便秘気味、むくみ、不眠etc.体調・体質別おすすめヨガポーズ

 便秘気味、むくみ、不眠etc.体調・体質別おすすめヨガポーズ
CHARLIE PAPPAS

今、あなたは自分の体をどのように感じているだろうか?「風邪をひいた」「熱がある」というようないわゆる病気の症状と言うほどのものでなくても、「便秘気味」「目が充血している」「ニキビができた」「焦っている」といった些細な状態にまで目を向けてみることはとても大切なことだ。アーユルヴェーダの考えで、それらの状態を整えることができる。ドーシャ(エネルギー)ごとに、体調のバランスを整えるポーズを紹介する。

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2004年、ラリッサ・カールソンは、西マサチューセッツ州のバークシャーの山中にあるKripalu Center for Yoga&Healthで、初めてアーユルヴェーダの診断を受けた。それは興味深くもほろ苦いものだった。疲労感やむくみを何とかしたいと思っていたカールソンに、アーユルヴェーダのドクターは、その原因は、忙しく動きながら食事をしたり、夜更かしをしてアイスクリームを食べながら深夜番組を見るといった、彼女のお気に入りの習慣にあることを伝えた。そして、5千年の歴史を持つホリスティックな健康科学に照らし合わせ、いくつかのシンプルな提案をした。夜9時以降は食べないこと。夜更かしはやめて朝もっと早く起きること。それがどんな結果となっただろうか? 大きな変化だった。「2、3日後にはもう疲労感もむくみも軽くなったわ。エネルギーのレベルが完全に変わったのよ」カールソンは言う。
これがアーユルヴェーダのマジックだ。食事とライフスタイルをベースにしたその処方箋の目的は、自分本来の体質を取り戻すことだ。結果として、それほど大きな苦労をせずに、長続きする健康的な変化を生み出すことができるのだ。処方箋は、ヴァータ(空と風)、ピッタ(火と水)、カパ(水と土)いう、あらゆる人が内側に持つ3つのドーシャ(エネルギー)のバランスを整えるように作られている。カールソンの悩みは、ピッタが強すぎることだった。彼女には忍耐力がなく、体が極端に熱くなるような激しいヨガのクラスを好み、常に忙しく体を動かしていた。ドクターの提案通りにしてみたところ、その効果はヨガのプラクティスを含めた人生の様々な面に現れた。「無理に難しいポーズをとるのをやめて、より穏やかな、持続的な動きをするようになったわ」カールソンは言う。ピッタの状態が落ち着いた時には、自分自身への忍耐力も増した。「アーユルヴェーダによって、刺々した部分が丸くなったの」彼女は話す。

アーユルヴェーダがもたらす変化

25年の指導歴を持つ認定アーユルヴェーダ・プラクティショナー(CAP)のジョン・ドゥイラードは、アーユルヴェーダとは本来、自然との調和を見つけようとするものなのだと言う。「静かに落ち着いて、気づきを持ちながら、人生の流れを下って行くのがいいんだ」と彼は説明する。「流れを遡ろうとばかりしていると、ボートから落ちないようこぎ続けるしかない。すると、人生が闘いとなって、変化を遂げる機会もなくなってしまう」。カールソンは、自らのアーユルヴェーダへの探求がインスピレーションとなり、自分自身もCAPとなった。彼女は、2004年にクリパルセンターの指導者に、2013年にはセンターのアーユルヴェーダ・スクールの学長となって、つい最近までその仕事に就いていた。クリパルセンターで過ごした時間と、11年間のヨガ指導の間、彼女は変化の途上にある何百人もの生徒に手を差し伸べ、トレーニングを行った。
ニューヨークシティを拠点にする理学療法士でヨガ指導者であるトレイシー・マルツの例を挙げよう。彼女は今年の夏、クリパルセンターでカールソンとドゥイラードの指導を受け、500時間のティーチャー・トレーニングを終了した。そのトレーニングでは、内容の一部にドーシャのバランスを整えることもあった。マルツはカパの傾向が強く、それまでずっと体重の問題に悩んでいた。「クリパルセンターで、自分がドーシャに合わない食事をしていたと知ったの」とマルツは言う。彼女は、消化をもたらす火であるアグニ(アーユルヴェーダで新陳代謝と同じ意味を持つ)を燃やし続けるため、たっぷりとした朝食、乳製品、生の食材、氷などを避けるようにとアドバイスを受けた。また、朝の時間は、自宅で不定期にのんびりとしたプラクティスをするのではなく、活発な人たちが集まるヨガのクラスに行くようになった。こういったことや、それ以外のライフスタイルの変化によって、彼女は2カ月の間に10ポンド体重を減らすことができた。「今は、バランスが整った自分本来の体になったと感じているわ」彼女は言う。マルツのゆるやかではあるが確実な体重の減少は、ゆっくり行う、というアーユルヴェーダによる療法を成功させるもう一つのカギを指し示している。「一度に劇的なステップアップを遂げようとするのはおすすめしないわ」カールソンは言う。「小さなステップを経て進んでいくと、変化に順応する時間ができて、神経系へのショックも少ないのよ」。
アーユルヴェーダを使って変化を遂げる準備ができただろうか?これからの時期は、アーユルヴェーダの健康的な習慣を身につけるのに最適な季節だ。まずは、自分のどのドーシャのバランスが崩れているのかを見つけてみよう。そして、アーサナを用いて、ポジティブな変化がキープできているかを観察していこう。

今の自分に目を向けてみよう。自分の状態がどれにあてはまるのか、それを知ることから始めよう。

ヴァータ

アーユルヴェーダ ヴァータ
(Photo by PIXTA)

不眠症や不安感があったり、落ち着きがなかったりするようならヴァータが強すぎるのかもしれない。腰や股関節の緊張、ガスや便秘、悪寒なども、ヴァータの不安定を意味している。

ピッタ

アーユルヴェーダ ピッタ
(Photo by PIXTA)

ピッタが安定していないと、胃酸過多、ニキビ、目の充血、動揺、短気などとして現れることがある。体の熱、嫉妬心、完璧へのこだわりなどを感じることもある。

カパ

アーユルヴェーダ カパ
(Photo by PIXTA)

カパが強すぎると、便秘、体重の増加、むくみ、意欲の欠如、ぼんやりとした思考、怠惰、所有欲や頑固さを感じることがある。

プラクティスを始める前に

まずはここの各ドーシャに特化したアーユルヴェーダとヨガのプラクティスを行い、体質のバランスを整えることから始めよう。どのドーシャのバランスが崩れているのか分からなければ、3つのアーサナシークエンスをすべて行い、プラクティス後の感覚に注目しよう。そして、もっとも多くのエネルギーが得られると感じたシークエンスを続けていくといい。シークエンスの終わりのリストラティブヨガのポーズは必ず行うようにしよう。秋の終わりから冬のヴァータの季節には、こういったポーズがすべての体質に有効だ。
アーサナのプラクティスには、マット、ブロック2つ、ストラップ、ボルスター、アイピロー、ブランケット2枚が必要だ。カールソンは、まず始めに太陽礼拝を3~6回、自分の好きな方法でゆっくりとリズムよく行うようすすめる。寒く乾燥したヴァータの季節には、太陽礼拝のような体を温めて心を落ち着ける動きが、どんな体質の人にも効果的だ。プラクティスの間は穏やかなウジャイプラーナヤーマ(勝利の呼吸)を続け、内側への集中を高めるようにしよう。

ヴァータの人は、緊張をゆるめ安定感をもたらすポーズを

1.ワシのポーズ

ワシのポーズ(ガルダーサナ)
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

タダーサナ(山のポーズ)で立つ。肘を曲げ、右腕を左腕の上にして前腕を巻きつけるように組む。背骨を長く保ったまま膝を深く曲げる。体重を右足に移動する。左の脚を持ち上げて、右の脚の上にかける。できれば、左足のつま先を右のふくらはぎ後ろに持っていく。両方の脚を軽く引き締めてポーズを安定させる。呼吸を下腹部のほうへ送る。すると、軸足がより安定するのが感じられるはずだ。3~6呼吸保ってから、ゆっくりとポーズを解く。反対側で繰り返す。

2.木のポーズのバリエーション

木のポーズ 
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

山のポーズで立ち、足の前にブロックを2つ60㎝ほど離しておく。体重を左足のほうへかける。右の脚を曲げて、右足首を左太腿の上部か鼠蹊部にのせる。ゆっくりと体を前へ倒し、手をブロックの上におく。安定した左足を保つ。頭頂部を床につける。息を吸うごとに、呼吸を腰と股関節のほうへと送る。3~6呼吸保ってから、ゆっくりと体をまっすぐに起こし、右足を床へ下ろす。反対側で繰り返す。

3.牛の顔のポーズのバリエーション

牛の顔のポーズ
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

座った姿勢から右膝を左膝の上に重ね、足を逆側の股関節の横に持っていく。坐骨はしっかりと床につけておく。右手を後ろの床につき、左の前腕を右太腿外側につける。体を右のほうへねじる。肩をリラックスして目を閉じ、呼吸を下腹部と背中のほうへ送る。ゆっくりとポーズを解き、脚を組み替えて反対側で繰り返す。

4.上向きのプランクポーズ

上向きプランク
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

脚を伸ばして手を体の後ろの床の上におく。指は腰のほうへ向け、大きく開く。骨盤を引き上げ、足の親指の付け根を床へ押しつける。頭頂部を床のほうへ解放するか、あごを胸のほうへ引く(軽減ポーズであるリバース・テーブルトップに入ってもいい)。3~6呼吸保って体を下ろす。

5.コンストラクティブ・レストバリエーション

コンストラクティブ・レスト
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

これは深い安定感と穏やかさをもたらすリストラティブのポーズだ。膝を曲げ、足を腰幅に開く。太腿内側の下のほうにブロックの広い面を当ててはさみ、太腿中央に輪にしたストラップをしっかりと巻きつける。かかとはマットにつけたまま、足の前の部分をたたんだブランケットの上におく。寒ければ、もう1枚のブランケットを体にかけよう。横になり、目を閉じてアイピローをのせる。胸のところで腕を組む。3~5分たったら腕を組み替え、さらに3~5分ポーズを保つ。

ピッタの人は力強くエネルギッシュなポーズを

体をねじり、折り曲げ、大きく開脚して行うポーズは、体をリラックスしてマインドをリフレッシュしながら、十分な負荷をかけて、深いストレッチをしたいという気持ちを積極的に満たそうとするものだ。体の熱が上がりすぎないよう、ほとんど聞こえないぐらい静かなウジャイプラーナヤーマを行いながらプラクティスをしてみよう。

1.体を回転させ、手で親指をつかんで伸ばすポーズのバリエーション

山のポーズで立つ。体重を左足にかける。右膝を腰の高さまで引き上げ、膝を曲げたまま左の手で持つ。胴体を右へねじり、右腕全体を伸ばす。左手で曲げた右の脚を体の反対側へ持っていってねじりを深めるか、

手で親指をつかんで伸ばすポーズ
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

右の脚を伸ばして左手で右足の親指をつかむ。

手で親指をつかんで伸ばすポーズ
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

あごと肩をリラックスする。3~6呼吸保つ。ゆっくりとねじりを解き立った姿勢にもどり、反対側で繰り返す。

2.体を回転させる開脚前屈のバリエーション

開脚前屈 
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

左右の足を平行にし、脚の長さ分ぐらい開いて立ち、その間にブロックをおく。体を前へ倒して左手をブロックの上におき、手から胸骨までを一直線にする。胴体を右へねじり、右腕を空のほうへ伸ばす。呼吸をウエストのラインのほうへと送る。そのまま3~6呼吸保ってからゆっくりとポーズを解き、反対側で繰り返す。

3.頭を膝につけるポーズのバリエーション

頭を膝につけるポーズ
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

脚を伸ばしてダンダーサナ(杖のポーズ)で座る。右膝を曲げ床へ下ろし、足裏を左太腿の内側につける。左のふくらはぎの内側にブロックをおく。両体側を伸ばし、股関節から左の脚のほうへゆっくりと体を前に倒していく。無理はせず、体が自然に止まるポイントでやめ、額をブロックの上に下ろすように。手は左の脚の両脇におくか、足をつかむ。目を閉じ、呼吸をお腹と背中中央へと送る。3~6回呼吸をして、楽に感じるスペースを作り出そう。その後、注意しながら体を起こし、反対側で繰り返す。

4.針穴のポーズのバリエーション

針穴のポーズ
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

横になって膝を曲げる。左太腿の上に右足首を重ね、両足首を屈曲する。左手で右足首を持つ。右腕を床上で肩の高さまで上げる。右足と左の脚の外側を床へ下ろし、体をゆっくりと左のほうへねじる。頭を左に向けて(まっすぐにしておいてもいい)目を閉じ、肩をリラックスする。左の股関節屈曲筋のストレッチを強めたい時には、右の脚の力を使って左膝を胴体から離れるほうへ少しずつ押してみるといい。胴体の左側のほうへ息を吸い込み、吐くごとに体を長く伸ばしてリラックスする。そのまま3~6呼吸保つ。ゆっくりとポーズを解き、反対側で繰り返す。

5.座位の開脚前屈のバリエーション

座位の開脚前屈
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

背筋を伸ばして座って脚を大きく開き、その間にボルスターを縦におく。脚全体を伸ばしてつま先は上を向け、股関節から前屈して頭と胴体をボルスターにのせる。頭を右へ向ける。腕はボルスターの横に、手は楽な位置に置く。目を閉じて呼吸し、2、3分リラックスする。頭を逆側に向け、もう2、3分ポーズを保つ。

カパの人は胸を開くポーズで全身に呼吸を巡らそう

解毒作用のあるねじり、エネルギーをもたらすサイドベンド、体を温める逆転、胸を開くバックベンドが入ったこのシークエンスが肺のつまりをとり、マインドを明るくするのに役立つだろう。深い呼吸で胸郭の椎間関節すべてを均等に呼吸で満たし、各ポーズから最大限の効果が得られるようにしよう。息を吐いた後に1、2秒呼吸を止めると、熱と刺激をもっと多く得ることができる(妊娠中は行わないように)。

1.サイドプランクポーズのバリエーション

サイドプランク
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

プランクのポーズをとる。体重を右手にかけ、右足を回転させ外側をマットへつける。左足を骨盤の前の床におく。右かかと内側全体を伸ばす。左腕を上げて耳に沿って伸ばし、左股関節と胸郭を空のほうへ引き上げ、体でアーチを作る。右耳を右肩のほうへ下ろす。呼吸を胸郭の左側へ送りながら3~6回呼吸する。ゆっくりと体を下ろし、反対側で繰り返す。

2.イルカのポーズ

イルカのポーズ(ドルフィンポーズ)
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

テーブルトップから前腕を床に下ろす。指を組み、つま先を返して膝と骨盤を引き上げ、脚をまっすぐにする。頭を下げ、骨盤を引き上げて背骨を伸ばし、かかとと前腕で下に押す。息を吐いた後に1、2秒止めながら3~6回呼吸し、体内の熱を少しずつ大きくしていく。

3.頭を膝につけて体を回転するポーズ

頭を膝につけて体を回転するポーズ
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

脚を前に伸ばして座る。右膝を曲げて床へ下ろし、足裏を左太腿の内側につける。左手を右膝に、右手は右股関節横の床へ下ろして体を右のほうへねじる。両体側を長くし、右腕を右耳に沿って伸ばして体を横へ倒し、左足をとる(あるいは、足に巻きつけたストラップをつかむ)。左手で左足の内側をつかみ、胸を天井のほうへ向ける。右側の胸郭を呼吸で満たしながら3~6回呼吸する。注意しながら手を左足から離し、座る。反対側で繰り返す。

4.橋のポーズ

橋のポーズ(セツバンダーサナ)
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

仰向けに寝て腕は体側に、膝は曲げて足を腰幅に開く。腕と足を下へ押して骨盤を床から持ち上げる。胸骨を天井のほうへ向け、鎖骨を広げ、あごは少し胸のほうへ引く。楽にこの姿勢がとれたら、肩甲骨を背中のほうへ引き込んで指を組む。胸郭前面に呼吸を送りながら3~6回呼吸する。指をほどき、椎骨を一本ずつ床へ下ろしてポーズを解く。

5.魚のポーズのバリエーション

魚のポーズ
(Photo by CHARLIE PAPPAS)

座った姿勢から、体の後ろにブロックを2つ置く。横になった時に1つが頭の下にくるように縦に、もう1つは背中の中央から上部にくるよう横にして、背骨に沿うように並べる。膝を曲げて足裏を床の上につけ、手のひらを上にして腕を体側に沿って伸ばす。肩をリラックスし、ゆっくりと胸郭前面に呼吸を送り、つまりをとって緊張をゆるめる。この姿勢を1~3分保つ。

 

 

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Story by Tasha Eichenseher
Sequences by Larissa Carlson
Styling by Emily Choi
Hair&make-up by Ramona Kelly
Translated by Yuko Altwasser
yoga Journal日本版Vol.51掲載

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