「京都の一人前」は、「英会話、茶道、着付け」とハイレベル【連載|京都で見つけた幸せの秘密】

 「京都の一人前」は、「英会話、茶道、着付け」とハイレベル【連載|京都で見つけた幸せの秘密】
写真/野口さとこ
Saya
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2024-12-01

女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。

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6年前に茶道を習い、3年前にきものを着るようになって、月2回のお稽古にきもので行く日々が始まったことは、以前にも書きました。初めは、きものが着たくて、着たくて……。「週に一回でも、きものを着られるアルバイトをして、強制的に着ることにしたらどうだろう」と求人を見ていたことがありました。ギャラリーや日本文化体験のアテンド、展示会の販売員などなど、気になるものはあるのですが、きものだけでなく、「日常英会話、茶道の心得」を求めるものが多いのです。「京都の一人前」のレベルが高いことに畏れ入った気分になったものでした。

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結局、星占いの連載はもちろん、書籍の出版が立て続き、アルバイトをする暇などまったくなかったのですが、「街ごとに求められる一人前の違い」は心に残りました。その土地で「当たり前」とされる能力を多少でも身につけておくと、それが新しい靴か何かのようになって、移住後、入っていける場が広がるのですね。日本文化に興味をもつ海外ゲストが多い京都では、「語学と日本文化」がホスピタリティのマストアイテムだったわけです。

その土地の「当たり前」に関しては、リーズナブルに学ぶ機会も、ふんだんにあるものです。茶道やきものといった和の伝統文化については当然ながら、京都は、英会話についても、住んでいる外国人が多いことから、講師の質も高いのです。実は、大学時代、英語科で落ちこぼれた過去をもつわたし。読み書きはともかく話せないというコンプレックスがずっとあったのですが、パンデミック前まで、英会話のプライベートレッスンも2年ほど続けていたので、だいぶ英語アレルギーがなくなりました。

「それはまさに、僕たちが目指しているところですね」と話すのは、わたしがお世話になった英会話スクール、「ランゲージハウス」の伊崎陽介さん。京都校は、四条烏丸という利便性のよい立地に広いラウンジを誇ります。

「高齢化と少子化が進む今の日本では外国人に対して、オープンマインドにならなくては。多様性のある社会の実現のために、英会話スクールでは読み書きよりも話すことに特化した英語学習で、外国人に萎縮することなく、自分から関わっていける、〝ちゃんと話せる〟人材を育てようとしています。僕たちの特色は、同じ場所で日本語学校も運営しているところにあるのですが、英会話を習いに来て、海外ゲストとの交流を始める日本人の生徒さんも多い。日本と海外を結ぶ体験のハブになれればと願っています」 

「ランゲージハウス」に併設の日本語学校は評判を呼び、世界一の称号を何度も手にするほどだとか。語学学習だけではなく、文化体験やアクティビティにも力を入れられているそうです。

「僕たちの日本語学校が他と違うのは、1−3ヶ月程度の短期ステイを中心に受け入れていることにあるんです。短期間の滞在でも、日本を好きになって、もっと知りたくなる。そんな日本ファンを海外に作りたいんですね。彼らが呼び水になって、さらにたくさんの日本好きの外国人が日本を訪れ、最終的に、日本に根付いてくれることが目標です」

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実は、わたしもこの11月、大勢の海外ゲストの集まる場で、茶道のデモンストレーションをお手伝いする機会がありました。裏方ではありましたが、茶碗や茶筅を洗う、お湯を用意するといった基本でも、茶道をやっていたからこそ動けるのを実感し、少しは京都でも使える人材に近づいたようで嬉しく思ったのでした。また久しぶりに英語を話す機会もあり、これからの日本は出かけていくより、迎えるための、ホスピタリティの英語だということも痛感。初日はきもので行ったこともあり、とても喜んでもらえて。やはり、「英会話、茶道、着付け」ができてこその「京都の一人前」なのだなあと再認識し、英会話レッスンの再開を心に誓ったことでした。

ランゲージハウス京都 https://the-languagehouse.com/kyoto/

→【記事の続き】「女性の嗜み」の豊かさ、その根源にあるものを冨田屋さんで聞く【連載|京都で見つけた幸せの秘密】、はこちらから。

文/Saya

東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『わたしの風に乗る目覚めのレッスン〜風の時代のレジリエンス』(説話社)他。

ホームページ sayanote.com
Instagram     @sayastrology

写真/野口さとこ

北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
ホームページ satokonoguchi.com
Instagram  @satoko.nog

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