京都で出合い直したクラシカルホメオパシーの世界 6)世界のホメオパシー事情【ドイツ語圏編】

 京都で出合い直したクラシカルホメオパシーの世界  6)世界のホメオパシー事情【ドイツ語圏編】
写真/野口さとこ
Saya
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2025-02-12

女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。

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次に、オンラインでお話を伺ったのは、オーストリア在住のホメオパス、リンディング戸井みちよさんです。ご存じの通り、EUではドイツ、オーストリア、スイス、アルザスなどにドイツ語圏が広がっています。ホメオパシーが生まれたドイツを中心に、ドイツ語圏ではホメオパシーが広く使われている印象がありましたし、オーストリアのウィーンやザルツブルクに旅したときなど、ホメオパシー薬局が街のあちこちにあるのを見かけたものでした。

「その通りですね。ホメオパシー薬局もたくさんあるし、コンビネーションレメディやホメオパシーにもとづいたナチュラル製品なども、田舎のどんな小さな薬局でも買えます。ただオーストリアでは他のドイツ語圏同様、ホメオパシーは医学なので、基本は、医師が処方するものなんですが、薬剤師のカリキュラムにもホメオパシーが組み込まれているので、薬局のカウンターで気軽に相談できます。その他には助産師もお産まわりは処方していいとされています。

わたしは国際結婚で、2012年に、オーストリアに。もともと英国認定ホメオパスの資格は取得し、日本で開業していましたが、医師ではないため、オーストリアでは開業できないのではないかと悩んだ時期もありました。それが2019年にヒューマンエネルギーワーカーという職種を知って。オーラソーマカラーセラピーやキネシオロジーなどと同じジャンルですが、エネルギーワーカーとして開業すると、ホメオパシー的なアドバイスができることがわかって、開業に至りました」

初めにみちよさんが開業したのは、赤ちゃんがいるような若い夫婦から老人まで、年代を問わずに住人が住んでいるコミュニティハウスと言われる集合施設内の助産センター。助産師や理学療法士、キネシオロジストなどがそれぞれ施術室を借りていたのだそうです。

「みなさんがクライエントさんを紹介してくれるので、お母さんたちの妊娠・出産のプロセスをサポートしたり、セルフケア講座をしたり。少しずつですが、理想の形で進んでこられました。わたしは日本で、子どもたちを助産院で産んでいて、お母さん、子どもたちの健康をサポートするのが夢だったので、求めていた場所に出会えたという喜びがありましたね。

初めの主訴は、身体的なことだけでも、信頼関係が築かれてくると、“実は母との確執があり苦しくて……”と、より深い、癒されるべき課題が出てきたりして、半年、1年と通われることになる方が多いです。またホメオパシーは、スイスは公的保険、ドイツやオーストリアではプライベートな保険がカバーしているんですね。保険にもよりますが、40〜50パーセントくらいは補助が出ます。その分、本格的なホメオパシーは、専門家に見てもらうものという意識は強いかもしれません」

2020年のパンデミックをきっかけに、今度は癒し手ばかりが集まる集合施設に移転。現在は、ホメオパシー、ティッシュソルト(サプリメント感覚で使えるミネラルのレメディ)、バッチフラワーエッセンス、ジェモセラピーの4本柱で、自然療法士として活動しているそうです。

ホメオパシー

みちよさんのお話で印象的だったのは、クライエントに合わせた「ステージ処方(ステージ・フレームワーク)」という考え方。

「わたしのメンターのシルパ・ブラウスカーさんというインド人のホメオパシー医が提唱しているものです。このステージ処方では、クライエントさんがどのステージにいるのかで、コンサルテーションの手法や助けになるレメディが違うという考え方をします。ステージ1は、病名しか言えないような、自分の症状を表現できない人が対象。ステージ2は、どんなときに悪化するのか、好転するのかなど、自分の症状とつながりをもてている人。ステージ3は、この痛みがあるときに胸が苦しくなるとか、どこか狭いところに閉じ込められている気がするとか、心と身体のつながりが言える人です。ステージ4は、さらに深いところまで行っている、感覚を表現できる人ですね」

心と身体のつながりができていないステージ1や2の段階のクライエントさんから、無理やりステージ3の情報を聞き出そうとすると、カウンセリングが成立しないことも多いのは、ホメオパス・ジプシーをしていた身としてはよくわかります。尋問されたり、誘導されたりしている気がしてしまうこともあるほどでした。セッション自体が苦痛になってしまうと、信頼関係が結べないものです。

その一方で、ホメオパシーに慣れてくると、実際、エネルギーが地層のようになっているのも感じていました。上のほうが取れないうちに、下のほうのエネルギーのレメディを摂っても癒しは進まない。でも、上から順に進んでいくと、より深いところに届くようになり、パワフルな癒しが起こっていくのですね。

カウンセリングがブロックになって、効果が実感できるレメディに届かないというジレンマを、このステージ処方だったら、解消できるのかもしれません。

ホメオパシー

「その人が自己とつながれるようになると、そうしたホリスティックなジャーニーを共にできるんです。今後は、ステージ処方の講座ももちろんですが、イギリスのホメオパス養成スクールで学んだようなプラクティショナー・ディベロップメントの講座もやってみたいですね。あなたはどんな人をクライエントにしたいのか、どんなセッションをしたいのか、ジャーナルを書いて明確にしていき、自分の理想とする治療家に成長していくというものです。自分も試行錯誤した分、あとに続く人たちが理想のホメオパスになるお手伝いをしたいんです」

画面越しであっても伝わってきたのは、みちよさんの頭のよさと包容力、そして優しさです。ホメオパシーを学んでいる方たちのお手伝いをしたい、助けたいというお気持ちがとても強い。きっとよい教師のアーキタイプもある方なのだなあとお見受けしました。今後、本場であるドイツ語圏のホメオパシーを日本に伝えてくださる方だと思います。 

戸井みちよさんウェブサイト https://www.naturheilpraxis-cocokara.com/

→【記事の続き】京都で出合い直したクラシカルホメオパシーの世界 7)世界のホメオパシー事情【インド編】、はこちらから。

文/Saya

東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『わたしの風に乗る目覚めのレッスン〜風の時代のレジリエンス』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram     @sayastrology

写真/野口さとこ

北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
ホームページ satokonoguchi.com
Instagram  @satoko.nog

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