相手と意見が違った時どうする?「ハダカベヤ」に学ぶ、対等で心地よいコミュニケーションのあり方

 相手と意見が違った時どうする?「ハダカベヤ」に学ぶ、対等で心地よいコミュニケーションのあり方
photo by Fumiaki Omori(f-me)

ポッドキャスト配信ユニット「ハダカベヤ」は、タレントのIMALUさん、起業家でブランドクリエイターのメグさん、フリーランスでマーティングプロデューサーとして働くなつこさんと、異なる分野で活躍する同世代の3人組。番組では、ジェンダー、恋愛、結婚、セックス、女性の社会進出、人種問題など、時にセンシティブなテーマにも積極的に触れ、オープンなディスカッションを展開。「私ならどう考える?」と意見を持ちたくなる空気感のトークが話題を呼んでいます。今回は、そんな3人に「自分の意見の伝え方」「コミュニケーション」をテーマにインタビューしました。

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違う意見もいったんは受け止めてみる

――Vol.1では、お三方の関係性やディスカッションについての想いをお伺いしました。ここからは、今回のインタビューテーマ「自分の意見の伝え方」を少し深掘りしたいなと。意見が自分とは違う(かもしれない)相手と話す時にどんなことを意識していらっしゃいますか。

なつこさん:ハダカベヤでもそうですけど「1回全部受け止めます」「抱きしめます」というスタンスで話すようにしていますね。「そういう考えがあって当たり前だよね」といった感じで、拒否しないようにすることは気を付けていますね。

IMALUさん:私も1回、聞き役になるかな。自分と全く違う意見を話すとなったときに、なぜそう思うのか。その芯の部分を聞けるまでは聞き役に徹する方がいいと思うんですよね。意見が違ってもいい、というところがスタートな気がするので、それを頭ごなしに否定する人とか、冷静にディスカッションできない人とは最初から話しをする気にもならないというか。意見が違っても、人として尊重することが大切なのかなと感じます。

メグさん:昔の私だったら、「は!?」みたいな感じで顔に出てたと思うし、「よしやるぞ」みたいな感じで違う意見に正面から挑んでたと思うんですけど、30代に入る頃から「他人は簡単に変わらないもの。だから自分が歩み寄ることも大切だ」という考えになったんですよね。ディスカッションして、相手の考えや意見を無理やり変えようというマインドではなくなった。だからこそ、相手が違う意見だと「なぜそう考えたのか」と興味が湧いてくるんですよね。このマインドになってから、違う意見の人に出会ったときのストレスが一気になくなりました。

メグ

――お三方の間でも意見が分かれるときもあると思うんですが、そういった気心知れた仲だからこそセンシティブな話題や踏み込んだ話をするときに心がけていることはありますか。

IMALUさん:話したくないことは「話したくない」って言いますね。特にハダカベヤは配信番組なので、「それは、オープンにしたくない」と伝えるようにしています。

なつこさん:それが一つの意見にもなるしね。

メグさん:私も、言いたくないことは無意識で言わないようにしているところがありますね。それはハダカベヤに限らず誰に対してもそうなんだけど。自分の心のなかに私だけのお部屋みたいなものがあるんですよね。

なつこさん:仲が良くても、なんとなくこれは聞いちゃダメそう、みたいなことには踏み込まない選択肢を取ることが多いかもしれないですね。

メグさん:そう考えると、この3人は雑にコミュニケーションを取っていないのかもしれない。ニコイチみたいになったり、家族に近い関係になったりすると気を遣わなくなって、コミュニケーションが雑になるじゃない? 「私がこう思っているんだからあなたもそうでしょ」みたいな。それがないというか、ある意味ちゃんとフレンドシップを意識しているのかもしれないですね。あれ、そう思うと私たち仲良くない? あんまり深い関係性じゃないってこと!?

IMALUさん:あはは(笑)。でも、普通の友だち以上にディスカッションして、意見交換しているから。独特の関係性ではあるかもしれないよね。

なつこさん:たしかに。ここだったら、ある程度自分の意見を話しても拾ってくれたり、拾えませんって言ってくれたりするけど、違う場所で同じ感覚で話すと「あれ?」となることが多いかも。

メグさん:そういうところが心地いい関係なのかもしれないですね。2人は私のコアなところ、誰にも見せたくないものがある、ということをちゃんと分かってくれる。無理やり踏み込んでこないという心理的安全性を感じるから、自分の考えも言いやすいのかなと思います。

IMALUさん:どんなに仲が良くても、チャンネルが合わない時期もあったりするじゃないですか。波長が合う、合わないはタイミングもあるのかなと思いますよね。

悩み相談への考え方も三者三様

――お三方の関係性だと悩みも言い合いやすいのかなと思ったのですが、悩み相談もしあったりするのでしょうか。

メグさん:あんまりないですね。もともと、私は悩みを誰かに相談することが少ないんですよ。前の話と通じるんですけど、他人の考えは簡単には変えられないと思っているから、自分の考えも自分以外まとめられないと思っているんです。だから、悩みを相談するというよりはも自分の結論をもとに、2人に意見を聞くことはありますね。

IMALUさん:自分以外解決できないと思ってるから言えないの? それとも、言いたくない?

メグさん:悩みを悩んでる段階で人に話そうと思ったことがあまりないのかもしれない。

IMALUさん:えー!? そうなんだ。

メグさん:例えば、浮気されたんだけど!みたいな相談はするよ。だけどずっと胸のなかにつっかえているような、自分との向き合いが必要なことを私は悩みだと考えていて。事故のような、自分ではどうにもできないイレギュラーな出来事は誰かに言える。一方で、日常的に考えあぐねているものを悩みとするなら、それを人にシェアしようと思ったことがないですね。

ハダカベヤ

IMALUさん:そう思うと、今はだいぶシェアしてくれている方かもしれないね。私は、誰かに聞いてほしいタイプ。ずっと抱えていたくないから「聞いて!」と言っちゃう。

メグさん: IMALUちゃんの悩みは口に出すときにちゃんと整理されているんですよね。プレゼン?って思ったくらい(笑)。

IMALUさん:いっぱい考えてからシェアするからかもしれない。それ初めて言われた、うれしい(笑)。

メグさん:だから、悩み相談なのに暗くないよね。「私の悩みをシェアします。ご意見あればどうぞ!」みたいな感じ。それがすごいなと。

IMALUさん:なつこも悩みはあんまり言わないよね。

メグさん:若干匂わせてくるんだけどね。シンデレラみたいに、こっちが落ちている靴(=悩み)に気付いたときにはもう解決している、みたいなイメージ。

なつこさん:余韻残していくの、いやらしいな(笑)。でも、たしかにガツンと「ちょっと聞いてよ」みたいな相談はしないかもしれない。

IMALUさん:2人は高校時代からの付き合いじゃない? その関係でも悩み相談しないの?

メグさん:ほとんどしてこなかったよね。悩みって悩む対象がいるじゃないですか。私は、その対象と一緒に解決したいんですよね。例えば、対人関係の悩みだったら当事者同士でしか解決できないじゃん、と思ってしまう。

なつこさん:そう言えば1回、メグに「なつこにモヤっていることがあるんだけど、それ言っていい?」と言われたことがあったわ(笑)。「何、怒られるんだろう」と思って「はい」と姿勢を正して聞いたんだけど。

メグさん:そのとき、なつことの関係性で悩んでたんですよ。共通の友だちもいるけど、その子に相談すると悪口みたいになっちゃうなと思って。

IMALUさん:面白い~!

メグさん:でも、怒るとかじゃなくて普通に「なつこのこういうことで悩んでいる」って伝えたと思う。

なつこさん:その会話も30分くらいで終わったよね。それを聞きながら「でも、この今メグが悩んでいる相手って私だよね?」と、すごく不思議な時間だった(笑)。

*Vol.3へ続きます!

プロフィール

ハダカベヤ
左から:なつこさん、IMALUさん、メグさん

なつこ

マーケティングプロデューサー
アパレル・芸能事務所・webデザインの会社などに勤め、現在、国内でも有数のマーケティング関連企業にて勤務。直近まで国内大手の総合広告代理店に勤務しており、様々な角度からのコミュニケーションやマーケティング領域に精通している。

IMALU

タレント
語学を学ぶためカナダの高校へ留学。帰国後、ファッション誌でモデルデビューした後、現在はタレントとしてTVやラジオで活躍しながら、東京と奄美大島の2拠点生活をしている。映画・音楽好きでも知られており、イベントや配信ライブなどのMCやゲストとしても活躍している。

メグ

起業家・ブランドクリエイター
「株式会社XY」創業者兼COO。“下着で性教育”を標語に「Albâge Lingerie」設立。渋谷パルコにて同ブランドの直営店出店('21〜'23)。フェムテックのアクセシビリティ格差是正のため吸水ショーツを児童養護施設に寄贈するプロジェクト「Lingerie For Education」主宰。個人ではウェルビーイング視点でのブランディング支援やセクシャルウェルネス&ライツの発信を行う。

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取材・文/吉田光枝
撮影/大森文暁(f-me)

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