のことです。ですが、人と比べることは、ストレスや不安を生み出すことになってしまう。ことに精神的に辛い状態を経験しやすい更年期においては、人と比べないということが、日々を心地よく過ごす鍵となるような気がしています。

更年期の症状にも個性があり、その症状が重い人もいれば軽い人もいます。自分の身体や心に起こる変化は、それぞれ個人の経験であり、比べることを通じで得られるものはありません。更年期の辛い症状や悩みを抱えている時に他人と比べてしまうと、自分が不足していると思い込んでしまうかも知れません。そんな時こそ、人と比べない生き方を選んでいける絶好の機会なのではないでしょうか。

この先の人生を更に自分らしく生き、本当の意味で精神的に自立をしていくために、この更年期という時期はとても良い機会なのだと思います。立ち止まり、自分を見つめ直し、受け入れる。そういった過程を経て、人間としてまた一つ成長できる時期なのだと考えています。今抱えているしんどさ、辛さはきっと何かを生み出してくれるはず。今の自分のことを受け入れる勇気を持って、不完全たど感じてしまう部分も慈しみながら、前向きにこの時期を乗り切っていきたいものです。

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井上敦子

井上敦子

15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。



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