上賀茂神社や下鴨神社の瀬織津姫さまとのご縁の話【連載|京都で見つけた幸せの秘密 vol.8】

 上賀茂神社や下鴨神社の瀬織津姫さまとのご縁の話【連載|京都で見つけた幸せの秘密 vol.8】
Saya
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2024-07-21

女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。

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山が好きな母と、山の麓で育った父。自然科学を第一にする両親のもと、自然に敬意は払うものの、実は、神仏とは無縁の環境で育ったわたし。中学生で「谷崎源氏」に夢中になったり、高校生ともなると大和和紀さんが源氏物語を描いたおなじみの漫画、『あさきゆめみし』や永井路子さんの歴史小説を読みふけったり。日本的なものに惹かれないわけではなかったのですが、海外に目が向いている時代そのままに、パリやロンドンに憧れる20代を過ごしました。正直、「神社とお寺の区別を説明しろ」と言われたとしても、難しかったくらいのレベルでした。

野口さとこ

そんなわたしが女神さまに夢中になったのは30代になってから。初めは、九州を旅しているとき、友人が話してくれた海幸彦と山幸彦の神話から、日本の神さまに興味をもつようになりました。その彼女が親和性を感じていたのが豊玉姫(トヨタマヒメ)と玉依姫(タマヨリビメ)の姉妹の女神さま。「自分の女神さまがいる」ということが羨ましくなったわたしは、名前が似ていることから、山幸彦のお母さんである木花佐久夜姫(コノハナサクヤビメ)を自分の女神さまに認定してしまいました。出会ったのは九州でしたが、東京に戻ってみると、木花佐久夜姫は富士山の女神さまで、小さな頃から〝向こう山〟と親しんでいた地元の山の女神さまでもあったのでした。普段は若々しいけれども、火のなかで子どもを産んでしまうような激しさは、確かに自分に通じる面もあり、その後数年は、富士山の周囲にある浅間神社などをめぐったりもしたものです。

女神の神話に関心をもつようになってから、木花佐久夜姫以上に、なぜか親和性を感じるようになったのが瀬織津姫(セオリツヒメ)さまです。あまり祀られている神社が多くないものの、過去には重要な存在だったとして、〝秘された女神〟などとも言われる瀬織津姫さま。ミステリアスな背景も去ることながら、〝水の女神〟であり、〝川の女神〟であるということ。悪いものを祓う〝祓いの女神〟であることなども、星占いを書きつつ、セッションをする。それは浄化や祓いにも通じるプロセスなので、自分の性質ともリンクするようで、ある時期、心の支えとなっていたような女神さまです。

京都に来てみると、このあたりの産土神である上賀茂神社と下鴨神社には瀬織津姫さまがいらっしゃいました。冷たい川に素足で入って、玉砂利を歩き、祓いをする有名な「みたらし祭り」も瀬織津姫さま(井上社)の前でのことですし、上賀茂神社の摂社の小さな祠(藤木社)にも瀬織津姫さまがいらっしゃいます。わたしの母方には賀茂氏である本多家からお嫁に来ている曽祖母もいるので、それでかしらとも思うのですが、上賀茂神社や下鴨神社に行くと、本当にホッとします。これは、ほかの神社ではないことなのです。

わたしが京都のこのあたりで楽しく暮らしていられるのは、こうした神さまのご縁もあるのかなあといつも思います。お正月には下鴨神社に詣でて、新年の絵馬を拝見し、おみくじを引くのが例年のこと。折々にお参りをするほか、夏のみたらし祭りや昨年は、十五夜の観月祭にもお邪魔しました。日本の神さまとは先祖につながる部分もあると思いますが、こうして大きなものに見守ってもらう感覚は、何ものにも代えがたいことだなあとつくづくありがたく感じるところです。

野口さとこ

住んでいる土地や故郷、ルーツの産土神さまや一宮の神さまのなかでも、とくに気になる女神さまと縁を結んでみる。ただ闇雲にあちこちにお参りするよりも、きっとお引き立てもあるに違いありません。

文/Saya

東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『占星術ブックガイド〜アストロロジャーとの対話集〜』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram     @sayastrology

写真/野口さとこ

北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
ホームページ satokonoguchi.com
Instagram  @satoko.nog

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アストロロジー・ライター。東京出身、京都在住。早稲田大学卒業後、ライフスタイルの編集者を経て、アストロロジー・ライターに。「エル・デジタル」、「LEEweb」の星占いも好評。現在は、京都で夫と二人で暮らし、星を読み、畑を耕す傍ら、茶道のお稽古と着物遊びにいそしむ日々。新刊、『占星術ブックガイド〜星の道の歩き方、アストロロジャーとの対話集〜』(5500円/説話社)が好評発売中。



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