自死が身近な故郷のため生きると決意。バクティヨガ指導者ヒマギリさんが今10代へ伝えたいこと

 自死が身近な故郷のため生きると決意。バクティヨガ指導者ヒマギリさんが今10代へ伝えたいこと
腰塚安菜
腰塚安菜
2024-03-31
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生徒の苦しみ、家族の問題。体が忘れた「愛すること」を教える難しさ

ーーUeL 藝には「フィットネス」だけでない側面に惹かれてくる方も多いと思います。集まる方の人となりに共通点はありますか。

ヒマギリさん:ヨガの「サットサンガ」※ で生徒さんの話を聞いてわかったことは、みな何かしら「苦しみ」を経験しているということです。

(※)サンスクリット語で「純粋な集まり」。ヨガでは参加者が師を囲み、互いの話を聞き、学びの機会とすることなど。

例えば、自分や家族の体の不具合や病気で苦しみを経験しているか、家族や親子で抱える問題が関係して、家庭環境で苦しみを経験しているか。ほとんどがそのどちらか。まったく何不自由なく育ったという人は、滅多に見当たりません。

家族の問題は、経済状況が苦しいということも一つですが、問題を抱える家庭といっても、話を聞いて見るとその背景には、様々な理由があります。

Himagiri 2

ーー個人の苦しみから、家庭環境や親子関係にまで視点を向けるのですね。

ヒマギリさん:秋田で「誰が、いつ自殺してもおかしくない」と思って過ごした幼少期を過ごしたこともあり、参加者それぞれの家庭環境について強く関心を強く持ってきました。

親から愛情を受けられなかった方、虐待された方など。中には、親に犯罪歴があるという人にまで出逢いました。一方で、親からとても甘やかされて育った人にも出逢います。

実は親の愛情が大きくても、その逆でも、愛することを教えることは難しいのです。

ーーその人が受けた親の愛情の量が「愛すること」に関わるのですか。

ヒマギリさん:甘やかされて育った人にとって愛は身近で当たり前ですが、当たり前だからこそ体感がないとも言えます。一方で、親から愛情を受けられなかった人にとって、受けていないものをどう人や社会に返したら良いのか、わからないのです。

自分で「体感がない」と認識しているもの、それがここでは「愛」ですが、それは、学ぶ側も教える側も難しいと感じてしまうのですよ。苦しみも同じで、経験した人は人の痛みがわかります。けれども、苦しみを経験していない人は、人に対しても自分に対しても優しくなれないことがあります。

「愛されている」と自覚できていない人にとっては、人を愛することも、簡単なことではないのです。

人を愛すると言っても、必ずしも恋愛をしようと言いたいのではありません。親だけでなく、先生、パートナー、誰でも。愛を受け取る機会はありますよね。本来、愛は誰にとっても身近なもので、愛したい、愛されたいという気持ちは健康な心の動きです。

ーー体得という言葉がありますが、苦しみも、愛することも、体で学びとるものなのですね。

Europe Tour
 ヨーロッパツアーでの「キールタン」

全ての課題や問題は、愛を忘れているから起きる。 音楽や言葉で国を超えるバクティヨガのメッセージ

ヒマギリさん:そもそもバクティヨガは、人生全ての課題と問題は愛を忘れているから起きているということを軸に修練するヨガのことです。家族、友情、師弟関係、恋愛、中立関係などの関係性を学ぶヨガでもあります。5000年以上続くヨガでは経典上、最高峰のヨガと伝わってきています。

ーーバクティヨガには「※歌うヨガ」とも言われる「キールタン(kirtan)」がありますね。

ヒマギリさん:はい。「キールタン」はインドに古くから伝わり、バクティヨガで大切な練習の1つです。(ヨガジャーナルより参考記事

ーー海外でツアーをし、演奏で歌いながら音頭を取っているヒマギリさんが印象的でしたが、歌でどんなことを伝えるものなのでしょうか。

ヒマギリさん:外国で公演をしていて自分自身の学びとなったのは、キールタン参加者の涙でした。意外にも外国では「互いに無関心」という文化があるようで、だからこそ音楽で心が開かれて「他者と繋がれた」と実感する時、自然と涙が出てくるようです。ヨガ哲学はもちろん重要ですが、言葉から入ると「ルール人間」になってしまうので、言葉のインプットは、体がほぐれてから、心が開いてからが望ましいのです。

ーー音楽は、国境を越えて伝わるものですよね。一方で、ヒマギリさんが万国共通で、言葉で教えていることはなんでしょうか。

ヒマギリさん「謙虚と感謝」「義務や自分の今の役割を全うすること」そして「今を大事に生きること」。この3つは日々のSNS、対面レッスン、どんな場所でも教えています。

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