肩の怪我の予防と修復に役立つ4つのポーズ
日常生活で前傾ぎみの肩をリセットし、正しい位置で肩を動かす方法をマスターしよう。練習すれば、怪我予防だけでなく損傷部位の修復・強化にもつながる。
1.ウォールプランク(壁を使ったプランク)
肩甲骨を正しい位置におくことができるようになると、肩に体重がかかるポーズで、回旋筋腱板と上腕二頭筋の腱のアライメントが整うようになってくる。壁に向かい、立ってプランクをするように、手のひらを肩の高さにおく。壁の表面を引き下げるようにして、肩甲骨を下げる。これによって前鋸筋が活性化して、胸郭に肩甲骨を固定するのを助けるようになる。壁を押して、肩甲骨を突き出し、肩甲骨が両側に離れるのを感じよう。この動きによって前鋸筋がさらに活性化する。次に、実際には肩甲骨を動かさずに、肩甲骨を寄せようとしてみよう。こうすると、菱形筋も肩甲骨の安定を助けるようになる。最後に、右手を右側に、左手を左側にねじろうとして、肩を外旋させよう。こうすると、棘下筋と小円筋が強化され、上腕二頭筋の腱の損傷を最小限に抑えられる。
2.アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)
このポーズを正しく行えば、肩の怪我を修復し、肩帯全体を強化することもできる。(ダウンドッグやハンドスタンドのように)頭上にある腕に体重がかかっているときには、次の4つの動きによって、肩の最も安全な姿勢がわかる。
・(肩甲骨を左右に離す)肩甲骨が突き出ている
・(背中を下げる)肩甲骨が押し下げられている
・(上方回旋)肩甲骨が上方旋回している
・(後方回転)上腕骨が外旋している
肩に圧迫感があったら、いずれかができていない可能性があり、痛みや損傷が生じるきっかけとなる。肩甲骨を耳まで引き上げてはならない(上部僧帽筋、肩甲挙筋、鎖骨下筋に限度を超えた負荷がかかる)。肩甲骨を引き上げずに、優雅で長い「キリンの首」を心がけよう。最後に、背骨をまっすぐに保ち、必要なだけ膝を曲げて、胸郭と肩甲骨が肩甲胸郭関節でうまくつながるようにしよう。以上の動きはどれも、肩と体全体の強化を助けるものだ。
3.ターダーサナ(山のポーズ、バリエーション)
このバリエーションは、肩を強化し、毎日繰り返している前傾の動きから「リセット」するように肩を左右に開く。足を揃えるか腰幅に開いて立ち、腕を体側に無理なく下げる。(ウォールプランクと同様に)前鋸筋と菱形筋を同時に働かせることによって、肩甲骨を胸郭のほうに引き寄せてみよう。次に、肩を後方に回転させて、親指を後ろに向ける。こうすると、回旋筋腱板の背面(棘下筋と小円筋)が活性化する。問題は、肩甲骨を中央に寄せずにこれをすることだ。最後に、これまでの動きは維持して、腕の裏側だけを体側に引き入れてみよう。腕はあまり動かないが、この最後の動きによって、こうしなければ活性化しない弱い筋線維にスイッチが入る。この一連の動きを行いながら、一呼吸5カウント以上かけて、胸郭に十分呼吸を入れる。
4.ゴムカーサナ(牛の顔のポーズ)
肩の関節と軟組織の動きを潤滑にし、上腕の外旋と屈曲、前腕の内旋と伸展がどの程度できるのかよくわかるポーズ。脚を交差して座り(写真のようにゴムカーサナで座ってもよい)、右手のひらを前方、左手のひらを後方に向けて、右腕を上げる。左腕を可動域限界まで後方に伸ばす。このとき、右肩には外旋と屈曲、左肩には内旋と伸展がみられる。両肘を曲げて、背中に指を歩かせていき手を握る(背骨を歪めないと握れなければ、ストラップを利用しよう)。胸郭と背骨を押し出さず、背骨の自然な曲線を大切にしよう。5回深く呼吸する間保ったら、反対側も行う(反対側では可動域の違いに気づくだろう)。
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