「山の中では、自然と心身が整う」ブラフ弥生さんの〈東京⇔長野〉二拠点生活 #暮らしの選択肢

「山の中では、自然と心身が整う」ブラフ弥生さんの〈東京⇔長野〉二拠点生活 #暮らしの選択肢
写真提供: ブラフ弥生

近年、テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、都市と地方の二拠点で生活する人々が増加傾向にあるということをご存知でしょうか。国土交通省の調査によれば、二地域居住等を実践する人は約6.7%に達し、約701万人と推計されているんだとか。また、複数拠点生活を行っている人は全体の5.1%に上るとの報告も。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ」二拠点生活者たちから、その魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる「暮らしの選択肢」の今を伝えます。

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今回お話を伺ったのは、東京と長野県の山荘で二拠点生活を送る大人気アーユルヴェーダ講師のブラフ弥生さん。2020年頃からオンラインの仕事を徐々に増やし東京と長野の行き来をはじめ、二拠点になった現在も、精力的にアーユルヴェーダの教えを広げる活動をされています。今年52歳となるブラフさんは、二拠点生活をするようになってから、東京だけで暮らしていた頃よりも、「体力が上がった」と感じているそう。移動のある二拠点生活を送る中で、心身の健康を保てているのはどうしてでしょうか?ブラフ弥生さんの二拠点生活に迫ります。

〈プロフィール〉ブラフ 弥生 

写真提供: ブラフ弥生
写真提供: ブラフ弥生

ヨガインストラクターと並行してインド哲学を学ぶうちにアーユルヴェーダと出合い、2010年、南インドでセラピー技術を取得。講座やセラピスト養成、執筆活動などを通じて精力的にアーユルヴェーダの魅力を広げる。著書に『アーユルヴェーダの心地いい暮らし「最近の私、いい調子!」が続く』(主婦の友社)など。
Instagram: @herbalayurveda

二拠点生活で盲点だったのは、ペットのお世話

– 二拠点生活をはじめる前にイメージしていたことと異なっていたことは何かありますか?

ブラフさん: ペットのお世話ですね。先程もお話した通り、我が家には犬1匹と猫3匹がいます。犬は長野に一緒に行くことはできますが、猫は自分のテリトリーの範囲内で生活をするのを好む動物です。そのため、猫はまだ長野には行ったことがないんです。私か夫のどちらかが長野にいる間は、どちらかが東京で動物たちの面倒を見ています。二拠点生活をはじめた最初の頃は、娘たちが近くに住んでいたので、動物たちのお世話をしに来てくれていたのですが、今は離れてしまったので。今の所は、夫婦バラバラに行き来をしています。ただ、近い内に完全移住をするので、その問題もすぐに解決すると思います。

– 犬は、長野に行くと行動や性格が変わるということはありますか?

ブラフさん: それが、あまりないんです。と言うよりも、むしろ少し物足りないと感じているかもしれません。うちの子は、人が好きな犬なので。長野では、お散歩をしていても、人に会うことがないんです。また、寒いのが苦手で、冬の間は東京にいても、散歩を面倒そうにしたりするくらいなんですよ(笑)東京での生活が長いということもあるので、長野の生活に慣れてしまえば大丈夫だとは思いますが。

– 長野で暮らすようになって、東京に対しての価値観や見方は何か変わりましたか?

ブラフさん: 特にないですね。東京の家は都心部からは離れていて、自然も豊かな場所にあります。それに、都心部と比べると、そこまで便利というほどでもないんです(笑)だから、もともと東京に対して特に思うことがあったから山で暮らすようになったわけでもなく、あるいは山の中で暮らすようになってから何か感じることに変化があったということはありませんね。

– 逆に、長野の生活が不便だと感じることなどはありませんか?

ブラフさん: 今の二拠点生活という状態では、不便だと感じることはありません。もしかしたら、移住をした後は、色々問題が出てくることもあるかもしれませんが。ただ今は、山の中にいると、1日1日、季節の移り変わりを眺めることができることが嬉しくて。それこそ、アーユルヴェーダのヴァータ、ピッタ、カパ(※)のエネルギーを感じます。特に、今の時期(取材時は、11月上旬)の紅葉がすごく綺麗です。日を追うごとに葉っぱの色がどんどん変化していくんです。常に美しいのですが、その美しさを1日でも見逃すのはもったいないなって思っています。

※ヴァータ、ピッタ、カパ:アーユルヴェーダにおける3つの生命エネルギー(ドーシャ)。それぞれ「空・風」「火・水」「水・地」の要素を司る。これらは、人の心身の基本的な性質を表し、健康や病気を管理する上で重要な要素とされています。アーユルヴェーダでは、この3つのドーシャがどのように混じり合っているかによって、個々の体質が決定される。

– 移住したら、毎日余すことなく自然の美しさに浸ることができますね!東京と長野では、1年を通して、寒暖差も大きいと思うのですが、そこに苦労されることはありませんか?

ブラフさん: 確かに、温度が違いますね。けれど、特に苦労するということはなく。強いて言うなら、冬は山荘の方は水抜きをしなくてはいけないということくらいでしょうか。一方で、夏は、エアコンなくて過ごせるので快適です。夏の夜にエアコンをつけないで寝れるのは大きいですね。

山の中では、自然と心身が整う

– 二拠点生活は移動も増えるので、それなりに体力が必要になるかと思うのですが、ブラフさんの場合は、二拠点生活を送る中で心身を整える方法としては、やはりアーユルヴェーダが軸になっているのでしょうか?

ブラフさん: あくまでも私の所感ですが、自然の中で過ごすことによって逆に体力が上がっているような気がするんです。人って、自然の中に入ると体調整ったりするじゃないですか。私も、忙しくても山に行く方が、心も体も整う気がしています。それこそ、山に行くとアーユルヴェーダを気にしなくてもいいんです。逆に、東京にいるから、アーユルヴェーダの知識を意識しておかないといけない気がしています。 東京にいると、生活リズムがどんどん崩れちゃうタイプなので。

– 夜、暗くなったら自然と眠くなるというのも自然の摂理ですもんね。山の中では、もうアーユルヴェーダの世界が広がっているわけですね。

ブラフさん: そうですね。だから、山を行ったり来たりしているせいか、不調は全くなくて。私は、今年で52歳になりますが、更年期症状も全くないんです。きっとそれも、山で過ごしている時間が影響しているのではないかと思っています。山に入ると自然のリズムの方が、現代の人間の生活リズムよりも影響力が大きいような気がします。

– 私たちも自然の一部だからもうすんなりその自然のリズムになっていくんですかね。大きな自然に囲まれると、その力に抗えないと言いますか。

ブラフさん: そうですね。自然のエネルギーの方が強い。だから、その通りのリズムになっていくのかと思います。もしかしたら、それが、東京にいるのとの一番の違いなのかもしれないですね。

アーユルヴェーダの知識を実践するためには自然に多く囲まれた場所に行かないといけないと思いがちですが、もしかしたら都心部のような忙しい場所にいるからこそ、アーユルヴェーダが必要なのかもしれませんね。

ブラフさん: そうですね。私も、山の中で暮らすようになって、アーユルヴェーダの知識というのは、都心部や自然を近くに感じられないような忙しい場所に暮らしている人にとって、必要不可欠なのだと思うようになりました。もしかしたら、完全移住をしたら、私自身のアーユルヴェーダの必要性にも変化があるかもしれません。すでに長野の方では、アーユルヴェーダを意識することが薄くなっているので。

– ブラフさんのアーユルヴェーダとの向き合い方にも変化があるかもしれないということですね!それも自然なことなのかもしれませんね。最後に、今後の展望について教えて下さい。

ブラフさん: 今は、移住に向かって前進していきたいと思っています。新しく購入した家には、ドッグランを作ったりしようと思っているんです。動物たちも一緒に楽しく暮らすことができるようにしていきたいですね。また、畑ができるスペースもあるので、東京の家や、今の山荘の家だけではできないことにもどんどんチャレンジしていきたいと思っています。

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