違う意見の人と、どうやって対話する?前川裕奈さん×「ハダカベヤ」(2) #しゃべるっきずむ!
容姿で人を判断したり、揶揄したりする「ルッキズム(外見至上主義)」。言葉の認知が進む一方で、まだまだ理解されていないルッキズムについて、おしゃべりしてみよう!自身もルッキズムに苦しめられた経験を持ち、Yoga Journal Onlineで「ルッキズムひとり語り+α」を執筆する前川裕奈さんとゲストが語り合う連載が「しゃべるっきずむ!」です。
第18回は、ポッドキャスト配信ユニット「ハダカベヤ」のIMALUさん、メグさん、なつこさんをゲストとしてお迎えしました。「世の中の価値観をアップデートする」を掲げ、女性のウェルビーイングやエンパワーメントに関する内容を配信する3名。ホストの前川さんも含めた同世代で「ルッキズム×話すこと」について盛り上がりました。
意見の違う人とどう話す?
——『ハダカベヤ』では、時にゲストを交えつつ、政治や女性の働き方、性の話などさまざまなテーマについて語られています。日々、対話することの大切さと難しさも感じる方々に向けて、「話すこと」についても伺っていきたいなと思います。

前川:ルッキズムの発信をしていても「いい/悪い」などの二項対立になりがちで、なかなか対話ができない場面も多いんですね。みなさんが取り上げている政治やフェミニズムの話も、まさに対立が起きやすい内容だと思います。そういったテーマを話すとき、違う意見の人と対話するときに気をつけていることも、聞いてみたいなと思っていました。
メグ:一番大切なのは「答えを出そうとしない」ってことなんじゃないかな。自分が正しくて相手が間違っているとか、どっちかに決めなきゃいけない、みたいな前提で会話を進めると、揉めますよね。だから、答えを出すのを目的とするんじゃなくて、自分たちのなかにある意見をまずは全部この場に出してみましょうよ、と。その上で共通点を探したいと思っている気がします。
IMALU:参院選に出馬した中田フィッシュくんをゲストに呼んで政治の話をしたときも、事前にそこは確認したよね。「私たちは違う意見を持っているけど、今回はディベートじゃなくてディスカッションがしたいんだ」って。だからお互いに安心して、違う意見が言えたんだと思う。
前川:英語のフレーズで、“Agree to disagree”(意見が違うことを受け入れる)ってありますけど、それの日本語版があるといいなと思います。意見が違うだけで否定されたような気持ちになっちゃうこともありますけど、そうじゃないんだよって。
IMALU:私は、相手がなぜその意見に至ったのかのストーリーを聞きたいな。別に責めているわけじゃなくて、「どうしてそう思うようになったのか聞かせて」ってインタビューすることが多い。

前川:相手の背景を聞くのは、歩み寄る姿勢があっていいですよね。「なんで?」という聞き方やIMALUさんのキャラクターにも合っているのかもしれません。
IMALU:問い詰めたいわけじゃないから、ニュアンスが難しいところではありますね。
最後は関係性や距離感に委ねられるから
なつこ:ルッキズムに関して、あまりわかってくれなそうな相手との対話って難しいですよね。先日、知り合いにこの対談の話をしていたら「久々に会った子に『ハゲたね』『太ったね』って言っちゃうんだよね〜。でも僕はこれでずっとやってきたから」と言われて……。あー言っちゃった……と。
一同:ああ……。
なつこ:その人には「私はそれを言われたら嫌。全員がOKと言ってないなら、ちゃんと一人ずつ確認してから言ってくださいね」と言ったんです。あなたの“よし”は、全員に当てはまるわけじゃないんだよって言いたかったんですけど、どこまで伝わったか……。
前川:確かに「容姿をいじられて嬉しい」みたいな人もいるけれど、その人は不正解というわけでもないですしね。。人によって正解が変わることなので、一概に「これがダメ!」と言えない難しさもあります。ただ、「嬉しくない人もいる」と知れるだけで言葉選びが変わってくると思うので、ちゃんと伝えられたなつこさん、すごいです。
なつこ:普段の会話から少しずつ、刷り込もうとはしているんですけどね……。

メグ:難しいのは、そういう“人による”みたいなところがありますよね。「この人が言ったら許されるのに」みたいなことが起こる気がして。
前川:関係性とかもありますよね。親友が「あんた、なんか今日のアイライン変かも」と言ってきても友達やめるとか思わないけど、初対面の人に 「化粧濃いね」とか言われたら嫌。関係性のなかで言っていいことと悪いことが変わるから、最後は「自分で考えてね」になっちゃう。
メグ:いっぱいいますからね、“距離感バグりマン”。
前川:本当に。以前ある人から「足が短いね」「でも僕らの関係性で許して」と言われたことがあったんです。めっちゃこわいのが、その人とは2回しか会ったことなかったんですよ……。
一同:うわあ、バグりマンだ!
わかりあうのは難しい……けど!

前川:そういう人たちとも、きっといつかは分かり合えるはずと思って発信を続けていますが、いくら言葉を尽くしてももうダメだ……みたいなとき、みなさんだったらどうしますか?
なつこ:人によっては諦めちゃうかな……。「後がつらいぞ」って思いながら。
メグ:絶対に逃さないぞ!って思うときもあるけど(笑)それって相手に対して愛があるからこそだと思うんですよね。
IMALU:あとは次世代に影響があるかどうか。この前会った人が「孫が女の子なのに、電車とか乗り物のおもちゃばっかり好きで……」と何度か発言されていて、それは「いや、いいんじゃないですか」って言った。
メグ:まだ女の子かどうかもわからないしね。
IMALU:そうそう。でも、言い方は気を遣ったかな。ガミガミうるさい人と思われるのも嫌だし、相手やシチュエーションによって言えるかどうかも変わってくる気がする。
前川:私は結構、自分の周りの人には指摘する方かも。その人の周りの子が傷つくのも嫌だし。でも、そうすると飲み会でも「裕奈に怒られちゃうから、しーっ!」みたいになったりして、それも本意じゃないんですよね。私がいなかったら、言うんかい、と。
なつこ:結局は誰に注意されることもなく、身内でわちゃわちゃ話して、変わることがないわけですよね。
前川:ルッキズム発言をしてしまう人って、年上や企業で重要なポストについている人が多くて、それは「周りに言ってもらえないから」というのもあると思うんです。ただ、そういう社会を動かしている人たちが変わらないと、やっぱり生きづらさは払拭できない。いい感じに分かり合えたらいいなと日々思うんですが……。
メグ:もはや『世界ウルルン滞在記』みたいな感じだと思うんですよ。まったく未知の世界に「お邪魔します」と入っていくしかなくて、一緒に過ごすなかで互いの文化や言語を学び合い、最後のお別れには涙できるようなものが必要ですよね。いろんなしがらみでそうなれていないだけで、組織を良くしたいというベクトルは同じわけだから。
なつこ:ぶつかっていこうとしても、結局こちら側の数が少なかったり、相手に決定権があったりすると難しいよね。話を聞いてもらうために、まずは一回飲み込まれなきゃいけない、みたいな感じがある。
前川:そうやって飲み込まれた先での自分を守るために、もっと言えなくなることもありますよね。

なつこ:でも、セクハラやルッキズムを許してきちゃった自分も、加担してしまったとは思うんですよ。特に、私に言っていた人が、今度は若い子に同じようなことを言ってる場面に遭遇したりするとね。私が冗談で流し続けてきちゃったから、その人はどんどん悪化してしまったなって。最初にビシッと言っておけば……。
IMALU:でも、目上の人にそれは難しいよね。
前川:私の仲良い元同期にも、「自分は言われても何も思わないから特に(加害側には)言ってこなかったけれど、だんだんと増えてきた会社の後輩たちのためにも、自分が言わなきゃいけないと思い始めた」という子がいます。ナイス!と思った。子どもが生まれたりして次世代のことを考える人も増えたり、私たちの世代も徐々に変わってきているのかもしれない。
メグ:自分だけの問題じゃなくなってきたんだ……!

*次回、おしゃべりを続けてきたからこそ、見える世界とは。2本目「“しゃべること”で少しずつ変わっていく私と社会」は、こちらから。
Profile
ハダカベヤ(IMALUさん・メグさん・なつこさん)
ミレニアル女性3人が性•カラダ•恋愛•仕事•時事ネタ…話しづらいアレコレを“ハダカの声”でディスカッションする価値観共有番組🎧
毎週月曜日、各種Podcastにて配信📢
【公式SNS】Instagram:hadakabeya_official X:hadakabeya
前川裕奈さん
慶應義塾大学法学部卒。民間企業に勤務後、早稲田大学大学院にて国際関係学の修士号を取得。独立行政法人JICAでの仕事を通してスリランカに出会う。後に外務省の専門調査員としてスリランカに駐在。2019年8月にセルフラブをテーマとした、フィットネスウェアブランド「kelluna.」を起業し代表に就任。ブランドを通して、日本のルッキズム問題を発信。現在は、日本とスリランカを行き来しながらkelluna.を運営するほか、「ジェンダー」「ルッキズム」などについて企業や学校などで講演を行う。著書に『そのカワイイは誰のため?ルッキズムをやっつけたくてスリランカで起業した話』(イカロス出版)。yoga jouranal onlineコラム「ルッキズムひとり語り」。
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