マインドフルネス瞑想は心の筋トレ!瞑想歴45年のメディテーターに聞く効果とやり方

マインドフルネス瞑想は心の筋トレ!瞑想歴45年のメディテーターに聞く効果とやり方
Shoko Matsuhashi

ごくシンプルなメソッドで効果絶大と、全米などで大流行している「マインドフルネス瞑想(メディテーション)」。瞑想歴45年、世界各国で指導を行うデイビッド・ニックターン先生と、彼に師事し、自身も全米ヨガアライアンスTT認定講師である鈴木まゆみ先生の対談を通して、マインドフルネス瞑想に迫ります。

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マインドフルネスとは、「今ここ」に意識をおく究極にシンプルなメソッド

鈴木先生(以下S)デイビッド先生には10年以上マインドフルネスを指導してもらっていますが、今回は対談できて光栄です。
デイビッド先生(以下D)僕もまゆみさんと語り合えてうれしいです。まゆみさんと会ったのは、12年くらい前でしたね。

デイビッド・ニックターン
デイビッド・ニックターン先生/photo by Shoko Matsuhashi


S:はい。私は先生と出会う10年以上前からヨガを練習してきて、ヨガの一部で瞑想も習慣にしていたんですが、瞑想のメリットをあまり感じられず、日常の悩みや問題も解決しない。何のために瞑想をしているんだろう、とずっと悶々とやっていました。そんな中で先生の指導を受け始めて、メソッドはとてもシンプルなのに、日常でも大きな効果を感じられて本当に感銘を受けたんです。
それは良かったです。今、マインドフルネスは世界的にポピュラーになってきていますが、効果と合わせて、誰でも実践しやすいシンプルさも人気の理由だろうと感じます。
S:このメソッドには難しい哲学もなく、❶良い姿勢で座る、❷自分が呼吸していることに意識を向ける、❸考え事が浮かんだらそれを追いかけず、ただ呼吸に意識を戻すを繰り返す。この3ステップだけで自分自身がどんどんクリアになって、悩むことも減りました。

マインドフルネスは心の筋トレ!

D:これは意識を「今ここ」に戻す力を鍛える、「心の筋トレ」のようなメソッド。私たちはその力を「マインドフルネス筋」と呼んでいます日々の悩みやストレスは、頭であれこれ考えたり妄想したり、外側に惑わされて自分がわからなくなることから生じます。頭の中に暴れ回る猿を飼っているような「モンキーマインド」の状態です。そのモンキーに巻き込まれてあれこれ考えるから、人は苦しくなるんです。
S:本当にそう! だからこそマインドフルネスの最中は呼吸にだけ意識を向けて、頭の中のおしゃべりに捕まらない、モンキーマインドに振り回されないようにする練習なんですね。
D:はい。そこではジャッジをしないこともポイントです。良いモンキーも悪いモンキーもいない、ただのモンキー(思考)です(笑)

鈴木まゆみ
鈴木まゆみ先生/photo by Shoko Matsuhashi

S:マインドフルネス中にほかのことが思い浮かんでも、それが悪いわけではなく、考え始めたらただ、「あ、考えた」と感じてすぐに呼吸に注意を戻せばいいんですよね。
D:思考に執着せず、「頭の中が忙しい」と気づければOK。そこから意識を戻して、今ここに意識をおく。するとモンキーは落ち着き、雑念や幻想、悩みにとらわれずに、自分の状態を捉えることができます。その繰り返しによって心の安定や強さ、鮮明さを培う。それがマインドフルネスメディテーションのメリットです。
S:私も毎日続けるほど効果を感じます。毎日10分から始めた練習も、今では歯磨きや入浴をするのと同じように、マインドフルネスをすることが当たり前になりました。
D:シンプルな方法だからこそ、いつでも、どんな精神状態でもできるところも魅力ですね。不安やストレス、さまざまな感情や思考が自分の中にあるのは当然で、あっていいもの。そこに気づいて呼吸に意識を戻し、シンプルに「今ここにある」ことを感じる。それが大きな変化をもたらすんです。

マインドフルネスがもたらす効果

D:毎日続けるとマインドフルネス筋が強化され、日常生活にも変化が起こります。今、私はここにいてしゃべっていますが、ここで「昨日あんなひどいことがあった……」などと考えてしまうと「今ここ」を生きられず、悩みに翻弄されるばかりですよね。
S:ネガティブな感情に引っ張られず、目の前のことや行動に意識を戻すことで、生き方が変わってきたのは私も感じています。
D:メディテーション後の時間をどう過ごすか、それを「ポスト・メディテーション」と呼びますが、メディテーションで培った力が、穏やかな日常のエッセンスになるわけです。マインドフルネスメディテーションを20分したとしても、1日は残り23時間40分もありますから!
S:そうですね(笑)。マインドフルネスが習慣になると、嫌な感情に巻き込まれず、常にその時々にやっていることに意識を戻せるから、無駄にネガティブな思考に捕まることがなくなるんですよね。

デイビッド・ニックターン
デイビッド・ニックターン先生/photo by Shoko Matsuhashi

D:はい。たとえば料理をしていて「今日、会社でこんなことがあった。あの人は私のことが嫌いなんだ」なんて、突然思い出すことがありますよね? でも、その考えに引っ張られるのではなく、「私は今、野菜を切っている」ことに意識を戻して、それを楽しむ。すべての瞬間で「今ここ」に意識をおくのです。
S:メディテーション中はネガティブな思考が湧いても、ひたすら呼吸に意識を戻すことができますが、たとえば友達とご飯を食べている時にふとした瞬間に過去の嫌だったことを思い出して、勝手に気分が萎えることってありますよね 。でもそこで「今私は友達とご飯を食べている」ことに意識を戻すとその時間を楽しめて、ポスト・メディテーションの効果を感じられます。
D:いいですね。日常でも「今ここ」を楽しめればずいぶん生き方が変わり、自分との向き合い方も変わっていきますよ。

日常では好奇心を持って内面を探る機会も大切に

S:私はマインドフルネスを続けるうち、以前より自分の心と向き合いやすくなったなとも感じます。
D:素晴らしいですね。メディテーション中は考えや感情を感じてもひたすら流して呼吸に戻しますが、それは自分の思考や感情を無視したり否定することではありません。このメソッドでは目を閉じずに半眼で行いますが、それは現実をシャットアウトするのではなく、向き合うため。特にネガティブな思考や感情は抑え込んで隠してしまいがちですが、モンキーは操ったり殺したりする必要はないんです。かといってネガティブな感情の濁流に呑み込まれてはいけない。日常では、自分の内面で感じることに「好奇心」を持って見つめるように心掛けると、新しい発見があったり、自分が陥りやすい思考パターンが見えてきたり、より自分自身を理解するきっかけにもなるんです。
S:すごくわかります。感情に巻き込まれると負のスパイラルで悲劇のヒロインに陥りがちですが、今は怒りを感じても感情的にならず、「この怒りはなんだろう?」と一歩引いて見られるようになりました。その怒りを冷静に探っていくと、その下には自分自身が感じている恐怖や不安が見えてきたり。感情を抑えつけて、見えない場所に押しやるのではなく、冷静に「この感情はどこから来ているんだろう?」と探る時間は自分を知る良い機会にもなり、それはマインドフルネスを毎日練習してきたおかげだと感じています。

鈴木まゆみ
鈴木まゆみ先生/photo by Shoko Matsuhashi

D:思考や感情を俯瞰して見られたり、自分を探求して理解できれば、自然と心も安定してきますからね。マインドフルネスはそうした心の安らぎをもたらし、「今ここ」への集中力も身に付く。さらには自分や相手、出来事に対しても「良い・悪い」の判断もなくフラットに見る力も養えるんです。
S:呼吸に意識を戻す基礎がしっかり身に付けば、日々のあらゆるシーンで応用できるので、私も日常のさまざまな場面で助けられています。すべての瞬間で「今ここ」を意識できるようになれたら理想的ですね!
D:それが叶えば人生はガラッと変わると思います。このプラクティスはどんな人でも、好きな時に練習できますが、とにかく毎日続けてもらうことが大切。私の生徒さんの中には3人の子供を持つママもいますが、家族より30分早く起きてマインドフルネスを習慣にしています。家族もその30分が、彼女に良い効果を与えていることを理解してくれているそうです。
S:1日10〜20分でも時間をつくって、毎日は無理でも週4〜5日など、続けてこそ大きな効果が実感できますね。体の筋トレと同じで、やめてしまうとマインドフルネス筋の衰えを感じますし(笑)。
D:多くの人は体を鍛えようとジムに通いますが、じゃあ心の筋トレはどうやるの? それがマインドフルネスで叶います。でも体を鍛えるように「よし、やってやる!」と意気込むと自分との闘いになるので、そうではなく自分自身と優しく向き合い、「自分自身ともっと友達になろう」くらいの感覚で、まずは2カ月続けてみてもらえたら。きっと2カ月後の自分に劇的な変化を感じられて、思考や感情もクリアに、心の安らぎを感じら
れるからもっと続けたくなるはず。ぜひ多くの人に毎日のルーティンに取り入れてみてほしいですね。
S:本当に。今日も素晴らしいお話をありがとうございました!

デイビッド・ニックターン先生
True Nature Meditation プログラムディレクター。NY在住の瞑想歴45年のメディテーター。「マインドフルネスを日々のエッセンスに」と北米や欧米各国で幅広く指導を行い、著書も多数。エミー賞も度々受賞する一流ミュージシャンでもある。

鈴木まゆみ先生
全米ヨガアライアンスTT認定講師(E-RYT500)として都内や全国で指導。シンディー・リー、デイビッド・ニックターンに師事。OM yoga、マインドフルネスの指導、ヨガ関連書籍の翻訳などを行う。

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Photos by Shoko Matsuhashi
Interpretation by Mizuka Koike
Text by Ayako Minato
yoga Journal日本版Vol.59掲載

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