すぐイライラしてしまう人へ。怒りの感情に支配されない自分をつくる習慣
この現代社会、さまざまな要因でストレスを抱えている人は多いです。すぐに怒りが出てしまうのも、あなたが慢性的なストレスを抱えているという証拠でもあります。しかしながら、あなたがもし何らかのきっかけで誰かに対し怒りをぶつけたらどうなるでしょうか…?怒りがもたらす影響と、怒りに支配されずに心地よく日常を過ごすための方法について紹介します。
怒りの原因とは?
怒りの感情は、生活のあらゆるシーンで沸き起こりやすいです。職場の上司もしくは部下、パートナーや家族、友人に対してなど、自分の身近にいる人物にイラっとしてしまう人も多いのではないでしょうか。自分と近しい相手に怒りを感じてしまうのにいずれも共通しているのが、相手への期待値の高さと、相手を自分の思うとおりにコントロールできなかったことにあります。自分の思うとおりにいかない、自分の願いが叶わないという状況が受け入れられず、やきもきして相手を責めてしまうというパターンです。
怒ると良くない3つの理由
怒るという行動は、もともと敵から身を守るために備わった人間の本能とも言われており、それ自体悪いというわけではありません。しかし、そのせいでやっかいな問題を引き起こすため、怒って良いことはありません。その理由は以下の3つです。
思考が正常に働かなくなる
「頭に血がのぼる」という言葉どおり、血液量が脳に集まり過ぎると脳のパフォーマンスが低下します。そのため正常な判断ができずに仕事の能率が下がってしまうばかりでなく、新たな発想も生まれにくくなります。
人間関係が悪化する
相手に怒りをぶつけてしまうと、あなたの期待どおりに事が運ぶどころか相手からの信頼を失い、もっと良くない方へ進む可能性も…。下手したら相手はあなたのもとから去ってしまうかもしれません。たとえそれが相手のためと思ってしたことだとしても、受け止め方は人それぞれです。たった一度の怒りが、その後の関係に大きなリスクにもなりかねず、怒り方にはくれぐれも注意が必要です。
体に病をきたす原因にもなる
怒りは交感神経が活発になりアドレナリンが出ている状態です。つまり、体が攻撃態勢で緊張状態。血圧も上昇するだけでなく、脳血管障害、心臓発作など、さまざまな病の原因にもつながりやすくなると言われています。精神面だけでなく、体への影響も考えて。
怒りの本質には、別の感情がある
前にも触れたように、つい怒ってしまうという癖がある人は、あなた自身の心に何らかのストレスを抱えている状態でもあります。例えば、問題に対し思うようにいかない、対応できないなどと脳が感じると、その混乱が怒りに変わったり、また過去の傷ついた経験から、その時に受けたダメージがよみがえり、無意識に脳が拒絶や防御をしようと怒りに変わったりします。怒りの本質には、潜在的に自分が持つ悲しみ、不安、混乱などが背景にあるのです。
怒りを感じたら実践!4つの対処の仕方
怒りを感じたら、ひとまず深呼吸を
怒りは交感神経を活発にさせ、筋肉が緊張し、自然に行う呼吸が浅くなります。まずは怒りの対象から遠ざかり、腹式での深呼吸を繰り返しましょう。深呼吸をすることで、副交感神経の働きを強め、緊張がほどけて怒りもおさまっていきます。
怒りを感じている自分を客観的に見つめる
怒りに支配されていると、正常な判断がしづらいです。すぐに相手にやり返そうと行動を起こすのではなく、怒っている今の自分に気づき、自分自身を客観的に見つめていきましょう。時間を置けば脳が正常な状態に戻るので、冷静な判断ができるようになります。
適当、あきらめ、いい加減も大切にとらえる
怒りを感じやすい傾向の人というのは、上記のことが苦手であったり許せないと思っている完璧主義な人、せっかちな思考の持ち主に多いです。自分の思うとおりにならないとそれが許せずに他人を責めてしまいがちに。怒りの原因は相手ではなく自分自身の心です。「まあ、適当でもいいか」とあきらめてその状況を受け流すことも時には大切です。
相手の意見に傾聴する
自分だけの考えを押し付けるのではなく、たとえ納得できなかったとしても、相手の考え方を認め、尊重し、耳を傾けながら聞いてみましょう。それができると相手の不安は和らぎ、信頼関係がより強いものになっていきます。
怒りを鎮めるのに効果的な瞑想の習慣
怒りを感じやすい人というのは、実は自己肯定感が弱く、ネガティブ思考に陥りやすい人でもあります。今の自分にも満足できていません。怒らない自分をつくるには、自己肯定感を高めていく練習が必要です。そのために、ほんの少しの時間でもいいので生活の中に瞑想を取り入れてみましょう。単にネガティブな心を打ち消そうとしても効果はありません。瞑想は、気づきの練習です。今ここにいる自分自身の体や心に意識を向けて、今ある自分の状態に気づいていくことで、客観的に物事を考えられるようになり、ネガティブに陥ってしまっている思考を浮き沈みのない平坦な状態に戻します。
1.あぐらでも正座でもいいので、背骨を真っ直ぐにして座ります。
2.目を閉じて、静かに自分の呼吸に意識を向けていきます。
3.頭の中に他の思考が浮かんできたら「今、私は息を吸っている」または「今、吐いている」と、現在行なっている呼吸を心の中で言葉にし、客観的に自分の呼吸をとらえていきます。
最初のうちは、なかなか集中するのが難しいと思います。1分間が難しければ、30秒だけでも構いません。こうして客観的な気づきを繰り返し練習していくことで、真っ先に脳がネガティブな思考に陥るのを防ぎ、これまで怒りを感じていた対象の前でも平常心を保てる強い心が養われていきます。
瞑想の習慣で、怒らない自分を
いかがでしたでしょうか?あなたを怒りの感情から救うのにとても効果がある瞑想。今日からちょっとずつでもあなたの生活に取り入れてみては?
ライター/君嶋瑠里
2017年、会社員の仕事で心身共に疲弊していた頃、インストラクターの友人の紹介がきっかけで知った綿本彰氏のスタジオを訪れ、師事する。パワーヨガ、ラージャヨガ、その他様々な瞑想法を学び、2018年、指導者養成講座を修了しヨガインストラクターに。日常に活かせるヨガをテーマに実践中。2018年日本ヨーガ瞑想協会講師登録。2019年全米ヨガアライアンスRYT200取得。ヨガスタジオ、ホットヨガスタジオ、スポーツクラブ、公共施設にて指導。
参考文献:怒りにとらわれないマインドフルネス(藤井英雄著 大和書房)、「イライラ」がスーッと消える方法(鳥沢廣栄 彩図社)、ブッダ「愛」の瞑想(ティク・ナット・ハン 角川学芸出版)、脳が知っている怒らないコツ(加藤俊徳 ゴマブックス)他。
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