テーマパークで納得「郷に入っては郷に従え」の教え。ソロ活は振り切ると楽しい! 連載 #発酵適齢期
17回目の『発酵適齢期』は、ソロ活の中でもハードルが高めなテーマパークに参戦!
こんにちは。ライターの高木沙織です。
自意識とは――。自分自身についての意識のこと。そして、自意識過剰というのは、人が自分をどう見ているかを気にしすぎることをいい、先日の私はどっぷりとこの状態に陥った次第です。発生場所は、千葉県某所にあるテーマパーク・夢の国。
17回目の『発酵適齢期』、テーマは1人・夢の国での過ごし方について。
テーマパークに行く相手がいない
2022年12月――。千葉県某所にあるテーマパーク・夢の国のチケットを2枚いただきました。有効期限は、2023年9月末とだいぶ先です。ところが、(誰か誘ってそのうち行こう!)なんて思っていたら、気づけば8月も最終週。私はこの期間をタイムスリップしたものだと今でも強く思い込んでいるのだけど、当たり前にそんなわけはありません。
そこで、慌ててチケットを手に取ってみたものの、(……2枚、誰かと行く? って、誰と?)と今度は一緒に行く相手に頭を悩ませはじめます。友人とはいつも3人で集まっているし、2枚のチケットをぴたりと使い切るデートの相手もいません。しかし、そこは年々ソロ活をする機会が増え、さまざまなシーンに耐性が出来はじめている私です。数分考えた末、1人でもいいかと予約ページを開き、9月中旬の日付をポチッ。
こんなふうに勢いで予約したのはいいけれど、行き先はテーマパークです。テーマパークといったら、友人や恋人、家族と行くもの――。そんな昔ながらの凝り固まった考えが、自分の中にまったくないわけではありません。そもそも、テーマパークに行くことがこれまでの人生でそう多くなく、キャラクター名もおぼつかない私にとっては、もはやアウェイ。
そこでルールを設けました。1人テーマパークのハードルをできるだけ高くしない、です。プランはこう。チケットと一緒にいただいたカレー店の食事券を使って、ランチ。それから園内を散策して、乗るとしてもアトラクションは1つだけ。あとは、お土産を買って帰る。テーマパーク初心者の自分にはこれで十分――と、迎えた当日。
自意識過剰で楽しめない
9月中旬、10時――。6~7年ぶりにやってきた夢の国は、荷物検査も入場エリアも待ち時間なしでスムーズに通過することができて早々に拍子抜け。いや、待つのは一向にかまわないんです。ただ、待っている間、1人でいる姿を見られているのでは?と考えてしまうといたたまれない……、これですよ。早くも自意識がニョキニョキと顔を覗かせはじめます。
いざ園内に入ってからも、別称・夢の国に違わぬキラキラまぶしい世界観とそこに溶け込む人々の笑顔に圧倒されて、(私なんかがきてはいけない場所に……)と、肩がキュッとすくむ思いです。
結局、ハロウィン仕様のディスプレイは一瞥しただけ。一瞬で撮った写真はブレまくり。そんなこんなで、一目散に目当てのカレー店へ。ここにきて唯一のファインプレーが、食事時にかぶらないよう早めに入店したことです。店内にいたのは、わずか数人。……だったのですが、安息を得たのもつかの間、注文したカレーライスを半分ほど食べ終えた頃。次第にお客さんが増え始め、あっという間に満席。残りのカレーを急いで食べると、滞在時間15分で逃げるように退店したのでした。
完全アウェイの地で、行き場を失った私。さらには、9月半ばなのに真夏日の暑さが追い打ちをかけてきます。カレーのスパイスの効果と降り注ぐ日差しで、額に汗をかきながらプラン通り園内の端っこをポテポテと歩いていると、「小さな世界」でおなじみのアトラクションの前に到着。待ち時間は5分。(これなら……)と忍び込むようにして列に並ぶと、キャストさんの満面の笑み&行ってらっしゃいに照れた揚げ句、手を振り返す代わりに深々と頭を下げているうちにボートは出発。相席させてもらったカップルの邪魔になってはいけないと、勝手に息をひそめます。
下船後は人の迷惑にならないことを前提に、それでいて自身の残像を残さないように競歩で姿をくらませ、忍者のごとく土産店へ。時刻は12時です。入園からわずか2時間でプランを完遂すると、ドッと疲れを感じながら、帰りの電車の中でこんなことを思いました。
(私の自意識が暴走している!)
これまで旅行や食事、美術館めぐり、写経やらをしたときだって、みんながワイワイ楽しんでいる場所に1人でいても何も感じなかったのに。予想外に(1人の姿を見られたくない)気持ちが芽生えてきて、驚きました。場所柄なのか、雰囲気なのか、その全部なのか……何が自分にとっての鬼門だったのかは不明。もちろん、1人できている人はたくさんいます。みなさんそれぞれに推しキャラや好きなアトラクション、パレードがあって、それを楽しむ姿はとっても素敵!
一方、そうでない私は、暴走した自意識にただただ翻弄され続ける始末。だけど、冷静に考えてみるとわかるように、テーマパークに遊びにきている人が私のことなんて見ているわけがないんですよね。仮に見て、仮に1人なんだと思ったとしても、それだけのこと。そこから、私が1人でいる背景まで想像を膨らませてくれる人は多くないでしょう。みんな、テーマパークに夢中なんです。私の取った行動は、夢の国に対しても失礼だったと深く反省。
さて、手元にはもう1枚のチケットが残っています。有効期限が近いこともあり、翌週、海側のテーマパークへと挑むと、真っ先に向かったのは同じくカレー店。「それじゃあ、前と変わらなくない?」と思うなかれ。2回目のテーマパークということもあって、雰囲気に圧倒される気持ちもいくぶん和らぎ、「郷に入っては郷に従ってみよう!」と、売店でキャラクターのカチューシャを購入します。
しばらくは着けるタイミングがわからず手で持っていたのだけど、頭にソッと乗せた瞬間――。大げさではなく、世界がパアッと開けたというか、気持ちが高揚するってこういう感じなんだって。前回はうつむきながら歩いていたけれど、下を向いたらカチューシャが落ちてしまうし、そう思いながら目線を上げて歩いていると、見える景色が全然違う。
同じカチューシャを着けている人とすれ違いざまに会話をしたり、キャストさんが話しかけてきてくれたり、あーこの前はなんてもったいないことをしたんだろう。
人は、思うほど自分のことを見ていないし、こういう場には溶け込んだもの勝ちなのかもしれませんね。
自意識はなくなるものではないけれど、どこで暴走するのかがわかっているとある程度コントロールできるのだと知ったのでした。振り切ると、ソロ活が10倍楽しくなることも。もしかして、夢の国が私のような頑なな大人も楽しめる魔法をかけてくれたのでしょうか。
ではまた、18回目で。
AUTHOR
高木沙織
ヨガインストラクター。「美」と「健康」には密接な関係があることから、インナービューティー・アウタービューティーの両方からアプローチ。ヨガインストラクターとしては、骨盤ヨガや産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、体幹トレーニングに特化したクラスなどボディメイクをサポートし、野菜や果物、雑穀に関する資格も複数所有。“スーパーフード”においては難関のスーパーフードエキスパートの資格を持つ。ボディメイクや食に関する記事執筆・イベントをおこない、多角的なサポートを得意とする。2018~2019年にはヨガの2大イベントである『yoga fest』『YOGA JAPAN』でのクラスも担当。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く