お茶が楽しくなる季節はこれから(2)心を支えてくれる、伝統のお稽古場でのレッスン

 お茶が楽しくなる季節はこれから(2)心を支えてくれる、伝統のお稽古場でのレッスン
写真/野口さとこ
Saya
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2024-10-03

女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。

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カフェで気軽に習えるグループレッスンを2年ほど続けたあと、パンデミックに突入した半年後くらいでしょうか、プライベートレッスンに切り替えていただくことになりました。あの世界中の時が止まったような空白のなかで、わたしが正気を保てたのは、お茶のおかげもあったのではないかと思います。

それはきっと、先生がいつも平常心だったから。わたしより、ひとまわりもお若い方なのですが、さすが茶人といった洞察力や胆力も去ることながら、お人柄が本当にすばらしくて、いつしか先生は、わたしにとっては、心の北極星のような、〝推し〟的な存在となっていました。

野口さとこ

実は、先生のご家族も裏千家の茶人で、プライベートレッスンでは先生の婚家のお稽古場を使わせていただくことになったのですが、静謐な空間も、時に揺らぎがちなわたしの心をリセットしてくれるようでした。

入門したのは47歳のときですから、まさに50の手習い。このくらいの年齢になると、本当に脳ミソはニワトリ並み。カフェ時代は、先生の言葉は、ただ右の耳から左の耳へとただ流れていくようでした。「いつかセッションにいらした方にお抹茶をふるまえるようになりたいな」とぼんやり思ってはいたものの、とても遠いものに感じられていました。

でも、プライベートレッスンに切り替わった3年目あたりから、徐々にお点前も身につくように。またこの頃、先生のきもの姿に憧れて着付けを習い始めたこともあり、4年目はきものでお茶会にもお邪魔できるようになりました。

野口さとこ

そして、5年目の2023年には洋館アパートメントの1室を借りたのを機に身を入れてレッスン。おいでになる方にお抹茶を振るまえるようになったのです。まだまだ盆略や茶箱など入門レベルなのですが、1年目の惨憺たる状態を思い出すと、わずかでも成長できた実感がある。年齢を重ねてもまだ成長できる余白があるのだと思うと喜びがありました。

6年目の今年は社中にも入れていただき、許状も申請。ようやく、正式に入門の運びとなりました。相変わらず、正座は短時間しかできないので、テーブル茶道中心ですが、今後、目指したいのは茶会などで、「いいお客さまになること」。そのためには掛け軸の禅語や器を見る眼を養わないといけないので、書を習ってみたいとか、焼きものを見たいとか、どんどん楽しみが広がっていっています。

→【記事の続き】お茶が楽しくなる季節はこれから(3) 自分自身に戻る時間。「お茶のお稽古」がわたしにくれたもの、はこちらから。

文/Saya

東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『占星術ブックガイド〜アストロロジャーとの対話集〜』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram     @sayastrology

写真/野口さとこ

北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
ホームページ satokonoguchi.com
Instagram  @satoko.nog

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アストロロジー・ライター。東京出身、京都在住。早稲田大学卒業後、ライフスタイルの編集者を経て、アストロロジー・ライターに。「エル・デジタル」、「LEEweb」の星占いも好評。現在は、京都で夫と二人で暮らし、星を読み、畑を耕す傍ら、茶道のお稽古と着物遊びにいそしむ日々。新刊、『占星術ブックガイド〜星の道の歩き方、アストロロジャーとの対話集〜』(5500円/説話社)が好評発売中。



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