マンモグラフィってどんな検査?被曝のデメリットは本当?受けるタイミングは【乳腺科医が解説】

 マンモグラフィってどんな検査?被曝のデメリットは本当?受けるタイミングは【乳腺科医が解説】
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乳がんは早期発見できれば、治療によって治る確率の高い病気です。検査方法の中でもマンモグラフィは「痛いと聞いたことがあるから検査を受けたくない」という人もいるかもしれません。今回は、乳がんの専門家による情報発信グループのYouTubeチャンネル『乳がん大事典【BC Tube編集部】』の動画より、代表的な乳がん検査である「マンモグラフィ」検査に関する正しい知識をお伝えします。

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マンモグラフィ検査でなにが分かる?

マンモグラフィとは、乳房専用のX線撮影装置のこと。つまり、乳房専用のレントゲンです。乳がん検診のほか、乳房の精密検査、乳がん治療後(術後)の定期的なチェックを目的に活用されています。
マンモグラフィ検査では、乳房を専用の台に乗せて上下の板で圧迫しながら、乳房を薄く伸ばして撮影します。平たく伸ばして撮影することで、少ない放射線量でよりはっきりと状態を診ることが可能になります。

検査の痛みは我慢しないといけない?

乳房を圧迫するため、検査時には痛みを感じる場合があります。痛みには個人差がありますが、いつまでも痛みが残ったり、病変が潰れて飛び出すことはありませんので、安心して検査を受けましょう。
専門家によれば「どうしても痛みが我慢できない場合は、検査技師に遠慮なく申し出てほしい」とのこと。痛みが強すぎる場合には、無理せず診療放射線技師に声を掛けるようにしましょう。

生理後の検査がおすすめ

痛みを感じにくいタイミングを活用することで、ストレスは少なく検査を受けることがきます。生理のある人は、生理後から排卵までのあいだは乳房が柔らかく、痛みが少ない傾向にあります。そのため、生理後に検査を受けるのがおすすめ。
ですが、生理前だからといって検査が受けられない訳ではありませんし、精度が落ちるということもありません。ご自身の好きなタイミングで検査を受けてください。

マンモグラフィでどんな変化を見ているの?

マンモグラフィでは、触診では分かりにくい小さなしこりも捉えることができます。マンモグラフィ撮影後は、乳腺科医や放射線科医が以下のようなポイントに注目しながら詳しく観察します。

  • 左右差がないか
  • 過去の写真と比べて新しい病変がないか
  • 異常がないか

代表的な所見は「しこり」

マンモグラフィでは、何もない部分は黒く写り、筋肉や脂肪など何かあるところは白く写ります。同様に、乳房内の「しこり」も白く写りますが、その白さの度合いは周りの脂肪や筋肉や乳腺に比べても「より白く映る」そうです。(※必ずしもしこりの方が濃い白とは限りません。)

マンモグラフィ
BC Tube編集部 乳がん大事典より

検査で見つかる代表的な所見は乳房のしこりの有無ですが、医師が読み取る情報はそれだけではありません。たとえば、しこりの「形」は円形や楕円形なのか、それとも多角形なのか。また、しこりの境目の状態、濃度は低濃度なのか高濃度なのか。
これらの点を診ながら、より多くの情報を得た上で総合的にみた結果「良性と悪性どちらが考えられるか?」「さらなる検査が必要か?」が判断されます。

乳房の石灰化とは?

マンモグラフィの得意分野とされるのが、乳房の「石灰化」の発見です。石灰化はしこりと同様に代表的な所見であり、何らかの原因でカルシウムが沈着したものをいいます。
乳腺の中の石灰化は、砂のような白い点として映ることが多く、石灰化の形や広がり方で良性か悪性かを判断できることも多いといいます。

石灰化
BC Tube編集部 乳がん大事典より

石灰化はエコーでは発見しにくい

石灰化はエコーでは見つけにくく、マンモグラフィだからこそ発見できる所見。石灰化の発見は、マンモグラフィ検査の強みといえます。
石灰化もしこりと同様に、医師によって詳しく観察されます。明らかに良性の石灰化と判断されるものを除いた上で、「どんな検査の追加が必要か?」「どういった病気を念頭におくべきか?」を検討します。また、乳腺のひきつれ(構築の乱れ)や、左右対称かといった点もチェックされます。

マンモグラフィ
BC Tube編集部 乳がん大事典より

マンモグラフィのデメリットは?

触診では見つかりにくい小さなしこりや石灰化を見つけることができる一方で、マンモグラフィにもデメリットがあります。
その一つが、被曝の問題。マンモグラフィはX線撮影装置ですので、手や足のレントゲンを撮るのと同じように、放射線を受けることになります。ですが、マンモグラフィの放射線が人体に及ぼす危険性は、ほとんどありません。

動画内の解説によれば、一回の撮影で乳房が受ける放射線の量は「東京からニューヨークの飛行機のなかで受ける、宇宙からの自然放射線量より少ない」といいます。海外旅行で受ける自然放射線量より少ないと聞くと、検査に対する安心感が増す人も多いのではないでしょうか。

妊娠中のマンモグラフィは基本的にNG

妊娠中の女性は、基本的にマンモグラフィ撮影を受けることはできません。授乳中であれば、母乳に放射線の影響が出ることはないため検査を受けることが可能です。

動画で詳しく学びたい人はこちら

 

監修/BC Tube

一般社団法人BC Tubeとして2020年11月に設立。メンバーは複数の有志の乳腺科医を中心に構成し、YouTubeチャンネル「乳がん大事典 BC Tube編集部」を運営。乳腺科医が作成した動画を第三者の乳がん診療・研究に携わる医師と非医療者のレビューを経て定期的に公開し、客観的で科学的根拠のある乳がん情報の発信を行っている。

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構成・文/岩本彩

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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