東京⇔千葉 子連れ / 犬連れ 二拠点生活。刺激の多い田舎暮らしとは? #暮らしの選択肢

東京⇔千葉 子連れ / 犬連れ 二拠点生活。刺激の多い田舎暮らしとは? #暮らしの選択肢
写真提供: ikuno

近年、テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、都市と地方の二拠点で生活する人々が増加傾向にあるということをご存知でしょうか。国土交通省の調査によれば、二地域居住等を実践する人は約6.7%に達し、約701万人と推計されているんだとか。また、複数拠点生活を行っている人は全体の5.1%に上るとの報告も。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ」二拠点生活者たちから、その魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる「暮らしの選択肢」の今を伝えます。

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今回、お話を伺った二拠点生活者は、東京と千葉県で愛犬1匹、1歳と3歳の子供たち、夫と共に、二拠点生活を送っているikunoさん。平日は東京でデザインの仕事をし、月に数回千葉のセカンドハウスを訪れます。田舎で暮らしてみると、実は東京の暮らしよりも刺激が多いということに気づいたと言います。その理由は?ikunoさんの二拠点生活に迫ります。

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〈プロフィール〉ikuno

フリーランスデザイナー。

東京と千葉県で二拠点生活中。

Instagram:@iknn.iknn

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無駄足を重ねることで、良い物件が出てきた時に瞬時に良い判断がくだせる

– 二拠点生活を始められた経緯について教えて下さい。

ikunoさん: 最初に二拠点生活をしたいと思うようになったのが、2020年でした。それが、ちょうど犬をお迎えした頃で、よく友人家族と犬を連れて千葉の方に旅行に行っていたんです。千葉県には、犬と泊まれるリゾートホテルやペンションがたくさんあるんですね。それで、千葉に足繁く通うようになったのですが、全般的に犬と泊まれる施設の宿泊料金が割高なんです。それで、これだけ通っているのであれば、家を買えるのではないかと夫と話すようになりました。

– 2020年というと、コロナ禍真っ最中ですね。三密を避けながら、犬連れでの旅行が最初にきっかけということですね。

ikunoさん: はい。さらに、しばらくして第一子が生まれました。子供が生まれた後も、旅行には行っていたのですが、赤ちゃんを連れての旅行があまり楽しめなかったんです。特に乳児の頃は、大量におむつや着替えを持っていったり、離乳食を準備したり、ホテルでも安全対策をしたり...旅先を楽しむことよりも、慣れない場所での育児の労力が上回ってしまう感じでした。さらに犬も同行できるところとなると選択肢が限られてしまいます。それで、子供が小さいうちは色々な場所を転々として旅行するよりも、リフレッシュできる場所があれば良いというように考えるように。それで、セカンドハウスを購入しようという話に自然となっていったんです。とは言っても、すぐに行動に移したわけではなく、数年はこういう場所だったら良いなというイメージを膨らませたり、建材費がどれくらいになるという下情報などを調べたりして、売地を見に行ったり、ショールームを見たりして過ごしていました。実際に不動産を見始めたのは、2023年の年始です。

– 今のセカンドハウス以外には、どのような場所を見て回ったのですか?

ikunoさん: 実は、最初は土地を購入して、家を建てたいと考えていたんです。ただ、ちょうど建材の価格が上がりはじめた頃だったので、それは断念しました。それで、北関東の方の別荘地を見に行ったりしました。けれど、あまりピンとこなかったんですよね。私たちが内覧した別荘の建物は、簡易的なもので、壁が薄かったり建て付けも悪かったんです。。一度、真冬に内覧しに行った時に、コートを着て靴を履いていても、室内がすごく寒くて。場所や物件によるのかもしれませんが、別荘を購入する方は、夏の間だけ使うという目的で購入する方が多いようなのです。いわゆる、夏を避暑地で過ごすということのようですね。ただ、私達はせっかくなら1年中使いたかったので、住居として建てられ、造りがしっかりしている中古物件を購入してリノベーションするのが現実的だという結論に達しました。

– 千葉に決められたのは、旅行で千葉を訪れることが多かったからでしょうか?

ikunoさん: 自宅から車で1時間以内で通うことができるというところが大きいですね。移動時間が片道1時間半以上になってくると、我が家の場合は段々と行かなくなってしまうだろうと思ったんです。まだ、子供たちも小さいですし、犬も一緒に行くので。せっかく、セカンドハウスを持っても、行かなくなってしまうのは勿体ないじゃないですか。これは、色々な場所に実際に足を運んだからこそ分かったことですね。

– 2023年の初めに、不動産を見始めてから、今のお家を見つけるまでにどれくらいかかりましたか?

ikunoさん: 2ヶ月ぐらいですかね。3月の初めに不動産のサイトで物件を見た時に、「これは絶対にいい」と思ったんです。

写真提供: ikuno
写真提供: ikuno

– 直感が働いた感じでしょうか。

ikunoさん: これは、夫と私の不動産購入に対する考え方なのですが、自分が買おうと思っているタイミングよりも、ずっと前から色々な物件を見ることが大切だと思うんです。そうすることで、良いものが出てきた時に、高い買い物でも瞬時に決断ができるようになるんですよね。いい物件は数日で売れてしまうこともあるので、スピードが重要だと考えています。だから、購入したい時期から、探し始めるのはちょっと遅いのかなと思います。営業は足で稼げというような泥臭いやり方なのですが、実際、私たちのセカンドハウスとなった物件が出てきた時に、一切の迷いもなく購入の決断ができたのは、こういう考えと行動がベースにあったからだったと振り返って思います。

– 不動産も、できるだけ多くの数に触れることで直感が養われたというわけですね。具体的にどういったところに惹かれたのでしょうか?

ikunoさん: 私たちのセカンドハウスは何かしらの理由で売主さんが早く売りたかったようで、相場よりもだいぶ安い値段で売りに出ていたということが第一に挙げられますね。セカンドハウスでは子供と犬をめいっぱい遊ばせたいと考えていたので、大きなお庭があること、140平米の広さがあったというのも大きかったです。ただ、最初に問い合わせた時には、もうすでに売れてしまっていました。やはり、物件的にすごく良いものだったので、動きが早かったんです。

– 一度売れた物件を買うことができるようになったのはどうしてでしょうか?

ikunoさん:数日後に、買主さんの都合でキャンセルになったと連絡を頂いて、それでとにかく急いで見に行きました。内覧をしに行った当日に、購入の意思もお伝えして、契約の手続きに入りました。それから、2023年のGWから二拠点生活がはじまりました。

 

– 見に行く前からほぼ心に決めていてて、実際見て、間違いないと思ったわけですね。そういう俊敏な動きが出来たというのも、不動産購入に対してかなりの時間を費やしたからということですよね。

ikunoさん: はい。実は、東京の自宅を購入する時もそうだったのですが、かなり無駄な動きをしてあれこれ見るようにしていたんです。今回見つけた物件は、売主さんが早く売りたい事情があり、たまたま相場より手頃な価格で出ていました。かなり無駄足も重ねたのですが、結果的に良かったと思っています。

東京よりも刺激の多い田舎暮らし

– 今どれくらいの頻度で行き来されてるんですか?

ikunoさん: 平均して、月に1-2回ほどですね。平日は東京で大人は仕事、子供たちは保育園の生活。週末は、千葉で過ごしています。

– セカンドハウスではどのように過ごされることが多いのでしょうか?

ikunoさん: セカンドハウスでは、、家族で家の中で過ごすことが多いです。ゆっくりとした時間の流れを楽しむために、時計とテレビは置かないことにしています。あとは、友人家族もよく泊りがけで遊びにきてくれるんです。その時は、近くのレジャースポットに行って、夜にセカンドハウスで二次会をしたりしています。庭があるので、子供たちや犬を遊ばせたり、この夏は大きいプールを出したり、バーベキューをしたりもしました。東京のマンションだと、近隣の方に配慮しながら子供たちを遊ばせているので、すごくのびのび過ごせていると感じています。

– マンションですと、ご近所さんへの配慮もありますしね。

ikunoさん: そうですね。あまり大きな音は出せないです。また、東京の自宅はいずれは売るという前提で購入したので、極力汚れや破損のないように気をつけていて。一方で、セカンドハウスは、築45年ということもあって、その辺はおおらかな気持ちで見守ることができます。東京ではルールの中で子供を押さえつけてしまうことがあると感じているのですが、セカンドハウスの方では、自由にできているので、それはすごく良かったですね。

 

– 東京と千葉で違うところはどんなところだと思いますか?

ikunoさん: 私たちのセカンドハウスのある場所は完全に車生活のエリアで、家の駐車場に2台車が停まっている家もよく見かけます。道を歩いている人が少なく、生活スタイルはかなり違うと感じますね。東京では、徒歩や自転車での移動が多いです。

– 千葉の中でも、ikunoさんのセカンドハウスのある場所というのは、車なしでは生活できないということですね。

ikunoさん: はい。また、自宅の造りの違いもあります。東京の自宅は、大型のマンションで頑丈で守られた空間です。家を出なければ、外が風が強いのか、雨が降っているのか、今日の気温がどのくらいなのかも感じにくいんです。良い意味で、ストレスが少なく、一定の生活をしていると思います。ただ、裏を返せば、変化を感じることが乏しい環境にいるようにも感じます。一方で、セカンドハウスの方は、季節によってお庭の木に実がなったり、行くたびに違う花が咲いたりするので、季節や自然を近くに感じる環境が整っています。また、古い戸建てということもあり、 風が強い日は雨戸がガタガタ揺れてうるさくて寝れないこともありますし、屋根に打ち付ける雨の音の大きさに驚いたり、冬は足の裏が凍りつきそうになるくらい寒かったり、家の中を虫が歩いてたりするのもしょっちゅうですね。なので、自然環境が室内にまで入ってきていているような感じで、1年の流れを感じやすいです。

– 東京での生活の方が刺激的で、セカンドハウスの方がなんかゆったりしてるというイメージでした。けれど、どちらかというと、セカンドハウスでの暮らしの方が刺激が多いようですね。

ikunoさん: そうですね!東京に帰ると、すごく「疲れたな〜」と感じます(笑)移動をしているということもありますけれど、東京の生活の方が不便が少ないので、楽に暮らせていると感じています。近くに何でも揃っていて、寒くも暑くもない。そういった一定の生活をしているので身体的ストレスからは守られているように感じます。

セカンドハウスの方は、労働がとにかく多いんですよね。例えば、夏場に布団を床に敷きっぱなしにしてると、布団の裏にカビが生えてしまったり。家を空けている期間もあるので、空気の循環がないと、カビが生えやすくなってしまいます。だから、いちいち布団を2階に上げなくてはいけないんです。あとは、家が古いので、雨戸の開け閉めをしなくてはいけなかったり、庭仕事もかなりの重労働ですね。なので、セカンドハウスは、生きること、暮らすこと、また四季を感じるということをダイレクトに受けた生活をしています。

– ゆっくり過ごすために購入したけれど、実は動いていることの方が多いわけですね。毎週行くというよりは、月に数回だと、余計労働が増えそうですね。

ikunoさん: 毎週あるいは、隔週で通っていたらまた違っていたかもしれませんが、予定が入って2ヶ月間が空いてしまうということも過去にはあって。そういう時は、庭の草木が驚くほど伸びてジャングルのようになっていました(笑)管理については、甘く見ていたと思っています。思っていた以上に労力がかかるものでした。ただ、そういった肉体労働的なことも、結構気持ちよくできている部分もあって、楽しんでやっています。

>>後編へ続く

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