ご先祖さま探しで見つけた、京都・瑞泉寺との浅からぬご縁(2)秀次事件のお姫さまたちを癒さなくちゃ

 ご先祖さま探しで見つけた、京都・瑞泉寺との浅からぬご縁(2)秀次事件のお姫さまたちを癒さなくちゃ
Saya
Saya
2024-07-06

女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。

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(1)では、ご先祖さま探しのなかで、秀次事件にたどり着き、「河原で女の人と子どもが殺されていて、それがさやちゃんの血の呪いになっている」とあるヒーラーの女性に言われたことをお話ししました。

それが2010年の12月初旬のこと。近いうちに高野山に行かなくてはと思っていると、同じ月に翌年の大河ドラマ『江 姫たちの戦国』にちなみ、ねねさまの遺品が江戸東京博物館で展示されると言うのです。誘われるままに出かけた先で遭遇したのが秀次事件で殺された側室のひとりの辞世の句でした。身柄を預けられた京都の邸宅から三条河原まで、牛車で揺られていくなかで詠まれたもので、軸装はされていましたが、ドロドロとした怨念がいまだ染み出すようで、側室の方たちを供養しなければいけないとなぜか強く思ったのです。

野口さとこ

わたしが向かった先は、当時、取材を通じて、ご縁があったヒプノセラピストの大槻麻衣子さんとパートナーの大槻文彦さん。文彦さんはヒーラーで、先祖の浄化を得意としているとおっしゃっていたことを思い出したのです。おふたりのサロン、「大槻ホリスティック」にお邪魔する前日、書店で吸い寄せられるように見つけたのが『豊臣一族』という本でした。そこには秀次事件で殺された側室と子どもたちの名前が侍女まで含めて、列記されていました。

「あなただけのことではない。日本全体のことだから、お金はいただけない」と文彦さんが浄化してくださったのは、それから数週間後のこと。中目黒にあった和食のお店で楽しくごはんをいただいていたのですが、ふっと肩が軽くなった瞬間、「浄化が終わりました」と文彦さんからお電話をいただいたのです。 その後、わたしは「3月10日にここで、打ち上げをする」となぜか叫んでいました。また、これも理由はよくわからないながら、大学の研究者で、雑誌も作っていた店主の松阪や京都取材が翌週あると言うので、ライターとして同行することになりました。松阪経由で京都に入った翌朝、約束まで時間が空いたので、「京都で何かやるべきことはあったかしら」と考えをめぐらし、ふと思い出したのが瑞泉寺でした。殺されたお姫さまたちを豪商の角倉了以初め、京都の町衆が祀り、祈りを捧げてきたお寺があるとネットで読んで、いつか訪れてみたいと思っていたのですね。瑞泉寺の境内に立って気づいたのは、初めてではなかったことでした。

それより2、3年ほど前でしょうか、町屋を改装した木屋町の宿を取材した帰り、スタッフ全員でたまたま立ち寄った記憶がよみがえったのです。沖縄の聖地取材を初め、さまざま興味深い仕事を頼んでくれたKさんという女性と一緒でした。もちろん当時は、豊臣家と自分にご縁があるとは思いもしないので、「かわいそうなこともあるものだ」とお姫さまたちに同情しただけだったのですが……。先代のご住職ともお話しさせていただき、穏やかな時間を過ごしたのを覚えています。

野口さとこ

東京に戻ると翌朝、初めての本の出版の依頼が舞い込み、お姫さまたちからのプレゼントのように感じたものでしたが、3週間後、中目黒のお店で打ち上げをした翌日に東日本大震災。高野山への旅の予定も吹き飛んだうえ、思いもかけず、沖縄に移住することとなり、瑞泉寺とお姫さまたちとの縁は、いったんは途切れてしまうのです。

→【記事の続き】ご先祖さま探しで見つけた、京都・瑞泉寺との浅からぬご縁(3)木星がひとめぐり、三たび瑞泉寺へ、はこちらから。

文/Saya

東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『占星術ブックガイド〜アストロロジャーとの対話集〜』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram     @sayastrology

写真/野口さとこ

北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
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アストロロジー・ライター。東京出身、京都在住。早稲田大学卒業後、ライフスタイルの編集者を経て、アストロロジー・ライターに。「エル・デジタル」、「LEEweb」の星占いも好評。現在は、京都で夫と二人で暮らし、星を読み、畑を耕す傍ら、茶道のお稽古と着物遊びにいそしむ日々。新刊、『占星術ブックガイド〜星の道の歩き方、アストロロジャーとの対話集〜』(5500円/説話社)が好評発売中。



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