くも膜下出血の前兆を見極める方法とは?医師が教える、片頭痛とくも膜下出血の違いや典型的な症状

 くも膜下出血の前兆を見極める方法とは?医師が教える、片頭痛とくも膜下出血の違いや典型的な症状
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-04-23

40歳以降の中年層から発症者が増え始めるといわれるのはどっち?片頭痛とくも膜下出血の違いや典型的な症状など、医師が解説します。

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片頭痛とくも膜下出血の違いは?

片頭痛の罹患傾向としては女性が男性の約4倍と多く発症しやすく、20歳代から40歳代の働き盛りに多く見られる病気と言われています。

片頭痛を引き起こす主な要因としては、ストレス、水分不足、寝過ぎや寝不足などの不規則な生活リズム、定期的な飲酒習慣、女性ホルモンの影響が挙げられます。

日々のストレスなどによって三叉神経領域が強く刺激され、神経末端より炎症物質を放出し、その炎症物質がさらに血管を拡張させて、片頭痛の場合には、ズキンズキンと表現される拍動痛をもたらす頭痛発作を発症すると伝えられています。

さらに、人混みなど環境の変化、寝すぎや寝不足といった生活リズムの変化、そして飲酒歴を持つ女性の場合には月経などの女性ホルモンなども関与して、片頭痛は発症しやすいと推察されています。

片頭痛における典型的な症状は、目の奥からこめかみにかけて、発作的に生じる頭痛であり、脈打つような痛みを感じます。

長年、片頭痛症状と付き合ってきた人には、その誘因や予兆に何となく気づくもので、一般的に偏頭痛の前兆としてよく知られている兆候が、閃輝暗点(せんきあんてん)です。

閃輝暗点は、視野の中にチカチカと光が出現する現象がおき、人によっては、「稲妻のようだ」、「ギザギザした光が見える」など多少表現の仕方が異なり、この予兆症状は目を閉じていても観察できることがあります。

せんきあんてん
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この前兆では、突然視野の真ん中あたりにきらきらした点が現れ、ギザギザした光の波が拡がっていき、発現してから約10〜20分程度でギザギザはなくなることが多いです。

一般的には、閃輝暗点の前駆症状を認めたあとに片頭痛の疼痛症状が引き起こされることが多いと指摘されています。

くも膜下出血

一方、くも膜下出血の発症原因は多々ありますが、ほとんどはくも膜下腔を走行する動脈の分岐部に脳動脈瘤が形成され、それが破裂することによって発症します。

統計学的に、おおむね40歳以降の中年層から発症者が増え始めるといわれています。

一般的に、脳動脈瘤の壁は正常な血管と比べて薄く脆弱になっており、血圧が一時的に上昇したときなどに急激に破裂するリスクが高くなります。

そして、動脈瘤がいったん破裂すると圧力の高い動脈の血液がくも膜下腔内に流れ込むことでくも膜下出血を発症する流れになります。

特に動脈瘤破裂に伴うくも膜下出血の場合には一度発症すると死亡率や後遺障害を残す確率がきわめて高く、本疾患を未然に防ぐ為には新たに脳動脈瘤が出来ているかどうかを評価する必要があります。

くも膜下出血の病状が軽度な場合には、自覚症状がほとんどないことも認められますが、重症な場合には命に直結する状態になることも少なくありません。

くも膜下出血は発症すると、意識のある場合には「突然バットで殴られたような激烈な頭痛」や嘔吐症状を生じることが特徴的です。

また、くも膜下腔における出血量が多い場合には脳が圧迫されることで重篤な意識障害を呈することも多く、突然死の原因となり得ます。

くも膜下出血の前兆を見極める方法は?

くも膜下出血の前兆の特徴的な症状として、血圧が激しく変動して、急な頭痛を引き起こす場合があります。

頭痛の程度は人によって異なり、頭痛の強さもさまざまですが、頭痛以外にも、目の痛みや物が二重にみえる、めまい、吐き気を認めるケースもあります。

こうした前兆症状は、しばらくすると改善することもありますが、その数日後に大発作を起こしたり、脳動脈瘤が脳神経を直接圧迫して、神経症状を認めることがあります。

脳はそれぞれの場所によって担っている機能が様々に異なり、障害された脳の場所によって典型的な症状も違って、くも膜下出血の場合には、強い頭痛症状、あるいは意識障害や言語障害、けいれん発作など多種多様な神経症状が出現する可能性があります。

頭痛は吐き気や嘔吐を伴い、意識が朦朧とする、意識を失うといった意識障害を生じることも少なくありません。

まとめ

くも膜下出血を発症した際の典型的な症状は、「激しい頭痛」、「意識障害」、「嘔吐」などが挙げられます。

特に、前兆として、頭痛を経験する人は多いです。

場合によっては、これまでに経験したことのないレベルの突然の持続する頭痛、バットで殴られた様な頭痛など表現は様々です。

典型的な頭痛症状もなく、いきなり意識を失う例もありますし、嘔吐や目の痛みなどの症状を訴える場合もあります。

突然に、激しい症状が出現する場合はくも膜下出血の可能性があるので、迷わず救急車を呼び、脳神経外科など専門医療機関を受診しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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