アジャストメントに潜む罠|現役ヨガ講師が大怪我を通して感じたこと
マインドフルネスなども指導するヨガティーチャーの鈴木まゆみ先生。彼女が経験したヨガクラス中の大怪我は、「ヨガを指導すること」について、改めて見つめなおすきっかけになったと話してくれました。ヨガを指導する者も指導される者も、今一度、ヨガを伝える/ヨガを学ぶということについて考えてみませんか?鈴木まゆみ先生による手記、3回にわけてお送りします。
ヨガの先生って今、世界に何人いるんでしょう?
さまざまに形を変えて広がり続ける現代のヨガ。健康的で楽しくキラキラしている現代のヨガの世界には、もう一つの側面がありました。ヨガが大好きなみなさんを恐がらせたくて伝えるわけじゃありません。けれど、一度問うてみたい。ヨガが大好きなみなさん、先生に依存していませんか?そして、先生は生徒に依存していませんか?
アジャストを受けている間、逃げ場がなかった
去年参加したクラスで、股関節に大怪我を負いました。原因はパルブリッタパールシュワコーナーサナというポーズ中に受けた強いアジャスト。今は杖なしで生活できるようになって数ヶ月が経ちましたが、主治医に「もう前のような状態に戻るって考えないでね」と言われている通り、まだできないこともあり、1年半たった今も痛みが完全に無くなることはありません。
アジャストを受けている最中、私には逃げ場がありませんでした。自分の関節が耐えられる負荷を完全に超えているとわかったものの、固定されているので動こうとしても動けない。思わず口をついて出た「痛い!もうムリムリムリムリ!!」という悲痛な叫びも、アジャストしていた先生からは「わかる、これ痛いよねー」というまさかの反応(なんでしょう、寄り添い?共感?)。先生の力は全く緩まず、私は歯を食いしばって抵抗し、最後は力比べで私が負けた形になりました。惨敗。
クラスの後しばらくして発熱し、休めば治るかと思っていたら痛みは夜中にピークに達しました。どの体勢を試しても痛みは一向にひかず、ベッドの中で脂汗をたらし、朝を迎えました。いくつもの大きな整形外科を転々とし、最終的に出た診断は筋断裂、大腿骨骨挫傷、股関節唇損傷。
歩くのをお休みして下さい、とのことで松葉杖生活が始まりました。少しの動きでも激痛が走る。血液検査、尿検査、MRIやレントゲンを何度も撮り直し、痛み止めを飲みながら経過観察をする日々。
あまりにも良くなる兆しが見えなかったある日、主治医から「大腿骨骨頭壊死症という難病の疑いも視野に入れましょう」と告げられたこともありました。恐怖の上のまた更なる恐怖。それはまるで神様に「あなたはもう二度と笑ってはいけません」と烙印を押されたのかと思えるような宣告でした。
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