取っても取ってもまたできる「首いぼ」とのイタチごっこ、40歳の向き合い方【連載 #発酵適齢期】
20回目の『発酵適齢期』は、終わりが見えない「いぼ取り」のお話。
こんにちは。ライターの高木沙織です。
「灯台下暗し」――。自分のことや身近なことは、かえって気づきにくいという例えで使われることわざがあります。そこで、私にとっての灯台の真下、つまり光が遮られ、暗くてよく見えない場所はどこかと考えてみました。
結論……、それは自分の首や胸もと。髪がかかっていたり、洋服を着ていたりして、顔の近くではあるけれど、顔ほどまじまじと見ないこのパーツが灯台の真下だったわけで。つまり、なにが言いたいのかというと、ここにいぼができるんですよ。一般的に、首いぼといわれるアレがまあまあしつこく。過去に4回、定期的にいぼ取りをしてきて最近気づいたのは「これって、永遠に終わらないよね?」ということ。
第20回『発酵適齢期』、今回はエンドレス・いぼ取りについて。
初めての首いぼ取りは、30歳のとき
首いぼと聞いたら、100人中100人が「首にできるいぼのこと」だと明察するでしょう。そのくらい名は体を表しまくっている首いぼですが、私が自分の首にその存在を確認したのはちょうど30歳のとき。
(なんか、首がザラザラしている)スキンケアをしているとき、突起というにはあまりにも小さい無数のポチポチに手が触れて、違和感を覚えたのがきっかけです。だけど、洗面台の鏡で見る限りなにも映っていません。そこで、手鏡を持ってグッと近い距離で確認すると、薄茶色をした1ミリ大のできものが首の左右にたくさんあるのを目視します。
得体の知れないものが、自分の肌にびっしりできていることへの不快感と嫌悪感……。見たくないと思えば思うほど、目を背けることができないから不思議。もしかして、気づいていなかったのは私だけで、まわりの人には見られていた? すぐさまネットで症状を検索してみると、どうやら首いぼっぽい。一度気になり始めたら最後、手で触ったり、食い入るように鏡を見たり、さらには(みんなにもこれ、できているの?)と失礼を承知のうえで人の首もとをチラ見したりする始末。
放っておいて治るようなものではなく、「年齢とともに徐々に増大するため、年を取ると目立ってきます」なんてことが某皮膚科のウェブページに書かれているものだから、ほとほと嫌気がさして、数日後に診察を予約します。
当日は、拡大鏡のようなものを使って首もとの診察から。医師曰く、加齢や紫外線の影響、摩擦、体質などによってできるいぼがあるらしく、私の首にできたのはまさにそれ。紫外線なんて、浴びっぱなしで30年間生きてきました。でも、不幸中の幸いとでもいいますか、なんと保険適応で治療可能と言われ、その日のうちに炭酸ガスレーザーを照射。想像の1/5くらいのあっけなさで、いぼ取りは完了したのでした。
首いぼ、ふたたび……
初めての首いぼ取りは、麻酔テープを使ったおかげでほぼ無痛。たまに、チクッとするくらいで、あとは顔の近くで聞こえるジジジッという機械の音や焦げ臭いニオイをやり過ごせば、ものの5分で終了。
左右15個ずつくらいあった首いぼ。治療当日は、照射した部分が赤く目立ち、(これ、ちゃんと消えるの?)と不安だったけれど、2~3日経つと赤黒くて小さなかさぶた状態に。それがはがれる4~5日目には赤みも引きはじめ、2週間もすれば(いぼ、どこにあったっけ?)くらい自然な肌状態。
それから8年。首はツルッとしたまま……だったのに、またあのザラリとした感触。いぼなんて、いきなりできるものでもないはずなのに、ある日突然気づくのってなぜなんでしょうね。(え~また?)と、前回よりは少ないポチポチにうんざりしつつも、コロナ禍で人と会う機会が少ない今のうちにと、ひっそり2回目の治療を終えます。
ところが、その2年後。今年の初夏に、ま~た出てきたんですよ。どんどんスパン短くなってない? 紫外線対策として日焼け止めは1日に数回塗り直しているし、民間療法でいぼ取りにいいといわれるヨクイニン(はと麦の内側にある生薬)のサプリメントも飲んでいるのに、それでも出てくるのかとガックリ。
しかも、今回は首だけじゃなく、胸のまわりにもチラホラ。いぼは、皮膚の柔らかいところにできやすいそうで、私の場合、アンダーバストの締めつけられている部分に多く出現。首はまた照射するとして、胸のまわりは場所も場所だし悩みどころ。
すると、ある夜こんな夢を見ました。
自分の体がバナナになっていて、無数の黒い斑点ができた皮を自らメリメリッとむく――という。いや、悪夢すぎるでしょう。そもそもバナナのシュガースポットは、果肉が甘く熟したことのサインだけれど、人の体にできるいぼとかシミはそんないいものじゃないですから。
……無論、当てましたよ。胸の下に炭酸ガスレーザー。あと、この原稿を書いている11月上旬の今は、首いぼ取りのダウンタイム中。
かかった費用は、皮膚科の保険診療で治療した場合、いぼ×20個でだいたい5,000円ちょっと。アンダーバストは、美容皮膚科の自費診療で照射したため、10,000円でいぼ×2個(大きさによる)しか取れず、課題は残ったまま。
こうしていぼ取りについて書いていると、自分でもちょっと気にしすぎじゃない?と思う反面、体質的にできやすいってこともありイタチごっこ状態。至近距離で見られたり、触れられたりしなければわからないとはいえ、Vネックの洋服が好きだし、割とポニーテールにもするしで、もう完全なる自己満足の世界。
30代の頃は、「人からどう見られるんだろう」という他人からの視線に対する自意識過剰さも、少なからずいぼ取りの決め手になっていました。だけど40歳の今、自分がどう感じるかで決めているところがあって、その変化に気持ちが楽になったような、どこか寂しいような複雑な心境をふんわりと抱いています。
誰かのための美も素晴らしいけれど、ちょっとガス欠気味。自分のための美……のほうが、緩いけれど怠け切っていなくてしっくりくる。それに、マイペースに長く走ることができそう。
まあ、こんなことを言っておきながら、(もういいや~!)なんていぼ取りをしなくなる日がいつかやってくるかもしれないけれど、まだその段階に至っていないしばらくのうちは、いぼポリスとして目を光らせる日が続くことでしょう――。
ではまた、21回目で。
AUTHOR
高木沙織
ヨガインストラクター。「美」と「健康」には密接な関係があることから、インナービューティー・アウタービューティーの両方からアプローチ。ヨガインストラクターとしては、骨盤ヨガや産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、体幹トレーニングに特化したクラスなどボディメイクをサポートし、野菜や果物、雑穀に関する資格も複数所有。“スーパーフード”においては難関のスーパーフードエキスパートの資格を持つ。ボディメイクや食に関する記事執筆・イベントをおこない、多角的なサポートを得意とする。2018~2019年にはヨガの2大イベントである『yoga fest』『YOGA JAPAN』でのクラスも担当。
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