「命は全然、永遠じゃない」乳がんサバイバーyasukoさんが伝えたい言葉

 「命は全然、永遠じゃない」乳がんサバイバーyasukoさんが伝えたい言葉
乳がん経験者のためのウェルネスヨガコミュニティ

ヨガジャーナルオンライン では、乳がん月間に「PINK OCTOBER」企画として、乳がん経験者のためのウェルネスヨガコミュニティメンバーから「乳がんを経験する前の自分に伝えたい言葉」というお題で言葉を募り、その中から5つをピックアップしステッカーにデザインする、という企画を行いました。その中の言葉のひとつ「命は全然、永遠じゃない」という言葉を寄せてくれたコミュニティメンバーのyasukoさんに、言葉の真意を伺いました。

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―――乳がんが見つかったときのことを教えていただけますか? 

康子さん:当時3人目の子供を妊娠中で、その出産前日、授乳に向けて自分の胸をマッサージしていたときに、パチンコ玉のように硬い「しこり」の存在をはっきりと感じました。 

出産の一年半前には乳がん検診を受けていたし、問題もなかったので安心していたんです。なので、乳がんが分かったときのショックは大きかったですね。 

妊娠中は乳腺炎の症状や、ホルモンバランスの影響で胸が張って痛むケースがあります。 

でも、しこりに対して不安感が拭えなかった私は、出産当日に分娩台の上で、何回も主治医の先生に「診察を受けたい」と伝え、その病院に居合わせた乳腺外科の先生を紹介してもらいました。 

そして、退院後すぐに大学病院で診てもらった結果、乳がんステージ2の状態であることが分かったんです。出産から2週間半しか経っていない時点での乳がん発覚。どうしたらいいか分からず、気持ちはぐちゃぐちゃでした。 

―――当時、出産・子育てに加えて、ご自身の乳がん治療……どのように両立させていたのでしょうか。 

康子さん:治療中は、自分の母親も子育てに協力してくれたので、それが大きな助けとなりました。治療に専念しながらも子育てを両立できたのは、周囲の協力のお陰です。周りに頼ることも、治療を乗り越えるための大切なポイントの一つだと思います。 

―――トリプルネガティブタイプの乳がんだったとのことで、治療法は抗がん剤一択だったそうですね。子育て生活に影響もあったのではないでしょうか。 

康子さん:抗がん剤の副作用と同じくらい辛かったのが、生まれたばかりの我が子に母乳をあげられなかったこと。私は母乳がたくさん出るタイプだったのですが、これは普通であれば、喜ばしいことですよね。でも、抗がん剤治療中のお母さんは異なります。 

抗がん剤を使用していると、母乳にも抗がん剤が混じっている可能性があるので、子どもに与えることができません。母乳は破棄するしかなく、「絶対、赤ちゃんにあげてはいけない」と言われたのは、母親としてとてもショックでした。 

事前に体験談や副作用にまつわる情報収集もしましたが、辛いこと、苦しいことばかりが書かれていて、私の中ではとにかく怖いイメージが先行していました。同時に、赤ちゃんも生まれたばかりで、他に2人の子どももいるのに「私、死んじゃうのかな……」と、絶望したのを覚えています。 

―――今回、ヨガジャーナルオンラインに寄せてくださった「命は全然、永遠じゃない」という言葉は、どんなところから浮かんできたのでしょうか。 

康子さん:乳がんを経験して、「なんでもない日常に、ありがたさを感じるようになった」というのが大きいと思います 

病気になった人に限らず、私たち人間には無限の時間が与えられている訳ではありません。楽しいこと、やりたいことはどんどん実行しないと時間が勿体無い。乳がんを経験して、強く意識するようになりました。 

友達や家族と過ごす時間がとても尊いものだと心から思うようになりましたし、ただ側にいてくれるだけでも充分有り難いことだと、以前より体感しています。 

乳がんを経験して一度絶望を味わったからこそ、病気と闘っている人以外にも、「命は全然、永遠じゃない」という言葉が伝わってくれたら嬉しく思います。 

―――乳がんになる前の自分に宛てて、または今後乳がんや他の試練に立ち向かう可能性がある女性たちに伝えたいことがあれば、是非メッセージをお願いいたします。 

康子さん:今は自分自身の命に、ありがたさを全く感じていない人もいるかもしれません。病気の経験もほとんどなく、自分の体の丈夫さに自信を持っている人もいると思います。私が実際そうでした。 

「がん」という病気は、そのイメージからマイナスなことしか起こらないと決めつけられがちですよね。私も乳がんになった当時は、一瞬にして生活に色がなくなり、「あぁ、私死んじゃうんだ」と絶望した瞬間もありました。 

でも、闘病していた頃の私を含め、いま乳がんと闘っている、もしくは何かの試練に立ち向かっている人たちには、「大丈夫、大丈夫」「辛いことがあってもあなたなら乗り越えられるし、どうにかなるよ!」「前向きに生きられるようになるからね」と、声をかけてあげたいです。 

子供たちには「やらずに後悔するよりやって後悔しよう!失敗してもいいからなんでも挑戦しようね!!」という言葉をかけています。人生なにがあるか分からないからとにかく後悔しないよう歩んで欲しい!と思って。やりたいことや行きたいところがあれば、今すぐ実行しないと勿体無いというメッセージを、これからも私なりに伝え続けていこうと思っています。 

●お話を伺ったのは……yasukoさん
関東地方で暮らす乳がんサバイバー。3児の母。

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インタビュー・文/岩本彩

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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