スモールファーマーズカレッジで農的暮らしを学ぶ(2) 代表の岩崎吉隆さんに話を聞いた

 スモールファーマーズカレッジで農的暮らしを学ぶ(2) 代表の岩崎吉隆さんに話を聞いた
Saya
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2024-05-23

女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。

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京都で出会うおもしろい人たちに改めて話を聞いてみたい、というのも今回の連載の動機のひとつ。「スモールファーマーズカレッジ」の圃場の実習や座学にはそれぞれ先生がいるのですが、代表の岩崎吉隆さんは左京区にお住まい。一度、じっくりお話を聞いてみたかったので、インタビューをお願いしました。

岩崎さんは京都市北区・鷹峯のお生まれ。大学までを京都で過ごし、学生時代にはアメリカ留学も経験し、卒業後は、ビル・トッテンさんというアメリカ人実業家のソフトウエア企業に入社します(ビルさんも京都にお住まい。アメリカ嫌いで日本が大好きというビジネスマンで、「スモールファーマーズ」では顧問もされています)。

「それまでは外資に進もうと思っていたんですが、就職活動中にビルさんに会い、アメリカ人でありながら、日本的な経営のおもしろさを語ってくれたので、この人のもとで学んでみたいなと思ったんですよ」

その後、東京支社にも勤務しますが、25歳を過ぎた頃、起業への思いが頭をもたげてきたそうです。「毎朝、満員電車にすし詰めになる生活に疑問を持ったんでしょうね」。関西に戻り、神戸支社でも働いたのち、まずは2004年、インターネットのテニススクール「マイテニス」を起業します。「学生時代、テニスのコーチをしていましたし、自分のなかにノウハウが蓄積されていました」。これが大成功。全国3万人を超えるテニス愛好家が利用するサイトに急成長しました。

忙しいITの世界のなかに身を置いていた岩崎さんを変えたのは田植えや家庭菜園などの農業体験でした。インスタントに結果を欲しがるITの世界とは異なる、自然に即したスローなリズムに目覚め、農業ビジネスアイデアを模索し始めます。

その後、今ではすっかり広まった週末型の体験農園ビジネスを起業。目新しさから、メディアにもひっぱりだこになりましたが、その後、体験農園ではできなかった細やかなフォローをしたいと2012年、「スモールファーマーズカレッジ」を設立します。

「振り返ってみると、僕は好奇心旺盛なのか、いつも自分が学びたいことが先にあるんですが、それを学ぶためのちょうどいい学校がない。テニスのときは自分にノウハウがあったので、ひとりでやってしまったけど、農に関しては、僕は素人なので教えられないじゃないですか。だから、教えてくれる人を集めて、自分も一緒に学ぶ場を作ったという感じです。自分で作った会社に関しては今に至るまで、仕事という感覚はあまりない。遊びと仕事の境目がないんですよね」

常に両極を見て、その中心にある本質を見極めたいという岩崎さん。その精神は学校づくりにも活かされ、教える側と教えられる側両方に無理のないシステムを徹底的に考えている印象です。そんな岩崎さんが心から「学びたい」と思い、招聘した「スモールファーマーズ」の先生方も、本質を見極めるブレない姿勢のもち主。圃場の実習を行う野木祥正先生は、農はもちろん、ヨガも独学でマスターされているし、精神世界にも詳しい。座学の古谷壮弘先生は土壌医検定1級をもつほどの専門家です。

さらに、「スモールファーマーズ」主催のイベントでは日本各地からゲストが招聘され、就農や移住など農ある暮らしについての講演も行われます。わたしがおもしろかったのは、わな猟を生業にしているゲスト。京都でも北のあたりに行くと深刻な獣害があるのですが、運搬に使う軽トラが血の匂いでいっぱいになるなど、お話のすべてがリアルでした。それらもすべて、岩崎さんの「学びたい」気持ちが原動力になっているのだなあと今回の取材ではとても腹に落ちました。

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→【記事の続き】スモールファーマーズカレッジで農的暮らしを学ぶ(下) 「精神的、物質的にバランスの取れた人生とは」、はこちらから。

文/Saya

東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『占星術ブックガイド〜アストロロジャーとの対話集〜』(説話社)他。

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写真/野口さとこ

北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。

ホームページ satokonoguchi.com
Instagram    @satoko.nog

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アストロロジー・ライター。東京出身、京都在住。早稲田大学卒業後、ライフスタイルの編集者を経て、アストロロジー・ライターに。「エル・デジタル」、「LEEweb」の星占いも好評。現在は、京都で夫と二人で暮らし、星を読み、畑を耕す傍ら、茶道のお稽古と着物遊びにいそしむ日々。新刊、『占星術ブックガイド〜星の道の歩き方、アストロロジャーとの対話集〜』(5500円/説話社)が好評発売中。



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