沖縄の幸せの秘密とは? 身体の変化とともに街の最適解も変わる【連載|京都で見つけた幸せの秘密】

 沖縄の幸せの秘密とは? 身体の変化とともに街の最適解も変わる【連載|京都で見つけた幸せの秘密】
Saya
Saya
2024-12-15

女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。

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師走を迎え、春から1年間の予定で始まったこの連載も、そろそろゴールが見えてきました。東京で生まれ、長年、仕事をしてきたわたしが京都に来て、ラクになったのはどうしてなんだろう。そんな問いが生まれて、書き続けてきたわけなのですが、ここにいると心と身体がラクだから。つまり、身体性を大切にできる街なのだということがだんだんに見えてきました。

実は、40歳を目前に東京を出たとき、初めに向かったのは沖縄本島でした。5年住んだのちに、沖縄で出会ったパートナーとともに京都に移住したのですが、今となってみると、沖縄には沖縄ならではの「幸せの秘密」があった気がします。今回は、そんな沖縄の暮らしの魅力を振り返ってみることにします。

野口さとこ

暮らしのベースになるのは、何と言っても「大自然」です。四方を海に囲まれ、常に潮風を感じる、何もかもが鮮やかで、パワフルなあの島では、那覇の都心部に住んでいても、海は身近なものでした。とくに夏になると、どこからともなく、ビーチパーティの誘いがやってくる。沖縄の地元の人たちの間では、大人が海のなかに入るという習慣はなく、ビーチは、お酒を飲んで交流する場なのです。パートナーの親友がイタリアンのシェフだったので、みんなで無人島に行き、シェフにその場で料理をしてもらう会もありました。那覇の飲食店のオーナーみんながバスを借り切って、北部に泊まりがけで飲みに行くなどと聞くと、「大人が真剣に遊んでいる」ことに、初めは衝撃を受けたものです。

人と人との距離が近いので、みんな何かしらはサークル的な「つながり」をもっていて、わたしがパートナーに出会ったのも、沖縄在住の早稲田大学の卒業生の集まりでした。そうした横のつながりももちろんですが、先祖崇拝のような縦のつながりも大切にされます。縦横のつながりがクロスするポイントに、自分自身を含めた家族があるという感じで、家族とは一心同体。独立した個人が存在するという感覚はあまりないのですが、家族やコミュニティ、先祖など全体がセイフティネットとなって、それによって、ひとりひとりが支えられているところがありました。

野口さとこ

そう、沖縄の幸せの秘密は、「大自然」と「遊びのマインド」、「つながり」にあったのだろうなあと思います。そこでの暮らしもすばらしかったし、たたずんでいるだけで、何もかも浄化してくれるような沖縄のビーチも愛してやまなかったのですが、両親ともにルーツが山の民であるわたしにとっては、すべてのものの刺激が強すぎたのかもしれないな、と思うところです。年に一度は沖縄に戻るものの、久しぶりに訪れる沖縄のパワーは、これでもかと感覚を刺激してきて、穏やかとは言いがたい。5年住む前に5年ほど通っていたわけなのですが、沖縄に惹かれてやまなかった30代後半から40代前半の10年というのは、わたしの人生でも華やかな時代でもありました。あの年代、あの時代の自分だからこそ、沖縄のパワーに負けなかったのだろうなあと思うところです。

昨日の夕ご飯も、京都の畑で採れた大根で作ったぶり大根と、大根葉炒めで、ほっこりしていましたから、50代の今の身体性に合うのが京都の暮らしということなんでしょうね。20代後半から30代前半は、東京で仕事をするのが楽しかった。自分自身の身体の変化とともに、合う街も変わっていくものなのかもしれません。今の自分にとっての最適解を見つけていくことも、〝幸せの秘密〟のひとつなのだと思います。

文/Saya

東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『わたしの風に乗る目覚めのレッスン〜風の時代のレジリエンス』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram     @sayastrology

写真/野口さとこ

北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
ホームページ satokonoguchi.com
Instagram  @satoko.nog

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アストロロジー・ライター。東京出身、京都在住。早稲田大学卒業後、ライフスタイルの編集者を経て、アストロロジー・ライターに。「エル・デジタル」、「LEEweb」の星占いも好評。現在は、京都で夫と二人で暮らし、星を読み、畑を耕す傍ら、茶道のお稽古と着物遊びにいそしむ日々。新刊、『占星術ブックガイド〜星の道の歩き方、アストロロジャーとの対話集〜』(5500円/説話社)が好評発売中。



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