「ぐっすり眠りたい…」40代女性を安眠に導くヨガ的アプローチとは #40代のリアル

 「ぐっすり眠りたい…」40代女性を安眠に導くヨガ的アプローチとは #40代のリアル
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井上敦子
井上敦子
2024-12-04

40代に多くの女性が経験する、様々な身体的・精神的の変化。その中でも特に悩ましいのが「睡眠」にまつわる問題ではないでしょうか。更年期を迎えるこの年代では、ホルモンバランスの乱れが引き金となり、不眠や浅い睡眠に悩まされることが増えます。私はもともと若い頃から睡眠の問題を抱えていたのですが、40代に入って更に眠りの質の低下に悩むようになりました。これが結構辛いのです。今回はそんな40代女性が抱える睡眠のお悩みに、オススメしたいヨガ的アプローチをご紹介していきます!どの方法も気軽に試せるものなので、ぜひ日々のルーティーンに組み込んでみてくださいね。

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ホルモンバランスの変化が睡眠にも影響する

更年期に差し掛かる40代は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が低下し始める時期です。このホルモンの変化が、睡眠に影響を与えることが知られています。ホルモンバランスの不均衡は、「ホットフラッシュ」や「ナイトスウェット」を引き起こし、これが睡眠の質を低下させる原因となります。私はホルモン補充療法(HRT)で女性ホルモンを補っているのですが、それでも睡眠時に異常に汗をかいたり、ホットフラッシュで入眠が難しいということが増えました。そんな夜はどうしたってイライラしてしまうのもです。

また、これらのホルモンの変化は、精神を安定させる作用がある脳内の神経伝達物質であるセロトニン量に影響しています。このエストロゲンの低下は間接的にセロトニンの減少を引き起こし、その結果、セロトニンを原料として脳内でつくられる睡眠ホルモン「メラトニン」が不足して睡眠の質が低下する可能性があるとのこと。精神の安定に関わるホルモンの低下が、睡眠のホルモンの不足をも招いてしまうのですね。

ストレスケアは後回しにしない

安眠が妨げられる要因は、身体的なものだけではありません。精神的なストレスや不安も、不眠を悪化させる要素です。女性ホルモンの分泌をつかさどる脳の視床下部という部分は、心身両面のストレス反応にかかわる中枢でもあります。そのため、ストレスケアがうまくいかないと不調の度合いが重くなることも少なくありません。

更年期という身体的変化が大きい時期には、ストレスケアがいかに重要かということが分かりますよね。身体も頑張っている、心も頑張っている。それが更年期に差し掛かった40代女性の現実です。私はここ最近、「身体も心もデフォルトで頑張り続けている!」ということを念頭におきながら、自分のケアをしています。以前は頑張れない時の自分を責めてしまっていたのですが、今は頑張れない時の自分も、身体と心は頑張ってくれているのだと受け入れられるようになりました。その上で、必要なケアをしていくことが大切だと感じています。きっと今は、自分を甘やかして良いし、優しくしてあげるべき時期なのです。睡眠の悩みを抱えている皆さま、自分に優しくしてあげることを忘れずに。そして、これからお伝えする安眠に導くヨガ的アプローチを試してみてくださいね。

①シャヴァーサナで深くリラックスをして安眠へ

「シャヴァーサナ」(死体のポーズ)は、ヨガのポーズの中でも最も難しいポーズだと言われます。横になるだけでポーズが完成するわけではなく、ポーズ中の意識状態やいかにリラックスできているか?が問われるからです。

シャヴァーサナは、心身の緊張を解放するのにとても適しています。寝る前の5~10分間、このポーズでリラックスすることで、ストレスを軽減し、心の安定を図りましょう。 シャヴァーサナ中に思考が忙しくなりやすい人は、吐く息を口から大きく吐きながら「思考を手放す」ことをイメージしていきます。心に不安があったりストレスを感じている人も、同様の方法で不安やストレスを外へと手放していきましょう。「身体が重たい」と感じようとすることも、リラックスを深めるポイントです。

最初は落ち着くことが難しくても、練習していくうちにこのポーズのコツが掴めて、リラックス上手になっていくはず!ヨガを練習している人は特に、最も難しいポーズといわれるシャヴァーサナを深める良い機会なので、毎晩のシャヴァーサナを習慣にしてみてくださいね。他のポーズの練習をしなくても、シャヴァーサナ単体でも練習することはできます。

②ナディ・ショーダナ(片鼻呼吸)でバランスを整え安眠へ

ナディ・ショーダナ(片鼻呼吸法)は、一方の鼻から息を吸い、もう片方の鼻から息を吐き出す呼吸法です。ナディはエネルギーの通り道、ショーダナは浄化という意味があります。

ヨガでは、右の鼻は交感神経を司り、反対に左の鼻は副交感神経を司ると考えられています。片鼻ずつ呼吸を行うことで、更年期に乱れやすい自律神経のバランスを整えることが期待できます。自律神経のバランスを整え、安眠体質を手に入れましょう。

ナディ・ショーダナ(片鼻呼吸法)を行ってみよう!

  1. 右手の人差し指と中指を折り曲げ、手のひらが内側に向くように顔の前へ
  2. 一度息を吐き切り
  3. 親指で右の鼻を押さえ、左の鼻から息を吸う
  4. 吸い切ったら、薬指で左の鼻を押さえ、親指を放し、右の鼻から吐く
  5. 吐き切ったら、そのまま右から吸う
  6. 吸い切ったら、親指で右の鼻を押さえ、薬指を放し左の鼻から吐く
  7. 吐き切ったら、そのまま左の鼻から吸う、ここからは繰り返し

最初は5往復を目安に行い、慣れてきたら心地のいい回数繰り返し行ってみましょう。

自分の心地のいい呼吸のペースで、肩や顔の力を緩ませながら行います。呼吸が浅くても、どちらかの鼻の通りが悪くても、ダメだと決めつけずに優しい気持ちで行うのがポイントです。

③筋弛緩法で安眠へ

「眠らなきゃいけない」。そんな思いが力みとなり、かえってリラックスや安眠から遠のいてしまうこともあるものです。そんな時は、リラックスの対極にあるものに目を向けてみるのも一つの方法です。つまり、いったん緊張を自らつくり出してみて、リラックスしていくのです。

緊張と弛緩(リラックス)は、対極にある状態。ヨガの考え方では、対極にある二つのものが、お互いを支え合う存在であると教えます。例えば、陰と陽。陰があるから陽が存在し、そのお互いの存在を認識することができます。筋弛緩法は、あえて身体に力を込めて緊張を認識することで、弛緩(リラックス)に導いていきます。

筋弛緩法を行なってみよう!

☆各部位にぎゅーっと力を入れた後、だらっと脱力します。

  1. 両手 手の平を上にして両腕を伸ばし、手のひらをギュッと握る(10秒間緊張)→手のひらをゆっくりと広げ、手のひらから脱力(15~20秒間)
  2. 両腕 げんこつを作り、脇を締めて両腕にギュッと力を入れる(10秒間緊張)→両腕から脱力(15~20秒間)
  3. 肩 両肩をグッと上げ、耳まで近づけて力を入れる(10秒間緊張)→ストンと肩を落とし脱力(15~20秒間)、耳と肩を離す。
  4. 顔 目と口をギュッとつぶり、顔全体を顔の中心に集めるように力を入れる(10秒間緊張)→ポカンと口を開けて脱力(15~20秒間)
  5. 腹部 お腹に手を当て、お腹をへこませる。吐きながら更にお腹をへこませる(10秒間緊張)→お腹を緩めて脱力(15~20秒間)
  6. 両脚(かかと) かかとを蹴り出し、両脚に力を入れる(10秒間緊張)→脱力(15~20秒間)
  7. 両脚(つま先) つま先を伸ばし、両脚に力を入れる(10秒間緊張)→脱力(15~20秒間)
  8. 全身 これまでに緊張させたパーツ全ての筋肉に力を入れる(10秒間緊張)→全身から深く脱力(15~20秒間)

 

更年期に差し掛かる40代は、新たな人生のステージでもあります。心身の変化に向き合い、自分自身を労り大切にすることが、安眠への第一歩です。思い通りに眠れない自分を責めることはしないでください。日々のルーティーンにリラックスできるような要素を取り入れ、自分自身を愛する時間を持つことが、心地よい眠りへと導いてくれるでしょう。完璧を目指さず、まずできることから行なってみてくださいね。

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AUTHOR

井上敦子

井上敦子

15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。



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