茶人にはなれないけれど、きものにハマった話(2) きもの熱に浮かされているうちに閉経を乗り切った
女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。
お茶の先生のきもの姿に憧れて、着付けを習おうと思い立つまでを(1)ではお話ししたわけですが、それでも敷居が高く、ぐずぐずしているうちにやってきたのがパンデミック。また先送りすることになったのですが、旅にも行きづらい。畑と自宅とお茶のお稽古だけという日々のなかで、「京都にしかいられないなら、京都らしいことをしよう」と一念発起。2021年の春に着付けの先生の門を叩くことになりました。ちょうど50歳になる半年前でした。
初めにお願いしたのは、真宗大谷派のご住職の奥さまが教えていらっしゃるきもの教室。格安の個人レッスンで、13回ほど通った頃に、だいたい着られるようになりました。「あとはひとりで着る回数を増やして練習していけば、自分なりの着方がわかるようになるはずよ」と言っていただいた頃には50歳になっていました。
お茶のお稽古では、胸元に帛紗を懐中したり、帯に帛紗を入れ込んだりするので、きもののほうが練習しやすいのです。どうにかこうにか着られるようになった手順を忘れないためにも、月2回のお茶のお稽古にきもので行こうと決意しました。
となると、必要なのはきものの数です。幸いなことに、リユースきものがネットで気軽に手に入る時代。探して歩く時間はなくても、毎夜、寝る前にウェブショップをパトロールするように。今思うと、パンデミックでイベントなども少なかったせいか、リユースやヴィンテージのよいきものがかなりお安く出ていたこともあり、きものワードローブは順調に増えていきました。
一説には49歳から50歳というのは日本女性がもっとも落ち込みやすい年齢なのだとか。ホルモンバランスが崩れるのはもちろん、日本の文化的にも「女性は若いほうがいい」という思い込みがあるためかもしれません。でも、わたしの更年期は、きもののおかげで、人生で一番くらいに女性性が花ひらいたような時期となりました。
もちろん、この連載でも書いているように、蘭のフラワーエッセンスやセラピューティックエナジーキネシオロジー、クラシカルホメオパシーなどで心身の不調をケアしていたのもあると思います。でも、シルクという自然素材のもつエネルギーが占星術で言うところのタリスマン(護符)となって、わたしを守ってくれていたという気もするのです。
→【記事の続き】茶人にはなれないけれど、きものにハマった話(3) きものを着る喜びで身体性が解放され、新たな扉が、はこちらから。
文/Saya
東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『占星術ブックガイド〜アストロロジャーとの対話集〜』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram @sayastrology
写真/野口さとこ
北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
ホームページ satokonoguchi.com
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AUTHOR
Saya
アストロロジー・ライター。東京出身、京都在住。早稲田大学卒業後、ライフスタイルの編集者を経て、アストロロジー・ライターに。「エル・デジタル」、「LEEweb」の星占いも好評。現在は、京都で夫と二人で暮らし、星を読み、畑を耕す傍ら、茶道のお稽古と着物遊びにいそしむ日々。新刊、『占星術ブックガイド〜星の道の歩き方、アストロロジャーとの対話集〜』(5500円/説話社)が好評発売中。
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