少しのチグハグ感も命取り! 大人の洋服選びに「試着」がますます大事なワケ【連載 #発酵適齢期】
25回目の『発酵適齢期』、テーマは「洋服を買うとき、失敗しないためには」です。
こんにちは。ライターの高木沙織です。
「四十にして惑わず」――。これは、中国の思想家・孔子(こうし)の『論語』にある有名な一節。さまざまな解釈があるけれど、一般的には「40歳にもなれば、物事の道理も明らかになり、自分の生き方に迷いがなくなる」という意味で知られているとか、いないとか。さて、ここで言う不惑=数え年の40歳を優に超えた私ですが、数年に渡って激しく惑っていることがあります。
それは、写真と実物の違い。例えば、飲食店のメニュー写真と、目の前に運ばれてきた料理が絶妙なラインで違っているのはよくあること。とはいえ、明らかに違うメニューでは?というレベルでなければ気にならないし、美味しくいただきます。SNSに投稿されている写真と本人が……なんていうのも、今やちっとも驚くことじゃない。じゃあ、何に惑っているのかというと、ずばりネットショップの洋服!です。
25回目の『発酵適齢期』、今回は「洋服を買うとき、失敗しないためには」どうしたらいいのかを考えてみました。
ネットショッピングは便利だけれど、洋服は難易度が高い
ネットショップの歴史は意外と古く、一般家庭にインターネットが普及し始めた1990年代後半から多種多様な分野が参入しています。そのおかげで、今は日用品や食品、スキンケア、コスメ、猫のカリカリ・トイレ砂……欲しいものがあれば、いつ・どこにいてもポチッと簡単に購入できる便利な時代。ことコロナ禍においては、多くの買い物をネットで済ませていました。指定の時間内に、丁寧に届けてくれる配達員の方々には、本っ当に頭が上がりません。
そしてちょうどこの頃、洋服をネットショップで購入するようになった私。理由は2つ。1つは、気軽に買い物に行けなくなったこと。もう1つは、外出する機会がほとんどない生活で、洋服へのこだわりが半減したこと。そうは言いながらも、SNSのファッション系アカウントを眺めるのは楽しいし、販売元へはたったの1タップで飛べたりするわけです。しかも、「これ、いいな」と思ったワンピースやトップスなんかが意外とお財布に優しい価格だったりするから、ズブズブと沼れる。注文後は、配送状況をネットで追跡しては、到着をソワソワと心待ちにします。
ところが、手もとに届いた商品を前に、思わず「これじゃない!」と叫ばずにはいられない。なぜ、こんなことが起こるのか……。答えは簡単で、商品を写真でしか見ていないからです。
「これじゃない!」を回避するには……
分かりきったことだけれど、ネットショッピングをするときは商品の写真だけ(たまに動画もある)が頼り。その写真は、設備の整ったスタジオで、いい塩梅の照明がたかれたうえにプロのカメラマンによって撮られたものであることが多いでしょう。
洋服のシワを消したり、色を変えたりするアプリだってあるくらいなのだから、撮影後に何らかの加工が施されていることも無きにしも非ず。わずか数枚の静止画で購買意欲をそそる必要があるとなれば、写真だって必死だし、現に素敵です。
しかし、こちら側からすると、いくら写真をピンチアウトして拡大したところで、リアルな生地感や厚さなどの詳細まではわかりません。さらに言えば、その素敵な洋服を着ている素敵なモデルさんと自分とでは、スタイルをはじめいろいろなことが違ってきます。商品詳細のページに慎重に目を通しても、現物に「おや?」と違和感を覚えることは珍しくなく、「これじゃない!」体験をすることウン十回……。それでも、着たら意外とイケるのでは?と期待を胸にするのだけれど、シルエットや丈感、色味、生地の薄さ・厚さ、全体的な雰囲気に傾げた首がもとに戻らないのです。
それこそ、20~30代後半くらいまでは、「私が洋服を着ている!」という気概があった。自分が主役で、洋服はおまけ……とまではいかなくても、まあそんな感じ。仮にネットショップで購入して、どちらかというと失敗だった洋服でも、メイクとかヘアスタイルを変えたり、気持ちの面でカバーしたりしていたところがあると思うし、そこそこ様になっていたと自分の中で満足していたものです。
かたや現在41歳、数え年で43歳になった今では立場に変化が生じています。自分をよりよく見せるためには、洋服の力が絶対的に必要です。ちょっとでも油断すると、洋服にがっつり着られてしまう。サイズや生地感が微妙だとまず外には着ていけないし、実際に袖を通したときに何とも言えないチグハグ感があると、途端にボロが出て、それが悪目立ちしちゃう。太って見えたり、一気に年齢が上がって見えたり、顔色がくすんで疲れて見えたりするんですね。
そこで、2024年は店舗で試着をしてから洋服を買う!を1つの目標に掲げました。早速購入したのは、ワイドデニムとキレイめジョガーパンツ、デザイン性のあるシャツ……。どれもネットショップで下調べしていたものだけれど、いざ自分の体に合わせてみると、予想していたサイズが合わなかったり、目当てのものとは別の色が似合っていたりして。
(ちょっと待って! お尻のラインそれでいいの?)
(好きな色と似合う色って、違うよ!)
こんなふうに、試着室の鏡の前で自制心を働かせることができるのもいい! 高揚感の中、大満足の買い物ができたのでした。
こんなことを言っておいて説得力に欠けるかもしれないけれど、私はネットショッピングが嫌いなワケでは決してありません。1日の中でも判断能力が鈍りやすい夜に、なぞの無敵モードに入って予定外の買い物をしてしまうのだって、時にはいいと思う。ただ、自分を客観視できていないが故に、似合う洋服を選べず失敗することが多いのでしょう。生地感やシルエットに対する想像力も欠けているのかも。
もちろんネットショッピングでも、自分に合う洋服を探すのが上手な人もいます。これって、一種の才能だと思う。「天才とは99%の才能と1%の努力(『スラムダンク』より)」の逆で、才能がない私は数打って努力した結果もなお目が出ないのが悲しい。
いつか猫型ロボットが、写真の洋服を立体的に写し出し、触れる・着られるようにする道具をポケットから出してくれる日を切に願います。
ではまた、26回目で。
AUTHOR
高木沙織
ヨガインストラクター。「美」と「健康」には密接な関係があることから、インナービューティー・アウタービューティーの両方からアプローチ。ヨガインストラクターとしては、骨盤ヨガや産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、体幹トレーニングに特化したクラスなどボディメイクをサポートし、野菜や果物、雑穀に関する資格も複数所有。“スーパーフード”においては難関のスーパーフードエキスパートの資格を持つ。ボディメイクや食に関する記事執筆・イベントをおこない、多角的なサポートを得意とする。2018~2019年にはヨガの2大イベントである『yoga fest』『YOGA JAPAN』でのクラスも担当。
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