NYとLAで台所発想のセルフケアを伝える。 モデル金原杏奈さんの“キッチンファーマシー”の考え方
14歳からファッションモデルとして活動してきた金原杏奈さん。2011年に渡米後、現地からアーユルヴェディックドクターに師事した経験を活かし「Kithcen Pharmacy」の名前では、初心者にもわかりやすく、生活に活かせるセルフケア法やモデルとしての食との付き合い方について発信中です。 デジタルネイティブや先輩世代へのインタビューを通して自由な生き方の選択肢を考える #私たちの自由な選択 。今回は、金原さんがNY・LAの2拠点の現地生活で得た生き方のヒントを交えながら、日本でも海外でも役立つキッチンファーマシー(台所薬局)発想の食や、セルフケアのヒントを伺います。
10代で感じた海外生活への苦手感。20代で再出発して克服
ーー金原さんは10代からモデルとして活躍され、22歳で渡米されたと伺っています。10代から海外で活躍されるまでを振り返り、ターニングポイントを教えてください。
金原さん:生まれも育ちも東京です。14歳の時、地元のお祭りでスカウトされました。「興味があるならやってみたら」と両親も背中を押してくれて、モデルのキャリアをスタートさせました。有難いことに15~16歳でお仕事を頂けるようになり、17歳で初めてパリコレに挑戦しに行きました。
ひとりで生活したこともなく、自立していない状態で、いきなり始まった海外生活。1か月や2か月、仕事をしなくてはならなくて、何より生活していかなければならない。もう、そこで外国語も人も何もかも「怖い」とトラウマになってしまったんです。
19歳、20歳の頃、一度海外へ挑戦することを休憩し、日本での仕事に集中していた時期もありました。再出発したのは22歳の時です。
ーー海外への苦手感。現地に馴染んでいる今の金原さんを見ると、意外に感じられました。
金原さん:22歳という歳は、アメリカのエージェンシーに入れるリミットの年齢だったので、当時が私にとってのターニングポイントだったと思います。ちょうど今のパートナーも「海外でチャレンジしたい」と話していたタイミングだったので、一緒に海外に挑戦しようということになりました。その時「もう(海外で)モデルはやらない」という選択も出来たはずですが、ニューヨークで仕事を始めるにあたって、一念発起して英語も身につけて、3年くらいかかって苦手感を克服できました。とにかく「慣れるしかない」とその環境に身を置いたりできるだけ他国の人と触れ合うようにしたりして「ニューヨークに自分を慣れさせる」という感じでしたね。でも挑戦したことによって、言葉の幅が広がり、世界も広がって、何よりアーユルヴェーダに出会えてあの時諦めないで良かったなと思います。
ーーご自身の生活面では、@kitchenpharmacy でアーユルヴェーダのセルフケアのヒントやメッセージを発信されていますね。金原さんがこれを一つのライフワークとして伝えるようになったのも、駆け出しのモデルの頃だったのでしょうか。
金原さん:アーユルヴェーダとの出逢いも、ニューヨークに行って仕事をし始めてから悩んだ肌荒れがきっかけでした。はじめは肌荒れの克服目的に色々調べていましたが、アーユルヴェーダの知恵から得たことを実践する中で、自分の生活への恩恵がものすごくあったんです。そこで、得たことを自分だけでとっておくのはもったいないと思いました。そういう気持ちも込めて、プラットフォームを作って皆さんに届けたいと思ったのが、@kitchenpharmacy と「#あーゆるライフ」というハッシュタグです。自分の発信を見た人にも、何か実践してほしい。病院に行ったり、薬を飲むまでに至らない、病名の無い症状で悩んでいる人が沢山いると思うので、特にそうした方に知ってもらいたいのが、アーユルヴェーダの知恵です。私は「おばあちゃんの知恵」とも言い換えています。
ーー「おばあちゃんの知恵」。日本で生まれ育った金原さんなりの優しい言いかえですね。キッチンファーマシー(台所薬局)というアイデアや「#あーゆるライフ」を伝え続ける原動力はどこにあるのでしょうか。
金原さん:(アーユルヴェーダを)伝えるに至るまで、実は私自身難しい印象を感じたことも1つの理由です。アーユルヴェーダで大切にされている「ドーシャ」の理論や体質に合わせた食事などが、いつの間にかルールっぽくなってしまう印象を変えたいなと思ったんです。「こうじゃなきゃいけない」って事ではないよねと。そしてもっと気楽に出来るものであるということ。楽しくて、気軽で、おしゃれに変えていきたいと思いました。アーユルヴェーダは本当にゴールが無いから、いつまででも学べて楽しい!と思います。
実は今年、本の出版の予定もあり、発売は初夏を目指しています。私なりにアーユルヴェーダを誰にでもわかりやすく、日常に取り入れやすい形で紹介しながら、台所でケアできる食事や美容のオリジナルレシピもたくさん紹介しています。
AUTHOR
腰塚安菜
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代から一般社団法人 ソーシャルプロダクツ普及推進協会で「ソーシャルプロダクツ・アワード」審査員を6年間務めた。 2016年よりSDGs、ESD、教育、文化多様性などをテーマにメディアに寄稿。2018年に気候変動に関する国際会議COP24を現地取材。 2021年以降はアフターコロナの健康や働き方、生活をテーマとした執筆に転向。次の海外取材復活を夢に、地域文化や韓国語・フランス語を学習中。コロナ後から少しずつ始めたヨガ歴は約3年。
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