台湾吸水ショーツ開発者が語る、女性が月経期の理想的な過ごし方を追求する【生理フルネス】とは

「生理用品といえばナプキン」を覆す

ナプキンしか使ったことがない方にとって、吸水ショーツを試すことはチャレンジングなこと。すでにナプキンの種類はとても豊富ですし、そもそもナプキン以外を使うイメージが湧きにくい。やはり使い慣れているナプキンのみで過ごしてしまうんです。

ですが最近は「ムーンパンツって何ですか？」と訊ねられることが少なくなり、代わりに「ムーンパンツって便利なんですか？」と聞かれることが増えてきました。本当に大きな転換点を迎えたんだと思います。

ここで大事なのは、ナプキン以外の生理用品を強制しているのではないということ。新しい生理用品を積極的に試すことは、あくまでも多様な選択肢を手に入れること。選択肢を知ってから自分のライフスタイルに合うものを選び取ればいいんです。本来はもっと自由であるはずの生活が、生理用品の選択肢が限られている故に制限されてしまうのは悲しいですから。わたしたちは「生理用品といえばナプキン」というイメージを根本から覆したい。ムーンパンツを通してみなさんの月経に対するイメージが更新されていけば嬉しいです。

チャレンジしやすさが魅力の吸水ショーツ

わたしは、吸水ショーツはタンポンや月経カップを使ったことがない方にこそ適していると思います。なぜなら、衛生用品を身体の中に入れる必要がないのに、タンポンや月経カップを使うのと同様の快適さを感じられるから。蒸れにくく、異物感も少ない。現時点でムーンパンツは世界一軽くて薄い吸水ショーツです。

ムーンパンツは単体でも履けますが、他の生理用品（ナプキン、タンポン、月経カップ、月経ディスクなど）と併せて使うこともできます。量が多い日や、漏れが不安な方におすすめ。自分が好きな組み合わせを選べます。

また、本来ショーツ自体は日用品ですから、使い始めるにあたって生活様式を変える必要がありません。初めて使う人にとってハードルが低いのもメリット。普段履いているショーツを吸水ショーツに変えるだけでOKなので、特に洗濯するものが増えるわけではない。それなのに「使い捨てナプキンを持ち歩いて数時間おきに交換する」といった従来の習慣は無くなって、月経期間は大幅に変わる。このように吸水ショーツは非常に大きな可能性を秘めていると感じたので、台湾の市場で推し進めようと決めました。

まずは、ムーンパンツをファーストステップとして捉えてもらう。そうして徐々に他の商品にも目を向けることでさらに多くの選択肢が目の前に広がるわけです。吸水ショーツという比較的チャレンジしやすい商品を足がかりにして、そこから先はそれぞれのユーザーが興味を感じる方向へ模索してもらえれば嬉しいです。

取材・翻訳協力： 王靖雯 （Jing-wen Wang） 翻訳：竹田歩未

ユアン・イー（陳苑伊）さん プロフィール 

"女の子にもっと快適な月経を過ごしてもらい、これからの人生を楽しみにしてほしい "というミッションを基に、月経に情熱を燃やす2人の女性が2017年に設立した「Good Moon Mood」の創業者。 ユアン・イーさんは、共同創業者のフィオナ（史文妃）と共に、台湾のタンポンコミュニティについて70,000文字を超えるリサーチを実施し、月経カップのオンライン購入を合法化するキャンペーンを立ち上げました。また、フルムーンガール（月経カップ）のデザインにも従事。日本のグッドデザイン賞とドイツのiFデザイン賞を受賞しています。 

参考：月亮褲創辦人及團隊介紹| 台灣第一件吸血內褲

「月亮褲®（ムーンパンツ）」とは？　

2018年、台湾で初めて血液を吸収するショーツ「月亮褲®（ムーンパンツ）」を発売。一般的なショーツと生理用品を融合させ、軽くて快適、洗濯して再利用できるのが特徴です。 台湾の女の子たちに月経に対する新しい視点を提供し、彼女たちが「Good Moon Mood」に過ごせることを願っています。現在、ムーンパンツは日本と台湾合わせて18万枚以上を販売。台湾の女性たちのため、月経体験の向上を図っています。

生理用品だけでなく、月経教育の普及にも尽力。2019年には、アメリカで開催された「Society of Menstrual Cycle Research（月経周期研究会）」に参加。台湾の生理用品の発展について世界各国からの参加者とディスカッションを繰り広げました。その他にも、毎年「GoMoond® Period Party～ ピリオド パーティー～」を開催し、月経を身近に話せる場を設けるべく奮闘を続けています。