NYとLAで台所発想のセルフケアを伝える。 モデル金原杏奈さんの“キッチンファーマシー”の考え方
デジタルネイティブの一人として。 自分も、身の回りも、地球も大事にしたい世代へのアドバイス
ーーデジタル社会の中で生きる若者に対して、アドバイスやメッセージをお願いします。
金原さん:私自身、デジタル社会の中で飲み込まれそうになる瞬間もあります。特にTik Tokなどは短い時間でたくさんの情報に溢れているので、見ている人たちが情報の渦に飲み込まれても不思議じゃないなと思います。だから、私が気を付けているのは「SNSは正しく使わなければならない」という意識です。そのコツとして「使い分け」をするようにしています。インスピレーションが欲しい時、たまには流し見しますが、基本的には自分が求めている情報を、自分から見に行くようにする。でないと、求めていない情報までどんどん入ってきてしまうからです。
ーーデジタルのオフという意味でも「休み下手」な同世代、次世代が多い中、ご自身が最も心がけてきた・心がけているセルフケアは?
金原さん:「SNS自体を使わない」という選択もつくって、その分、今自分が何を感じているのか、振り返りにあてる時間づくりも心がけています。みんながSNSで自分の意見を言えるようになりましたが、それはその人の意見であって答えではないと常に思うようにしています。「悪いと言われている物事の中にも実は『いいもの』が存在しているのでは?」と情報に対してオープンマインドでいるようにしています。ちなみに、私がアーユルヴェーダで一番好きな部分が「いい・悪い」というジャッジが無いということ。プロダクトやライフスタイル上の行動も、人によって、体に良くも、悪くもなる。これは、キッチンファーマシーで今後も伝えていきたいことですね。
ーー地球環境をケアする暮らしなど、よりグローバル課題も意識されている金原さん。これからの10代、20代は、どう行動に移していけばいいでしょうか。
金原さん:例えばプラスチックで、世の中的に環境問題が話題化したことがありましたよね。私はコロナの時にメディアでプラスチックの汚染で海の生き物が苦しんでいる様子を見るようになって、自分の意識や行動を変えました。「ごみがないことで、自分が気持ちいいな」と思って、これだという感覚があったんです。それに、自分は海の生き物たちを直接助けに行ってあげられない。自分の手の届かない範囲まで、地球を、環境を、動物を守らなければというのではなく、手の届く自分の身の回りの範囲で出来ることをやろう、と思いました。
この教訓から、自分なりに次世代へのメッセージにするならば「地球を大切にしたければ、まずは自分を大切にしなければならない」だと思います。
取材後記
金原さんの伝える「キッチンファーマシー(台所薬局)」というアイデアは、ハードなモデルとしての金原さんを日々の食の営みで支え、健康が作り出される源を「台所」に据えるもの。若い世代に是非伝えたいアイデアです。
インスタグラムから、金原さんのメッセージ「アーユルヴェーダは即効性のあるものではなく日常生活、どんな食べ物でも薬になるし、毒にもなる」という言葉を受けてから「人には人の、アーユルヴェーダがある」と認識するようになりました。
アーユルヴェーダと言う言葉を見聞きし、実践を試みたことのある方は、一度は実践の難しさと向き合ったことがあるのではないでしょうか。本だけでなく、ネットからの情報で健康法も氾濫する中、個人がセルフケアを自分のものにすることの難しさを実感しています。
そんな中、金原さんは自分の課題意識から「楽しく、気軽に、おしゃれに」塗り替えた伝え方で克服。動画の編集やメッセージの工夫が筆者には目新しく映りました。
今回の記事から皆さんも、金原さん自身がグローバルで得た食の知恵、自分を大切にするケアのヒントを明日からの毎日に活かしていただけたらと思います。
Profile:金原杏奈さん/Kitchen Pharmacy
1989年生まれ、東京都出身。14歳でモデルデビュー。2011年よりニューヨークに拠点を移し、ファッションモデルとしてワールドワイドに活動。アーユルヴェディックドクターNaina Marbaliに師事し、アーユルヴェーダの認定コースを修学。アメリカ現地から自身の生活や視聴者が活かせるセルフケアを中心に発信中。
Youtube「Kitchen Pharmacy by Anna」
Instagram :@ kitchenpharmacy
AUTHOR
腰塚安菜
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代から一般社団法人 ソーシャルプロダクツ普及推進協会で「ソーシャルプロダクツ・アワード」審査員を6年間務めた。 2016年よりSDGs、ESD、教育、文化多様性などをテーマにメディアに寄稿。2018年に気候変動に関する国際会議COP24を現地取材。 2021年以降はアフターコロナの健康や働き方、生活をテーマとした執筆に転向。次の海外取材復活を夢に、地域文化や韓国語・フランス語を学習中。コロナ後から少しずつ始めたヨガ歴は約3年。
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