「環境に優しい使い捨てナプキンを作りたい」開発者に聞く、竹からできたサニタリーパッド誕生秘話
「生理をフラットに捉えられる世の中に」という想いをもとに、天然の竹素材を採用したパンティライナーやサニタリーパッドを展開するブランド「limerime(ライムライム)」代表・須藤さんインタビュー。ライターも実際に商品を試してみましたが、適度な厚みと抜群のやわらかさで、着けていることを忘れるような肌ざわりでした。今回は須藤さんから、バンブーパッド誕生の背景や商品に込めた想いをお伺いしました。
コットンではなく、竹をチョイス
ーーーなぜ「竹」の素材をサニタリーパッドに採用したのでしょうか。
須藤さん:わたし自身、以前からなるべくオーガニックコットンの生理用品を使うことを意識していました。とはいえ選んだ商品に100%満足していたわけではなく、とりあえず「オーガニック」と表記されているものを購入していただけでした。
自分が開発する際も化学繊維は使わない考えではありましたが、当時はコットン以外の選択肢について漠然としていました。そんな時に偶然、海外ブランドでバンブーを使ったものに出会ったんです。使ってみるとコットンとは全く違う肌触りでとても衝撃を受けました。その瞬間、自分が作る商品は絶対に竹素材を使おう!と決めました。
ーーー竹の素材を使ったlimerimeのパッドは一般的な化学繊維のものに比べて何が異なるのでしょうか。
須藤さん:皆さんに説明する時「竹素材のパッド=肌触りの良い保湿ティッシュのよう」と比喩することが多いです。例えば、敏感肌の方や花粉症でお鼻周りの肌が弱くなっている時に普通のティッシュを使うとヒリヒリするけれど、保湿系ティッシュを使うと症状が和らぐようなイメージ。女性のデリケートゾーンもそれと同じで、アトピー体質や乾燥肌の方は、通常の生理用品を使うとヒリヒリすることがありますが、きめ細かな繊維でできた竹素材だと不快感が発生しづらいです。実際に、ユーザーの方からは肌触りの良さに定評を頂いています。また、弊社の製品は塩素漂白をしてないので、お肌が敏感な方も安心して使っていただけます。
90%の女性が使い捨て製品ユーザー
ーーー吸水ショーツや月経カップ・月経ディスクなど、繰り返し使える生理用品の選択肢が増えている中で、なぜ使い捨てパッドに着目されたのでしょうか。
自然な排出をストップさせる必要はない
須藤さん:まず1つ目に個人的な見解として、月経は本来、女性の体が経血を体外に排出する生理現象。体内で不要になったものが外に出されるという点で尿や便と同じなので、敢えて体の中で留めておく必要はないと考えています。
90%以上が使い捨て製品を使用している現状
もう1つは、繰り返し使えるものは環境面に配慮していて素晴らしいアイテムではありますが、やはりお手入れに手間がかかるのがネック。選択肢が多様化した現在でも生理用品ユーザーの90%近くが使い捨ての製品を利用していることからも、現代女性にとって不可欠な選択肢であるのは明らかです。このような背景から、使い捨て製品を環境に配慮しつつ作る方向で進めていきました。
使い捨てサニタリーパッド業界に新たな切り口で挑む
須藤さん:近年ではフェムテックの概念が広まり、月経ディスクや吸水ショーツを展開するブランドは多数出てきていますが、使い捨てサニタリー用品に関しては状況が異なります。実は、日本国内で使い捨てサニタリー用品を販売しているのは大手メーカー数社。つまり、選択肢が広がらないまま何十年も変化がない領域なんです。ならば、いっそのことサニタリー用品という分野に絞って、さらに身体に配慮した商品を開発する余地があると思いました。
ーーー吸水ポリマーを使用していないとのことですが、吸水力は十分なのでしょうか。
須藤さん:吸収体のパーツには竹ではなく木のパルプを採用しており、その構造に工夫が施されています。なので、水分を吸収する役目に関しては問題ありませんし、取り替える頻度も一般的なサニタリーパッドと同じと考えて頂ければOK。基本的には3~4時間に1回、こまめなお取り替えを推奨しています。
生理を健康のバロメーターに
須藤さん:ユーザーの中には、経血量が多いために夜用パッドナプキンを日中使いしていて、それでも2時間程で交換しないと漏れてしまう方もいらっしゃいます。しかし、通常の経血量は1クールでおよそ20~140cc。もし経血の量が極端に多ければ、過多月経の可能性も隠れています。生理の症状は個人差でまとめられてしまう部分が大きいですが、実は何かしらのエラーが潜んでいる場合もあるんです。(注釈1)
ーーーなるほど。身体の異常のサインになっていることもある。
須藤さん:そうなんです。女性にとって生理は健康のバロメーター。経血の量や色を観察することで、さまざまな身体のサインに気づくきっかけになります。冷えやストレス過多など原因は様々ですが、改善すべきポイントがわかったらきちんと自分の身体を労わって調整してあげる。必要ならば放っておかずに病院に相談してみるのが理想的ですね。
(注釈1)あゆみレディースクリニック高田馬場 婦人科について
須藤紫音さん プロフィール
株式会社VVV代表取締役。複数の外資系アパレルブランドにて、マーケティング・ブランディング業務に携わり、出産を機に独立。2023年に竹の繊維を表面素材として使用した、からだにも環境にも優しいサニタリーブランド「limerime」をローンチ。商品開発・運営を行う。
AUTHOR
竹田歩未
ライター/中国語翻訳。大学在学中に場所や時間に縛られない働き方に興味を持つ。卒業後の2022年〜ライターとして活動しながら念願の台湾留学を実現。Instagram「フェムテクラブ|フェムテック・フェムケアグッズ」を運営。SNS:Ayumi Takeda @ayumin_tkd フェムテクラブ @femteclub
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