乳がん検診に引っかかり、精密検査を受けてきた話【前編】「要精密検査」の文字が目に入って…

 乳がん検診に引っかかり、精密検査を受けてきた話【前編】「要精密検査」の文字が目に入って…
まゆ
まゆ
2023-07-19

ライターまゆさんによる寄稿記事。ある年の健康診断で受けた、意外な結果に、まゆさんは…。「健康」について、改めて考えるきっかけになれば幸いです。

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周りの人に聞いてみると、「痛い」「恥ずかしい」「検査費用が高い」「面倒くさい」「時間がない」といった理由から、乳がんや子宮頸がん検診を受ける人が少ないと聞いたので、私(まゆ)の経験を書いていこうと思う。痛いかもしれない、恥ずかしいかもしれない、検査費用がもったいないかもしれない。でも検診は受けてほしい!だって、何よりも、健康が1番だと思うから。

突然の「要精密検査」

会社から健康診断の案内は来ていたものの、体に不調はない。風邪をひいて仕事を休んだこともない。健康には自信があるほうだったので、何も気にしていなかった。

「さすがにそろそろ健康診断するかな」

年末の忙しい時期ではあったが、重い腰を上げて、1年半ぶりに健康診断の予約を入れた。

家に届いた健康診断の書類に目を通していると、オプション検査の案内がふと目に入る。今回検査を受ける病院はオプション検査に力を入れているらしい。「○○が気になる方は△△セット」と、特売セールのようなことが書かれてある。

「マンモグラフィと超音波エコーのセットだと少し安くなるのか。セットで申し込んでみるか」

母親から「若くてもマンモくらいは受けておきなさい!」と強く言われていたので、毎年マンモグラフィは受けていたが、超音波エコー検査は人生で初めてだった。

何度も言うが、体に不調はない。何も気にすることなく、健康診断をうけた。

 

検査結果が家に届き、Twitterのネットニュースを見るくらいの気持ちで目を通し始める。

最後のページで「要精密検査」の文字が目に入った。超音波エコー検査だった。

よく見ると、検査結果と一緒に紹介状も同封されている。

「こんなぺちゃぱいに何かあるわけないじゃん。安心するために検査だけ行っておくか」

この時はそれくらい軽い気持ちだった。

大学病院でのマンモグラフィ、超音波エコー検査

健康診断の結果に同封されていた紹介状を持って、大学病院へ向かう。

人で溢れかえっている土曜の大学病院。思い返してみれば、家族の付き添いやお見舞いで来たことはあったが、自分の診察は初めてである。

「この用紙を持って外科の受付に行ってくださいね」

受付の人から紙を渡されて、乳腺は「婦人科」ではなく「外科」だと初めて気が付いた。

待合室で30分ほど待ってやっと診察室に呼ばれた。

「健康診断の超音波検査で引っかかったんだね。そうしたら、もう一度マンモグラフィーと超音波エコー検査をやります。検診センターの機械とは精度が全然違うんですよ。検査いつ来られますか?」

診察室で検査の予約だけして、この日は終わった。

 

マンモグラフィーと超音波エコー検査は健康診断の時にやっている。

どんなことをするのか、どんな流れなのか分かっているものの少し不安だった。

マンモグラフィ検査が終わり、超音波エコー検査を受ける。

上半身裸になり、ジェルをつけると、検査技師さんが腫瘍があると思われる左胸に機械をぐりぐりと滑らせる。

超音波画像がリアルタイムでモニターに映し出され、自分の胸が見えた。

ベッドに横たわった状態でモニターを凝視していると、検査技師さんがスクリーンショットをとっている。腫瘍と思われる黒い影にマークをしているのが分かった。

「あぁ、やっぱ左胸に何かあるのね。こんなにマークしてるってことは何かがあるのは確実なんだろうな…」

この日のうちに検査結果は出ないとのことなので、そのまま家に帰った。

「がん」という言葉の破壊力

「こんなぺちゃぱいなのに、何か悪いことあるわけないじゃん。仮にあったとしても簡単な治療をするくらいでしょ」と、結果が出るまで間は、なるべくポジティブに考えるようにしていた。

後日、検査結果を聞きに来たが、診察の待合室まで来ると心がざわついた。診察室に入ると、検査結果の紙を先生が見ている。

「左胸に腫瘍がありました。乳がんの疑いがありますので、次はMRIと採血をします。先生も乳腺外科の専門の先生に変わりますので…」

 

……。がん……?

 

検査技師さんがマークをつけていた時から何かがあるとは覚悟はしていたが、「がん」という言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。

先生の話に頷くのが精一杯だった。

初めてMRIを受けるということもあり、続けざまに看護師さんから詳しい説明を受ける。

「”ぞうえいざい”を入れて、MRIをします。当日はアクセサリーは全て外して、‥‥‥‥」

淡々と説明をする看護師さんの言葉は、頭の中で右から左に流れていった。

(”ぞうえいざい”って何?)と思いながら、渡された説明書を読んでやっと、体の中をよく映すための”造影剤”という点滴だと分かった。

アレルギーがある人は副作用がでることがあるらしい。稀に死に至る場合があると注意書きがある。喘息持ちのわたしは、検査時に先生が立ち会うこととなった。乳がんだと分かる前に死んだら困る。

全ての説明が終わって、やっと思考回路が復活してきた。

がんだったら、薬物治療とか、ホルモン治療をする可能性もある?
そうしたら、妊娠できる可能性も低くなるよね?
手術したら、胸に傷跡が残るよね?
そもそも全摘になったらどうしよう?
まだ独身だけど、今後一緒になりたい人が出来たとき、伝えなきゃいけないよね?
こんなマイナスなことどう伝えるの?

帰り道、涙が溢れた。

 

次回は、「MRI・針生検、みなさんに伝えたいこと」を書いていきます。

※この記事は私の経験談です。検査の流れ、期間、医師の対応は異なる場合がありますので、担当医師の指示に従いましょう。

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AUTHOR

まゆ

まゆ

ライター/エッセイスト



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