【先輩の選択】ミニマルで満ち足りた「生活発信者」であり続ける。池田園子さん39歳の自由な選択
デジタルネイティブ時代の自分を大切にする生き方を考えるインタビュー企画 #私たちの自由な選択 。連載全体で若者の「自由な選択」を応援しています。 今回は人と人、人とコンテンツの関係性デザインを生業とする傍ら、「プレスラボ」役員を務める池田園子さんとその発信に迫ります。
東京、福岡、大阪を経て京都へ拠点を移した “生活達人”を訪ねて
池田園子さん:今日は京都までお越しいただき、ありがとうございます。最後にお会いしたのは東京でしたね。
ーー池田さんとは数年ぶりの再会ですが、メールの往復書簡やオンライン上の会話を続けてきたので、よく会っているような不思議な感覚もあります。京都の居心地はいかがですか。
池田園子さん:パートナーと猫と京都に引っ越してきて1ヶ月も経ちませんが、すでにこの街が気に入っています。
ーー20代半ばからフリーライターやエディターの経験を持ち、現在まで編集会社の役員をされている池田さん。あらためてWEBメディアの最前線を歩んだキャリアを振り返らせてください。
池田園子さん:「DRESS」というWEBメディアの編集長を4年間務めた後、2020年、34 歳で編集会社「プレスラボ」の役員となり、今に至ります。「DRESS」では、当時トレンドとして浮上していたフェムテックをテーマとして追いかけたり、女性主体の人生に迫るインタビューをしたりしていました。コロナを機に「プレスラボ」は全員完全リモート化となり、居場所を問わない社員の働き方を奨励してきました。
ーー代表としても自由な働き方を実現されていますね。池田さんご自身、移住していくうちに働き方や生活への価値観も変わっていったのでしょうか。
池田園子さん:働き方や生活重視にシフトしたターニングポイントは、振り返ると、コロナ期間だったと思います。自分自身が転居で移動していくことで、「環境が人を変える」というのは本当だと実感できました。
また、現在までのパートナーも私を生活人間たらしめ、スローダウンさせてくれる性格ですね。
ーー自分が身を置く環境の変化やパートナーも影響して、仕事から生活重視に変化されたということですね。そんな池田さんも、過去には「仕事人間」な一面もあったのでしょうか。
池田園子さん:おっしゃるように、「DRESS」時代まではバリキャリ志向な面もありました。
23歳でIT企業から社会人生活をスタートさせて、25、26歳まで会社員をしていましたが、その後、独立してから仕事が楽しくなり、休みがなくても売り上げが上がれば楽しい。そんな自分もいましたね。
ーー現在、毎日更新されるWEBメディア「SAVOR LIFE」は、人間関係や生活に役立つライフハックが散りばめられた池田さんのアイデアの宝庫です。詳しく伺っていきたいと思います。
「脱東京」を経て、生活を愛し始めた自分に生まれた「SAVOR LIFE」
ーー池田さんが運営するWEBメディア「 SAVOR LIFE -生活は楽しい-」は、情報として読者に何か教え込ませるのではなく、池田さんの私生活をも想起するエピソードであることで、ひとつひとつの記事に共感しやすいのではないかと思っています。
池田園子さん:そうですか。ありがとうございます。何より、発信していく中で、やっぱり今の自分は生活が好きなんだ、愛しているんだと気づきました。
街歩き所感など直近のことも交えて綴っていますが、2022年に「脱東京」してからの住まい方について、自分を振り返ってまとめているものもあります。
ーーたとえば本や人が伝授する「ミニマリズム」などハードルの高そうな生活法も本を読んだ池田さんが吸収し、生活行動に移しているから、小難しく感じず、実践しやすくなると感じるんですよ。
池田園子さん:「SAVOR LIFE」を支える大きな要素のひとつに本の出典もあるので、そうした意見も参考になります。
誰かにシェアしたいライフハックなどは日々の生活の中でひらめくことが多いですが「もし知らない人がいれば」「たまたま読んだ人が知ってくれれば」という欲張らない意図で書いています。「これをやってみたら居心地がよくなった、ラクになった」という生活実践的なアイデアが、読む人、聴く人の生活のお役に立てればという思いです。
ーー私は書き手の池田さんに影響を与えた本や、その著者の思想について深く知りたくなり、記事と一緒に紹介されている本もあわせて読むことがあります。
池田園子さん:自分の書き物にアイデアや思想を支える何らかの本があるなら、出典をつけて発信することでは、記事の読み手の方の読書体験を増やし、作家さんと出逢う機会を作ることが可能になるので、ぜひやってみるといいと思います。
最近読んでいるのは「禅」に関する本です。たとえば「ミニマリズム」や「ミニマリスト」という言葉は使っていないのですが、それが反映されて書いた、「今に集中するために、心と身体、頭の余白を持つ意識」という記事からも、私の今の興味や考え方の方向性を知っていただけるのではないかと思います。
ーー「ミニマリズム」を伝える作家に日本の精神文化に理解を深めたドミニック・ローホーさんなどがいますね。最近の池田さんの記事の連続テーマに、ものや人間関係を減らすとか、手放すといったキーワードが多いと感じています。これも生活の居心地をよくする「ライフハック」と言えるでしょうか。
池田園子さん:そうですね。引っ越しで物理的に「衣」や「住の」モノを減らすチャレンジもしてきましたが、他にも、たとえばダイエット。人間関係を見直し、整理してから次の土地に移ること。
京都に引っ越してから、パートナーや近所の人、今日のように訪ねてくれたクライアントやライターさん数人以外と特に会わずに生活している!という自分に気づき、それで全く不満がない状態です。
福岡に住んでいる時は、それはそれでにぎやかな人間関係に恵まれていましたが、今の私にとって、深くつながる人は5人未満でいいのかな、と感じています。そうすることで自分の時間も大切にできますし、生活に「余白をつくること」が実現できますね。
ーー生活に余白をつくる。私自身、引っ越して都会を出てから、それがセルフケアな生き方のヒントだという生活実感があります。ミニマルな暮らしは、池田さんが今後どこに住むことになっても、生活実践的に追求されていくテーマとなっていくのでしょうか。
池田園子さん:私が捉える「ミニマル的」な行動指針、暮らしのヒント発信は今後もメディアの形式問わずやっていきたいと思っています。記事を書くなら極力短めにすることを心がけていて「読まれないものは書かない」という意識も大事にしています。
これは音声も同じです。最近は「Stand.fm」での短い音声発信も続けています。
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