地域貢献もSNSも自分らしく。人を癒し、癒されながら駆けるヨガ講師・植田マミさんの現在地


デジタルネイティブ時代の自分を大切にする生き方を考えるインタビュー企画 #私たちの自由な選択 。連載全体で若者の「自由な選択」を応援しています。 今回は湘南エリア、東京、オンラインでヨガ、ヨガニドラー(眠りのヨガ)を教えながら地域活動に奔走する講師、植田マミさんに迫ります。
ヨガのある未来へのチケットは偶然に
ーー5年前に、会社員を辞めてヨガの道へ。それまでのマミさんについて、聞かせて下さい。
植田マミさん:金融業界で働くバリバリの会社員でした。IT部門に所属していたのですが、当時のことで強く思い出されることがあります。
ある日、私はロボットを扱うマニュアル資料作成などをしていたんです。昨日まで手作業でやっていたことを、誰でもできるようにするという作業で、その時、自分が働いていることに対して、ちょっと切なくなりました。”自分の手作業は今後無くなるかもしれない前夜”とも言えました。そこで考え出したのが、今後の自分の成長でした。
ーー会社をやめたきっかけは、自己成長の視点だったんですね。ヨガの道を選んだ時、職場の環境に特に不服はなかったということ。
植田マミさん:そうなんです。勤めている時からバリでヨガの資格を取ろうということだけは決めていましたが、やめようか、どうしようか迷っていたのです。でも後押ししてくれたのが、偶然に「バリ島の航空券が安くなっていた」ってことだったんです。
ターニングポイントは・・・そうですね、コロナが蔓延する直前でした。思い切って2019年末、退職届を出しました。「旅券が安いからって、会社を辞めるって決めちゃって、植田ちゃん大丈夫?」と会社の人も驚いていましたね。
ーーヨガ指導者資格を取得するまでの間で、印象的だったエピソードを聞かせて下さい。
植田マミさん:まず、私はRYT200はバリ島、RYT500は南インドで取得しました。
特にインドは私のヨガの概念を変えました。日本での教え方と比較にならないほど厳しくて衝撃を受けた。インドでは、「まずやってみて、考えるのは後。」という教え方。呼吸法が1時間半、4時間から5時間ポーズをとるというスケジュールを毎日、30日間こなしました。4時起きで、夜明け前から日が暮れるまでです。
私がヨガ哲学を習ったのが「サンニャーシ(出家している人)」で、それも印象的でした。
たとえば、注意散漫になりがちな私たちの思考のクセについて。それまで日本語で勉強してきた考え方を軌道修正してもらい、表面的だった哲学がどんどん腑に落ちて実践できるようになりました。
ーーマミさんのヨガの講座を受けていると、自律神経やホルモンの作用、体の部位やツボ、筋肉への作用など、専門的な知識が多く登場します。そうしたものはいつ、どこで学んだのですか。
植田マミさん:そうですね。何を学ぶにしても、まずは自分の伝えたいヨガや、生徒さんに受け取ってもらいたい情報を探求します。
たとえば、私が時々クラスを開く「セロトニンヨガ®」は、野村健吾先生に学びました。世間的に知られているヨガの雰囲気やスピリチュアルなイメージはありますが、「幸せホルモン」の分泌が促されると科学で実証されていることや「ヨガで脳が休まる」ということをエビデンスベースでお伝えする必要があると思い、知識をつけることにしたんです。
※セロトニン...脳を活発に働かせる鍵となる物質。精神の安定、安心感、心身のリラックスにつながる。
ヨガ以外にも、誰もがセルフケアを身近に手に取れるためのツール(知識)を身につけたいと、仏教哲学ベースのヨガを教える「OMYOGA」の鈴木まゆみ先生や「有の瞑想」の吉田香代子先生から、動くだけでなく、思考を観察し、自分と向き合うための講座も受けました。その方をヨガ講師としてだけ見るのではなく、「この先生の生き方が好き」と尊敬する方のところに足を運んで受講しています。自分の日常生活に実際に活かしているアーユルヴェーダの食や生活の知識も、講師の立場ではありませんが、講座に通って生活習慣を身に着けました。
ーー仕事でも日常生活でも、受講者目線のセルフケアを追求、実践してきたと。努力の賜物ですね。
植田マミさん:ありがとうございます。そんな自己探求の中で今の自分軸となったのがヨガニドラー(眠りのヨガ)でした。
2023年に立ち上げたオンラインコミュニティ「ゆるろむ」では、眠りと自律神経を整えるこのヨガニドラーをメインに伝えています。ヨガ講師以外に、ヨガニドラー講師という肩書でも出演、登壇することがあります。
ヨガニドラーを初めて知る方には、脳の回復が主な効果とお伝えしています。より詳しく言うと、脳波変動を起こして「シータ波」という「まどろみ」の状態に誘い、心の回復やひらめき力の向上にも効果的です。私のオンラインコミュニティは「まどろむ」に「ゆるむ」を合わせて「ゆるろむ」と名付けました。夜、寝る前の時間にレッスンを開催することが多いですが、何より気持ちよくなれる時間で、私自身がヨガニドラーの虜なんです。

ーー私はマミさんがきっかけでヨガ二ドラーを知りました。オンラインなので、自分の時間軸に合わせて無理なく取り入れて続けられています。デジタル・オンライン過剰になりがちな現代人の空白の時間づくりや、心と体の癒しに貢献しそうですね。
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