隣に貸し農園のあるマンションに引っ越して(1)憧れの夕飯の野菜を採りに行く暮らしがスタート
女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。
前回は週末有機農法の学校、「スモールファーマーズカレッジ」について書きましたが、学校は1年で終わり。圃場も返さないといけません。
農学校の1年で、初めての「生きものを育てる体験」に夢中になっていたわたしは、在学中から、京都市内で畑を探し始めていました。でも、ネックになるのは、車の運転ができないこと。左京区でも大原くらいまで行けば、貸し農園はあるのですが、交通の便がいいところではなかなかない。農協が管理している農園も見学に行きましたが、住宅地のなかの生産緑地なので、日照が悪いことも多い。学校の宇治の圃場のような、日当たりや風通しのよい、気持ちのよい畑にめぐりあえないでいるうちに、卒業の日が来てしまいました。
すっかり畑のある暮らしが身体になじんでいたのに、畑がない。2回目の京都の冬は、暗い気分だった気がします。また東京や沖縄しか知らない身体にはまだまだ京都の冬の寒さも堪えます。賀茂川べりの戸建ては、外と変わらないほどに冷えるうえ、40代後半にさしかかり、ホルモンバランスもおかしくなっているわたしにとってはつらい時期でした。
豊臣秀吉の時代の区画整理の影響とも言われますが、京都では東西に開口のある家が多く、南向きが意外と少ないのですが、この賀茂川べりの家も採光が今ひとつ。「南向きの、断熱がしっかりしたマンションに住みたい」と思うようになり、毎晩のように不動産屋のサイトをのぞくようになりました。
南に開口のある今のマンションの下見にやってきたのは、農学校を卒業して半年後の2018年2月のこと。バブル時代の建物で、鉄筋はしっかりしているのですが、内装はかなり古く、バスルームの壁はピンクのタイル。「日当たりはいいけど、ちょっと住む気にはならないかなあ」などと東の窓から下をのぞくと、眼下に貸し農園が広がっていたのです。
南を除く三方をマンションや大学などに囲まれているので、道路からは農園があることすらわからない。ちょろちょろと小川も流れており、「秘密の花園」のようでした。
「ここを借りよう」とすぐに心が決まり、引っ越したのは春分のこと。その後、畑の管理人のおばあさんに直談判。無事に区画を借りることができました。畑に行くのに車で30分とかだったら、続けられなかったと思いますが、夕ごはんを作る前にダイコンやニンジンを採りに行く。憧れていた暮らしが実現したのでした。
→【記事の続き】隣に貸し農園のあるマンションに引っ越して(2)手抜き農業でも、自分で作る野菜はやっぱりおいしい!、はこちらから。
文/Saya
東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『占星術ブックガイド〜アストロロジャーとの対話集〜』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram @sayastrology
写真/野口さとこ
北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
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AUTHOR
Saya
アストロロジー・ライター。東京出身、京都在住。早稲田大学卒業後、ライフスタイルの編集者を経て、アストロロジー・ライターに。「エル・デジタル」、「LEEweb」の星占いも好評。現在は、京都で夫と二人で暮らし、星を読み、畑を耕す傍ら、茶道のお稽古と着物遊びにいそしむ日々。新刊、『占星術ブックガイド〜星の道の歩き方、アストロロジャーとの対話集〜』(5500円/説話社)が好評発売中。
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