京都で出合い直したクラシカルホメオパシーの世界 2)ホメオパシーとはいったいどんなもの?


女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。
さて、ここで、ホメオパシーとはどんなものか。簡単に書くのはとても難しいですが、書いてみたいと思います。
ホメオパシーの父とされるのは、ドイツ生まれのクリスチアン・フリードリヒ・ザムエル・ハーネマン博士。18世紀後半から19世紀前半にかけて生き、医者でもあった彼によって発見され、編み出されたのがホメオパシーです。療法としては、もとの物質がほぼなくなるまで薄め、エネルギーを転写した小さな砂糖玉(レメディ)を患者の舌下で舐めさせたり、レメディ溶液を摂取させたり、嗅がせたりするだけ。でも、合うものを摂った人は、バイタルフォース(生命力)が上がり、自然治癒力のスイッチが入って、結果として、健康に近づいていくわけなのですね。最近は、ホメオパシーの原理にもとづいたナチュラルな海外製品も、「i Herb」などで販売されているので、ずいぶんと手に入りやすくなりましたから、ご存じの方も多いと思います。

高熱が出ている人には高熱を引き起こすベラドンナというレメディ。また、喉が渇き、あっちこっち乾燥して痛みも出て、コロコロとした便が出るなどというときは、そうした症状を引き起こすブライオニアというレメディ。このように、「似たものは似たものを癒す」というのがホメオパシーの考え方の基本です。レパートリーというホメオパシーの辞書のようなものはありますが、症状だけを見るのではなく、根っこにある感覚は何だろうと言うように、レメディの全体像やエネルギーを理解することが欠かせません。
ホメオパシーでは急性症状と慢性症状を分けて考えるので、急な体調不良なら、わたしが専門コースで2年、学んだ程度の、50〜60種類のレメディで、ほぼ癒せるのですが、ホメオパシーのシングルレメディは何百、何千とあります。そのなかから、より複雑な慢性症状を癒すレメディを見つけるには、専門家(ホメオパス)の助けがないと、太刀打ちできないわけですね(もちろん、基本的なレメディが慢性症状に合うということも多いのですが)。
自分の話に戻ると、「クラシカルホメオパシー京都」の専門コースにいつかは復学したいと書きましたが、ホメオパシーは、学校を卒業後も、研鑽を積んでいかないといけない種類の学びですから、もし他者を見ようとするなら、先は長いですね。今のところ、仮に資格を取ったとしても、ホメオパスとして開業するつもりはないのですが、運の基盤は、健康にあります。家族や友人が元気でいてくれることが自分にとっても幸せであると実感するようになってきた今は、学校に戻るか戻らないかは別として、じっくりと学び、自分や周囲のケアをしながら、ホメオパシーを使う感覚を養っていきたいなとは思っています。

このように、セルフケアはできるようになっても、他者を診るというハードルはすごく高いのがホメオパシー。またほとんどのホメオパスは、カウンセリングによって、クライエントに合うレメディを見極めていくため、「自分で自分の不調を見極めて、言葉にできるかどうか」、また「信頼できるホメオパスに出合うかどうか」で、ホメオパシーの体験がまったく違うものになってしまうところがどうしてもある。それは、漢方などでも同じだと思いますが……。
西洋医学のドクターの知人から聞いて、なるほどと思ったことは、「自分が不調であると気づき、どう不調であるかを明確に言葉にできるというのは、とても知的レベルが高いことで、そもそもできる人が少ないのだ」ということでした。ホメオパシーが日本でなかなか広がらない理由は、そこにもあるのだと思います。
→【記事の続き】京都で出合い直したクラシカルホメオパシーの世界 3)相性の合う出会いまではホメオパスジプシーに、はこちらから。
文/Saya
東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『わたしの風に乗る目覚めのレッスン〜風の時代のレジリエンス』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram @sayastrology
写真/野口さとこ
北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
ホームページ satokonoguchi.com
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