「自然のリズムに沿った暮らし」を体現。ブラフ弥生さんの〈東京⇔長野〉二拠点生活 #暮らしの選択肢

「自然のリズムに沿った暮らし」を体現。ブラフ弥生さんの〈東京⇔長野〉二拠点生活 #暮らしの選択肢
写真提供: ブラフ弥生

近年、テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、都市と地方の二拠点で生活する人々が増加傾向にあるということをご存知でしょうか。国土交通省の調査によれば、二地域居住等を実践する人は約6.7%に達し、約701万人と推計されているんだとか。また、複数拠点生活を行っている人は全体の5.1%に上るとの報告も。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ」二拠点生活者たちから、その魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる「暮らしの選択肢」の今を伝えます。

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今回お話を伺ったのは、東京と長野県の山荘で二拠点生活を送る大人気アーユルヴェーダ講師のブラフ弥生さん。2020年頃からオンラインの仕事を徐々に増やし東京と長野の行き来をはじめ、二拠点になった現在も、精力的にアーユルヴェーダの教えを広げる活動をされています。アーユルヴェーダの教えに沿って「自然のリズムに沿った暮らし」を続ける、ブラフさんの二拠点生活は一体どのようなものなのでしょうか?ブラフ弥生さんの二拠点生活に迫ります。

〈プロフィール〉ブラフ弥生 

写真提供: ブラフ弥生
写真提供: ブラフ弥生

ヨガインストラクターと並行してインド哲学を学ぶうちにアーユルヴェーダと出合い、2010年、南インドでセラピー技術を取得。講座やセラピスト養成、執筆活動などを通じて精力的にアーユルヴェーダの魅力を広げる。著書に『アーユルヴェーダの心地いい暮らし「最近の私、いい調子!」が続く』(主婦の友社)など。
Instagram: @herbalayurveda

山の中で「自然のリズムに沿った暮らし」がしたい!

– ブラフさんが、東京と長野の二拠点生活をはじめたのは、いつ頃からだったのでしょうか。

ブラフさん: 行き来をはじめたのは、2020年頃ですね。けれど実は、長野の山荘は、2017年頃にはすでに購入していたんです。この山荘は、もともと私の両親の所有物で、売りに出すという話だったので、「私が買う」と申し出ました。ただ、長野の中でも、かなり外れた場所にありまして、公共交通機関ですと、電車とバスを何本か乗り継いでいかないといけなかったんです。そのため、しばらく放置していました。2020年に、二人の娘たちと一緒に教習所に通うようになり、車の免許を取得しました。それから、東京と長野で行き来をするように。2022年頃からは、月の半分をそれぞれの場所で過ごすようになり、二拠点生活をはじめました。

– ご両親から山荘を購入しようと思ったのはどうしてですか?

ブラフさん: アーユルヴェーダをやっている影響は大きいかもしれません。アーユルヴェーダを簡単に定義すると、「自然のリズムに沿った暮らし」ということだと思うのですが、まさに私も自然のリズムに沿った暮らしをしたいと思ったんです。例えば、暗くなったら寝る、太陽が出たら起きる、といったことや、四季の変化を感じながら暮らすということです。

– 確かに東京では、夜でも明るかったり外が賑やかで就寝時間が遅くなってしまったり、夜寝るのが遅くなると、朝もなかなか起きれないということも珍しくありませんよね。

ブラフさん: 意識しないとリズムは崩れてしまいますよね。また、もともと植物が好きというのもあります。東京の自宅も窓が大きくて植物が見えているような空間ではあるのですが、もっと植物に囲まれている方が嬉しいな、と。実は、山荘を購入した当時は、「二拠点生活をしよう」とは思っていなかったんですよね。

– いずれか東京から移住するというイメージを持って購入したということだったんですね。

ブラフさん: そうですね。実は、もうかなり近い内に、移住するつもりでいるんです。山荘を購入した当時は、オフラインでアーユルヴェーダサロンを行っていたので、仕事のメインは東京だったということもありましたが、今はオンラインメインに仕事をしているので、仕事的にも支障はありません。また、娘たちも成人して、それぞれの生活を送っています。ただ、夫は東京で仕事をしていて、定年退職まではまだしばらく時間があるので、私だけ先に移住をしようと思っています。

– では、近い内にブラフさんは、長野の山荘で1拠点生活になるわけですね。

ブラフさん: 実は、そうでもないんです。と言うのも、最近、両親から購入した山荘とは別に、長野に家を買ったんです。それも山荘なのですが、同じ山じゃなくて隣の山にある家で。もともと持っている山荘は、スペース的に一人暮らしにはちょうどいいけど、夫婦で暮らすには少し微妙なんです。また、我が家は犬1匹と猫3匹も飼っているので。私も夫も、山での暮らしがとても気に入っていて、いずれかは東京から移住しようという方向性は同じなので、もう一つ家を購入するに至りました。そこは、二人で暮らしができる環境が整っています。夫の仕事が落ち着いたら、東京の家を売りに出す予定です。

山の中では、パソコン仕事をしても目が疲れない!

– 東京と長野の生活で違いは何かありますか?

ブラフさん: めちゃめちゃありますね。特に違うと思うのは、夜の暗さですね。かなり山の奥に進んだところに山荘があるので、暗さが半端じゃないんです。例えば夜に到着して、車のライトを消したら何も見えなくなってしまうほど漆黒です。だから、夜外に出る時は、スマホの電気をつけて、なんとか手探りで進むしかありません。

– 完全に自然の中にいるということですね。

ブラフさん: そうなんです。そのため、夜はめちゃめちゃ眠くなるんですよ。それは、暗さだけでなく、静けさも影響していると思います。人気のない山なので、耳に届くのは動物の音や、風の音など、自然音だけ。東京の夜でも静かな場所というのはあると思いますが、電磁波が飛んでいたり、目には見えない色々なものが動いてるのではないでしょうか。だから、山の中では、9時くらいになると、すごく眠くなります。自然と寝ようと思うというよりも、「もうダメだ…」という状態で(笑)

– まさに「自然のリズムに沿った暮らし」が体現できているわけですね。朝は、何時に起きるんですか?

ブラフさん: 犬と一緒に山に行くと散歩のために起きないといけないのですが、実は私は朝が苦手なタイプなんです。夏は4時くらいから、鳥の音がすごいのでかなり早く目覚めますが、冬は目覚まし時計をかけて7時くらいですかね。けれど、目覚ましをかけないともっと長く寝てしまうと思います。冬は朝も、とても静かで、さらに太陽が出てくるのも遅いですし。アーユルヴェーダーでは朝早く起きることを勧めていますが、冬の間は太陽が出て明るくなるのが遅くて、夜が長いんですよね。だから、自然のリズムで考えると、日本の冬で、特に山の中で暮らしているのであれば、目覚めのリズムもそれに合わせてもいいのかな、と思っています。

– そういった自然のリズムを体感できるのも、山の中での暮らしの醍醐味かもしれませんね。東京ではなかなか感じられないでしょうし。お仕事は、東京にいる時にメインにされているのでしょうか?

ブラフさん:仕事は東京でも長野でも変わらずにやっています。執筆だったり、あとはオンラインのセッションやオンラインの講座などオンラインの仕事が多く、どちらにいても問題ありません。違いと言えば、オフラインでの仕事は、東京で行っているくらいです。

2020年までは、オフラインでサロン業務をメインにやっていたので、東京で時間縛りの仕事になっていましたが、二拠点生活を機に、時間縛りの仕事を少しずつ減らしていこうと思って、今に至っている感じです。職種にもよるとは思いますが、私の場合はどこでも仕事ができるので、そういった意味でも二拠点生活でもできますし、長野に完全移住をした後もやりやすいとは思っています。

– 東京と長野で、オンオフを切り替えられるということはありますか?

ブラフさん:場所を移動したからといって、 感覚的なオンオフを感じるということは、私はあまりありませんね。ただ、長野にいる方が仕事の質的には、集中力が上がりますね。あとは、あくまでも私の体験ですが、目が疲れないんです。

– それはいいですね!どうして目が疲れないのでしょうか?

ブラフさん: 専門的なことは詳しくは分からないのですが、おそらく山の中だということが影響しているかもしれないと私は考えています。「緑は目に優しい」と言うじゃないですか。長野では、パソコン越しに緑一色が広がっているんです。なので、パソコン見つつ、木々の緑が自然と目の疲れを癒やしてくれているのではないかと思います。

– パソコン仕事をする人たちはみんな森の中でやった方がいいかもしれないですね(笑)

ブラフさん: 少なくとも、私の場合は圧倒的に目の疲れ具合が違うと感じています。私は、執筆作業や、アーユルヴェーダのテキスト、手帳など制作系は、長野でやった方がはかどります。東京にいる時の方が、目が疲れてしまうので、こまめに休憩しないといけないですね。だから、できる限り、場所に合わせて、仕事内容や作業内容は計画的にやるようにしています。

 

>>後編へ続く

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