炭も、火力が弱くなる前につぎ足しが必要。元気なときに休養を取ることの大切さ【連載 #発酵適齢期】

 炭も、火力が弱くなる前につぎ足しが必要。元気なときに休養を取ることの大切さ【連載 #発酵適齢期】
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高木沙織
高木沙織
2024-01-31

23回目の『発酵適齢期』、テーマは「疲れと休養」です。

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こんにちは。ライターの高木沙織です。

本日は、この場を借りてお詫びしたいことがあります。これまで、「朝、起きたときに感じる〇〇(体のパーツ)の痛みに△△ストレッチ」という内容の原稿を書くことが多々あった私です。しかしながら、本当の意味で痛みに寄り添うことができていなかったことを深く反省しております。というのも、40代に突入してからほぼ毎朝、起床後の首・肩まわりが痛いのなんのって。「これか……」と、わが身をもって体の痛みをひしひしと感じているわけです。

誠に申し訳ございませんでした。寝起きでベッドに平伏すると、岩のように凝り固まった僧帽筋上部(パーカーのフードがかかる部分の筋肉・肩こり筋)にギギギギッと痛みが走って涙が出そう。体が疲れているから痛むのか、はたまた痛むから余計に疲れるのか、心身の疲労感も半端ない。

23回目の『発酵適齢期』、今回は「疲れと休養」について。

疲れは翌日にあらわれる、そして長引く

体をよく動かした日――。「あ~疲れたっ!」と感じるものの、一晩寝れば次の日にはケロッとしていた30代。ところが、40代に突入してしばらく経ったころから、疲れ方が変わってきたように思うのです。

当日はまあまあ疲れているのだけれど、本格的にツラいのは翌日以降。朝、起きてすぐに感じるのは、鉛のような体の重ダルさです。排出されなかった疲労物質が体のあちこちで幅を利かせているのか、全然さわやかな朝じゃない。それでも、軽めのストレッチやヨガをして何とかスタートを切ることができる日もあれば、「これじゃあ、使いものにならん」状態の日も珍しくありません。地味な疲労感は、2~3日あとを引くこともあります。

そんな日は、集中力も途切れがちですから、3時間で書きあがるはずの原稿に5時間以上かかったりして効率がとっても悪い。デスクには、チョコレートの空袋と、SNSサーフィンによって無駄に充電が減ったスマホ。やっと仕事が終わったと思ったら、頭は疲労困ぱいなのに、体はさほど疲れていないという疲労のアンバランスさに襲われて、眠りの質が低下するところまでが一連の流れで、その繰り返しです。

ここで、重要性を増してくるのが休養――。

休むことに「罪悪感」はない、「恐怖心」があるのです

『発酵適齢期』23話
Photo by Saori Takagi

これまでは、「疲れたら休みましょう」といわれてきました。しかし、最近では、「疲れる前に休みましょう」といいます。

その違いはというと、疲れによる不調を感じる前に休んでおけば回復が早く、逆に不調を感じてからの休養は回復までにめちゃくちゃ時間がかかることにあるそう。これは、体もそうだけれど、メンタルへの影響も含まれていますよね。ほほう……、言っている意味はとてもよくわかります。それでも私は、休みを取るのが大の苦手

それこそ会社員時代は、休みを取るのが当たり前でした。休みを取らないと、労働基準法上のルールに違反してしまいますからね。休日に仕事関連の勉強をすることはあれど、働くことはまずありません。こんなふうに、休みの日に心おきなく休むことができたのは、会社員というワークスタイルによるところが大きく、ずばり毎月のお給料に影響しなかったからです。

かたや今の私は、フリーランス。こなした仕事の分しか、お給料は振り込まれません。つまり、ガンガン働いてなんぼの世界。働かざるフリーランスは、食っていくことができないのです。書く仕事だけでは食べていけなかった頃は、派遣会社に登録して週5日9~18時の仕事をして生計を立てていたこともあります。

休むこと=生活の不安に直結する、それだけではありません。数多のフリーライターが存在するこのご時世。休んでいるあいだに、自分の仕事がほかの人に取って代わられてしまう不安もなくはない。

よく、休めない理由のひとつに「罪悪感」が挙げられるけれど、私の場合は「不安からくる恐怖」です。その恐怖に打ち勝つために、考えついたことは2つ。とにかく蓄えておくこと。それと、「この人じゃなきゃダメだ」と思われる仕事をすること。2つめは、仕事を長く続けていくうえでも特に重要なことなので、方法というよりは教訓かもしれません。

2022年、ブレイク中の某女優さんが1ヶ月の休養を取ったことが話題になりました。このとき私は、「あぁ、蓄えも十分なうえに、きっと帰ってきたあとの仕事もある程度決まっているんだろうな」と、下世話さと尊敬が入り混じった複雑な感情になったことを記憶しています。だけど、ここにくるまでに、たくさんの苦労・心労もあったんだと思う。休むことに、勇気も要っただろうな。それでも、休養後に何かが変わると思うという言葉のとおりに、これまでよりも自愛と自信に満ちて戻ってきた彼女は、映画やCMで活躍しているから感嘆のため息です。

勢いよく燃えたぎる炭も、つぎ足しをしないと火が消えてしまいます。火力が弱り、くるぶり始める前に、新たな炭を追加する必要があるんです。これを、元気なときにあえて取る休養と捉えると、長く燃え続けるためにも、復帰後にいい仕事をするためにも、大事なことなのだと思わされるのでした。

ではまた、24回目で。

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高木沙織

高木沙織

ヨガインストラクター。「美」と「健康」には密接な関係があることから、インナービューティー・アウタービューティーの両方からアプローチ。ヨガインストラクターとしては、骨盤ヨガや産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、体幹トレーニングに特化したクラスなどボディメイクをサポートし、野菜や果物、雑穀に関する資格も複数所有。“スーパーフード”においては難関のスーパーフードエキスパートの資格を持つ。ボディメイクや食に関する記事執筆・イベントをおこない、多角的なサポートを得意とする。2018~2019年にはヨガの2大イベントである『yoga fest』『YOGA JAPAN』でのクラスも担当。



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『発酵適齢期』23話