今回で最終回。京都で暮らす人たちに共通するものとは?【連載|京都で見つけた幸せの秘密】


女性の人生の中で心身が大きく変化する”更年期”…何でも、日本女性がもっとも落ち込みやすいのは49歳だという統計もあるとか。でも、わたしは、50歳前後の複雑なはずの時期、自分の年齢をまったく気にせず、元気に過ごしてしまいました。むしろ京都に移住する前の40代半ばのほうがつらかった気がします。うまく切り抜けられたのは、京都に住んだおかげだったのかもしれない…と50代に入って数年経った今、すごく思うのです。この連載では、そんなわたしが40代、京都で見つけた「幸せの秘密」を探っていきたいと思います。
1年間、写真家の野口さんのご協力を得ながら、新月と満月の度に更新してきた「京都で見つけた幸せの秘密」ですが、今回で最終回を迎えます。1年間読んでいただいて、本当にありがとうございました。
京都の暮らしもこの春で10年目に突入します。10年ぽっちでは京都ではまだ新参者。お客さんのようなものですが、それでも、自分の人生に「京都」という章があったことに感謝の思いでいっぱいです。

初めは京都で数年過ごしたら、もっと早いうちに新しい土地に移るつもりでいました。でも、農学校に通い、貸し農園で区画を借りて、お茶を習い、きものを着るようになって。その度に扉はひらかれ、さまざまな人たちと知り合い、自分の人生が豊かになっていきました。
地に根差した暮らし、伝統的な世界だけでなく、京都は、実は、先進性もあるので、2、3年学んだドイツ発祥のクラシカルホメオパシーやスコットランド生まれの蘭のフラワーエッセンスにしても、頭ごなしに否定するような人には会ったこともありません。住んでいるのがリベラルで有名な左京区ということもあるかもしれませんが、海外から入ってくるものに対しても、オープンマインドなのですね。
先祖代々、京都だという人も、2、3代前からという人も、移住者も。実は、京都の住人に共通する魅力とは、「おもしろいこと、新しいことが好き」という「好奇心」と、「ともかくやってみよう」という「進取の気性」にある気がします。伝統を残していくには古いものを受け継ぎつつも、自分の代ではアップデートもしていかないといけない。それを骨の髄まで叩き込まれているのかもしれません。

東京や大阪ほどエンターテイメントや物にあふれているわけではないので、自分で創造するしかないという面も、もちろんあると思います。でも、美しい自然や風物に囲まれているうちに「美意識」が高まる。自分が何かするときも、「クオリティの高さ」を追求していこうという気持ちになる。そんなプラスの循環がある気がするのです。わたし自身も、京都に来てから、もともとの「好奇心」や「進取の気性」がどんどん強まっていきましたし、仕事に対しても、より職人的に、前向きになっていった気がします。それこそがきっと京都で見つけた幸せの秘密なのです。
新年度からは、ガラリと趣向を変えて、「離れている老親とハッピーに付き合うには」という新コラムを予定しています。またお付き合いいただけたら幸いです。
文/Saya
東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『わたしの風に乗る目覚めのレッスン〜風の時代のレジリエンス』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram @sayastrology
写真/野口さとこ
北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
ホームページ satokonoguchi.com
Instagram @satoko.nog
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く