医師が「朝一番には絶対飲まない」と決めている意外な飲み物は?
「朝はとりあえず一杯の水」「スムージーでビタミン補給しています」―外来でよく聞くフレーズです。どちらも“いかにも健康的”。否定すると驚かれます。でも私は、朝一番にはあえて飲みません。その理由を、少し具体的な事例も交えながらお話しします。
朝の身体は「まだ起動中」
目は覚めていても、内臓はまだ本調子ではありません。起床直後は副交感神経優位で、胃腸の動きもゆっくり。
ここに冷たい水を一気に流し込むとどうなるか。
▼実際の外来例
30代女性。「朝は健康のために冷たい水を500ml一気飲みしています」とのこと。しかし毎朝9時前に腹痛と軽い下痢。
水を常温に変え、コップ1杯をゆっくり飲むことにしてもらっただけで、症状はほぼ消失しました。
冷水は交感神経を刺激します。目は覚めますが、胃腸にはやや刺激が強い。体質によってはそれが不調につながります。
「スムージー」は意外と攻めている
スムージーは見た目も華やかで、罪悪感ゼロの朝食に見えます。
でも医師として気になるのは「糖の入り方」です。
▼例を挙げます
40代男性、デスクワーク。朝はバナナ・リンゴ・はちみつ入りスムージーのみ。10時頃に強烈な眠気と集中力低下。血糖自己測定をしてもらうと、朝に急上昇 → 2時間後に急降下。
液体状の果糖・ブドウ糖は吸収が速い。空腹状態では特に顕著です。血糖の乱高下は、眠気やイライラの原因になります。
「健康的に始めた習慣が、実はパフォーマンスを下げていた」というケースは珍しくありません。
冷たい × 甘い のダブル刺激
さらに問題なのが、冷たいスムージー。
▼過敏性腸症候群の20代女性の例
毎朝グリーンスムージー。日中のガス・腹部膨満感が続く。朝をやめ、昼に変更しただけで症状はかなり改善。
腸は温度変化に敏感です。特にストレスが多い人は、自律神経の揺れがそのまま腸に出ます。
冷たい糖質は、想像以上に“刺激的”です。
私がやっていること(拍子抜けするほど地味)
では何を飲むのか。
答えは、常温〜やや温かい水をゆっくり1杯。以上です。
- 量は200ml程度
- 一気に流し込まない
- 「身体が起きる時間をつくる」感覚
以前、夜勤明けに冷水をがぶ飲みして胃痙攣のような痛みが出たことがあります。それ以来、朝は必ずゆっくり。
地味ですが、午前中の安定感が違います。
朝は“栄養補給”より“準備運動”
朝はエネルギーを入れる時間というより、整える時間だと考えています。
- カーテンを開ける
- 背伸び
- 深呼吸
- 水をゆっくり
その後30分ほどしてから朝食。卵やヨーグルト、ナッツなどタンパク質を含めると血糖は安定します。
実際、糖尿病予備群の患者さんで、「朝はスムージーだけ」から「温水+卵+少量炭水化物」に変えただけでHbA1cが改善した例もあります。
派手なサプリより、地味な修正の方が効くことは多いのです。
もちろん例外はある
全員がやめるべき、という話ではありません。
・朝ラン前にエネルギーが必要な人
・低血圧で立ちくらみが強い人
・脱水傾向の高齢者
状況によっては糖や冷刺激がプラスに働く場合もあります。医療は「流行」ではなく「体質との相性」です。
「健康そう」と「合っている」は別物
私自身、研修医時代は毎朝スムージーでした。「忙しいけど健康意識は高い自分」でいたかった。でも午前外来の途中で妙な空腹感。甘いコーヒーを足して、さらに乱高下。やめてみたら、驚くほど安定。
健康情報は山ほどあります。でも、あなたの胃腸は一つだけ。
まとめ
私は医師として、以下を実践しています。
・朝一番の冷たい水は飲まない
・果物中心の冷たいスムージーも飲まない
・その代わりに、常温〜温かい水をゆっくり
もし午前中の不調、眠気、イライラがあるなら、まずは朝の一杯を変えてみてください。
健康は派手な習慣ではなく、身体にとって、刺激が少ない選択の積み重ねです。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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