日記を毎日書いている?内なる自分を解き放つ、その効果とは
ハワイのヨガマガジン「Yoga HAWAII Magazine」人気記事をヨガジャーナルオンラインが独占配信! 今回は日記を書く事が心にどのような効果をもたらすかについて、ヨガティーチャーのローラ・メアリー・フリンが教えてくれました。
日記は魂につながる窓
日記を読むのは自分だけだ。正直に書こう。日記はより幸せで健康な人生へと導いてくれる。
ヨガは心と体と魂を繋げる練習だ。実は日記についても同じことが言える。紙にペン先をのせて言葉を紡ぎ始めれば、心(思考)と身体(手)と魂(内側から現れる本当の自分)はおのずと一つになる。自分で書いた文章に驚くこともあるだろう。ヨガマットの上にいる時や、何の不安もなく過ごしている時、私たちの動作や思考や行動はいつもよりスムーズになる。同様に、評価や出来栄えに縛られずに紙に書いてみると、それらの文字から普段とは違う自分の声を聴くことができる。他人の評価や判断を気にして書く時とは違い、自分以外に読む人がいない前提で書くと内容や文体は全く異なってくる。本当の自分、魂と繋がり、一つになれるからだ。
私にとっての日記は、自分と繋がるためのツールの一つだ。4人の男兄弟の中で唯一の女の子だった私は、毎日かかさず日記をつけていた。言うなれば、日記には幼い少女たちの生活そのものが書かれている。おそらく兄弟たちは日記を盗み読んで私の子どもの頃の日常を把握していたと思うが、親友や男友達やスポーツのことなど人に読まれたら恥ずかしいこともすべて書いていた。親友と私はおそろいの日記帳を買い、よく一緒にそれぞれの日記をつけていた。
中学に入ると日記を書く時間が減り、高校にあがる頃には日記帳はほこりをかぶり、単に10歳の頃の自分を振り返るためのレンズと化してしまった。だが大学に入ってから日記を再開した。2つのスポーツを掛け持ちする大学生アスリートだった私は、グラウンドの中と外で続く内外からのプレッシャーに向き合いながらの試練の日々を日記に綴った。学業と運動については私はものすごく自分に厳しかった。
日記は、私と私の思考の絶好のはけ口になっていた。今度は盗み読みをする煩わしい兄弟たちもいなかったので、自分のための自分だけの日記になった。私は最終学年でマインドフルネスの講義を取り、そのコースの一環として日記をつけ続ける必要があった。その時に日記を書くプロセスはまさに癒しであり、ヨガのようにマインドをクリアにする行為だと気づいた。以来私はずっと日記を続けている。200時間のヨガティーチャートレーニングの最中も書き続け、5年以上たった今でもほぼ毎日書いている。
私は日記をタイプ別に書き分けている。一つは日々思いつく格言やポジティブな考えばかりを綴った「ポジティブになる日記」。「感謝の日記」には、その名の通り、人生で感謝しているすべてについて書いている。ヨガのシークエンスを記録している日記も何冊もある。そして最後に「私の日記」。「私の日記」には何もかもぶちまけているので、家から絶対に持ち出さない。以前はこれらのすべてを「なんでも日記」にまとめて書いていたが、そのせいで二、三度痛い目にあったことがある。「なんでも日記」を家から持ち出した時に、ヨガクラスかどこか他の場所に置き忘れてしまったのだ。日記をみられたら自分の最も奥底の心の内を知られてしまうという不安から、せっかく得たヨガの効果もすっかり吹き飛んでしまった。だから日記を書くなら自分がやりやすい方法で書き分けることをお勧めする。それなら誰かの手に渡る心配もなく、思い切り自分の考えを綴れるだろう。そういう日記は癒しになる。セラピーセッションでの内容が秘密にされるように、日記もそうあるべきだ。
日記を書くことで得られる肉体的、心理的な恩恵はとても多い。アメリカ心理学会で公表されたレポートによると、日記は気分やストレス、うつに長期的な効果をもたらすという。また、日記をつける習慣が病気の発症を抑え、ぜんそくやエイズ、がんなどの病気への抵抗力を高めるという研究結果もある。
ニュージーランドの研究では、ケガをした患者たちがその出来事について書いたり日記で表現したところ、傷の治りが早まったことが生検で確認されている。心理学者のマシュー・リーバーマンは、自分の感情を書き出すことで脳が感情的な動揺を乗り越え、その結果、幸福感がもたらされると説明している。さらに具体的に言うと、ペンで紙に書いた文字を脳が把握すると、情動反応を司る偏桃体の活動が抑えられる。さらに研究の参加者たちに自分の感情を書き表してもらったところ、右の前頭皮質腹内側部が活発化し、強い感情を起こす神経活動の低下がみられたという。
ナショナル・パブリック・ラジオのキャシー・スイスは「日記は人生の道を照らす懐中電灯のようなもの」と語っている。人生を歩むなかで、出来事はただ起きるのではなく、あらゆる意味で私たちを変える。そして永遠に心に刻まれる。日記を書く行為を通じて私たちはその出来事を理解し、自分の視点で記録する。このプロセスで洞察力が増し、オープンに耳を傾けられるようになる。そして心の中で入り乱れる感情を放置せずに、書いて、見て、読むことができる。日記は私たちの考えや感情を整理し、将来に目を向ける手助けをしてくれる。さらにおまけの効果として、日記を続けるうちに文章や書き方も上達する。だが最も重要なのは、幸福感が増すことだ。人生の糧になるような出来事を振り返ることで自身の欠点や足りない部分が見えてきて、自分の可能性を感じられるようになる。その可能性こそが「懐中電灯」であり、行く道を明るく照らしてくれるのだ。
世界で最も影響力のある人々、例えばトーマス・ジェファーソン、マーク・トウェイン、チャールズ・ダーウィン、アイザック・ニュートン、パブロ・ピカソ、そしてバラク・オバマの面々は人生で起きた印象深い出来事を日記に残していたことで知られている。では日記を始めるにはどうしたらいいだろう? まずは素敵な日記帳を買おう。すぐにでも日記を書きたくなるような、大切にしたい日記帳にお金を使おう。そしてコンピュータを使わずに必ず手で書くこと。画面上ではなく、日記のページに記した手書きの文字を見る方が効果は上がる。
そしてルールに縛られずに日記を始めよう。自分ができる範囲で、最初は10分程度でもいいだろう。書くことに集中できるようにタイマーをセットすると良い。ほんの数行でもかまわない。どうしても言葉がでてこないときは、太陽礼拝や瞑想を少しやってから、また試してみよう。自由に書いて、何が起きるか見てみよう。
日記を書くのは最初は週に3回、1週間に30分で良い。全く新しい練習を始めることで人生に変化がもたらされるだろう。内容は何でもいい。感情、アイデア、想い出、出来事、目標、旅行など、ひらめくままに書いてみよう。人生はあっという間だ。だから自分のために書き記そう。自分の進歩や大きな成功を何度も読み返せるのはとても有益な経験だ。日記をつければ、過ぎ行く一瞬はいつまでも生き続ける。
「日記は人生の道を照らす懐中電灯のようなもの」人生を歩むなかで、出来事はただ起きるのではなく、あらゆる意味で私たちを変える。そして永遠に心に刻まれる。日記を書く行為を通じて私たちはその出来事を理解し、自分の視点で記録する。
教えてくれたのは…ローラ・メアリー・フリン
ニューヨーク北部の大学に通い、ハワイで卒業。公衆衛生学の修士号を取得した。現在はパワーヨガ・ハワイスタジオでの200時間のティーチャートレーニングやヨガリトリートを開催している。
ヨガハワイマガジン版/「Journaling is a Window into the Soul」
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