【40代からの乳がん検診】マンモグラフィと超音波検査、どちらを受けるべき?乳腺科医師が解説

 【40代からの乳がん検診】マンモグラフィと超音波検査、どちらを受けるべき?乳腺科医師が解説
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乳がん検診の方法にはマンモグラフィや超音波など、いくつか種類があります。ですが、結局のところどれを受ければ良いのかわからない……と迷う人も少なくありません。40歳代から乳がんの発症が増えるため、早期発見のためにもより確実な方法を選びたいと考えるのは当たり前のことです。今回は、乳がんの専門家による情報発信グループのYouTubeチャンネル『乳がん大事典【BC Tube編集部】』の動画より、40歳から始めたい乳がん検診のポイントをお伝えします。

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科学的根拠が存在するかどうかで判断する

乳がん検診においては、第一にマンモグラフィでの検査が推奨されています。その理由は、実際に乳がんで亡くなる人を減らせることがわかっている科学的根拠のある唯一の検診方法だから。40歳を過ぎた人はもちろん、基本的に検診対象となる人全員におすすめされているのがマンモグラフィです。

マンモグラフィを基本に、そこに超音波をプラスするかどうかで考えるのが良いと専門家はいいます。同時に、超音波を追加することにはメリットとデメリットの両方があり、専門家がみても一概に「どちらの検査方法がいい」と断言するのは難しいそう。

マンモグラフィも超音波も「両方受けた方が安心感がある」という方もいるかもしれませんね。今回は、実際に行われた研究結果に基づいて、マンモグラフィに超音波検査を追加するメリットとデメリットについて解説していきます。
ぜひ、皆さんが検診を受ける際の判断材料にしてみてください。

40代以降はマンモグラフィを推奨

乳がん検診の目的は、乳がんで亡くなる人を減らすことです。そして、基本的に40歳以上の女性は2年に一度のマンモグラフィ検診が推奨されています国や自治体が主体になっている対策型検診でも、40歳以上にはマンモグラフィの検査が採用されています。

マンモグラフィ
40代以降はマンモグラフィを推奨

科学的根拠が存在するマンモグラフィ検査に比べ、超音波をはじめとした任意型検診に該当する、視触診やCT、PET-CT、MRI、トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)は、「いつ、だれに行うべき検査か」のデータが不足しており、個人の価値観に基づいて実施されています。そのため、実は乳がんで亡くなる人を減らせるかという点において、科学的には不明な診察方法なのです。

また、毎年続けてマンモグラフィ検診を受けたいと考える人もいるはず。これも「乳がんで亡くなる人を減らす」という点に着目して考えた場合、2年に一度のペースでマンモグラフィ検診を受けることよりも優れているかどうかは分かっていません。これらの結果から、複数の検査を受けたり頻繁に検査を受けたりすれば良い訳ではないということが分かります。

検査を2種類受けることのメリットとは?

ここでは対策型検診として「マンモグラフィのみで検査した場合」と「マンモグラフィに超音波を追加して検査した場合」の40歳代女性の約76,000人を対象とした研究データ(J-START研究)に基づいて説明していきます。
今回は分かりやすいように、1,000人単位の結果に置き換えたもので説明します。まず、以下の数字を確認してみましょう。

  • マンモグラフィのみの検査を受けた人
    1000人に対し、要精密検査となったのは88人(8.8%)。最終的に3.3人が乳がんの診断に至った。
    さらに、乳がんではなかったが検査が必要だった人は84.7人だった。
     
  • マンモグラフィ+超音波の検査を受けた人
    1000人に対し、要精密検査となったのは126人(12.6%)。最終的に5.0人が乳がんの診断に至った。
    さらに、乳がんではなかったが検査が必要だった人は121人だった。

上記のデータを見てみると、2種類の検査を用いた場合、マンモグラフィ単独と比べて要精査率は約1.5倍。乳がんの発見率も約1.5倍(研究の対象となった40代女性において)となりました。多くの乳がん患者を見つけることができたという点では、超音波検診を追加で受けることのメリットであるといえます。

デメリットはあるの?

2種類以上の検査を受けることで、やらなくてもいい追加検査を受ける可能性もあるという点がデメリットに該当します。
先ほどのデータは一見すると、超音波を追加で受けた方が要精密検査率が高いため、乳がんであるかもしれない人をたくさん発見できたといえそうですが、実際はそうではありません。

「乳がんではなかったが、追加の検診は必要だった人数」も同じく1.5倍いたことから、超音波を追加することで、マンモグラフィ単独に比べてさらに乳がんで亡くなる人を減らせるかどうかはまだ不明、ということになります。
検診で引っ掛からなければ受ける必要のなかった追加検査を、結果的に受けることになってしまった人が増えてしまった……とも言い換えることができ、精神的・金銭的・時間的な負担などさまざまな面を鑑みると、超音波の追加検査をするデメリットであるといえます。

個人の感じ方で判断することが重要

前述した、マンモグラフィに超音波を追加して検査することのメリットとデメリットから、やはり専門家であっても、一概に「超音波も追加したほうが良い」とはいえないのが現状。
「たとえ追加検査を受けることになっても、超音波も追加で受けた方が安心できる」という考え方も、もちろん間違いではありません。乳がん検診でどんな検査方法を選択・追加するかは、個人の感じ方や価値観によるところが大きく、最終的には個人の判断に任されることになります。

超音波検査だけでもいい?

専門家によれば、超音波のみの検診の意義は不明だそうです。若い方やデンスブレストといわれる乳腺の濃度が高い人は、もしかすると超音波も良いかもしれないと期待はされていますが、それについてはまだ結論が出ていません。
個別化検診といって、人それぞれに合った検診方法を模索する動きもあるようですが、わかっていないことが多いことから「これからの重要な課題」という状態です。

2年に一度のマンモグラフィ検査が推奨されていること以外は、個人の判断に任される部分がまだまだ大きいのが乳がん検診の実態。そのため、メリット・デメリットを含め、自分が納得できる方法で検診を受けるのがベストといえるでしょう。
今回お伝えした内容を参考に、ぜひ次回の乳がん検診の計画を立ててみてください。

動画で詳しく知りたい人はこちら

 

監修/BC Tube

一般社団法人BC Tubeとして2020年11月に設立。メンバーは複数の有志の乳腺科医を中心に構成し、YouTubeチャンネル「乳がん大事典 【BC Tube編集部】」を運営。乳腺科医が作成した動画を第三者の乳がん診療・研究に携わる医師と非医療者のレビューを経て定期的に公開し、客観的で科学的根拠のある乳がん情報の発信を行っている。

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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