ヨガ的メンタルヘルスガイド【トラウマに対するヨガの効果】と実践法

トラウマの症状と影響

米国薬物乱用・精神衛生サービス局によると、トラウマの影響は軽微なものから破壊的なものまでさまざまだ。トラウマは倦怠感、悲しみ、不安、あるいは感情の麻痺や解離症状を引き起こす。心的外傷を受けた後に、悪夢、フラッシュバック、トラウマ記憶を経験する人や、うつ症状、トラウマに関連した感情、感覚、行動を無意識に避ける回避症状が表れる人もいる。これらの症状は何年も続くこともあれば、すぐに解消される場合もある。
トラウマ・インフォームド（トラウマに配慮した）・ヨガを指導し、執筆者でもあるハラ・コウリは「あらゆる行動の背後にトラウマが隠れている可能性があります」と語る。「ある行動を目にしたときに、これはトラウマで制御不全に陥った神経系を正常に戻そうとする表れかもしれない、という視点を最初に持つことが肝心です」。たとえば、シャヴァーサナ（亡骸のポーズ）で目を閉じたくない生徒は、目を閉じると不安になるのかもしれない。ドアのそばでクラスを受けたがる生徒は、それが安全に思えるからかもしれない。
トラウマとの個人的な関係を理解することは、私たちの健康を支えるプラクティスの確立と同じくらい重要だとコウリは話す。

トラウマに対するヨガの効果

トラウマに苦しむ人は、生活にヨガの原則を取り入れると効果的だ。2015年の研究では、ヨガがPTSD症状を軽減する可能性があることがわかっており、ゲイル・パーカー博士は、ヨガがストレスを和らげ、RBSTからの回復をサポートすることを強調している。プラーナヤーマの練習は、次にパニック発作が起きそうなときに神経系を落ち着かせる助けになるだろう。マントラを唱えることは、自分の体がいつトラウマ反応を起こすかを見極めるのに役立つ。ではここで、トラウマ反応の調整を助ける他の練習方法も紹介しよう。

【今この瞬間に身を置く】

ひと呼吸おいて、今見えるもの、味、感覚、音、匂いに意識を向ける。過去の記憶ではなく、今ここで起きていることに集中する。今は安全だと自分に言い聞かせよう。
試してみよう：ガイド付き瞑想やボディスキャンを行う。

【状況を整理する時間を設ける】

肉体的、精神的なトラウマを体験すると、その反応として感情の麻痺が生じることがある。感情から目を逸らすのではなく、何が感情をひき起こすのかを見つめるために、瞑想の時間を設けよう。
試してみよう：寝る前にヨガニードラを行う。

【体の声を聴く】

トラウマ体験について考えたときに体に起こる変化を観察してみよう。呼吸はどうだろうか。速くて浅い？それとも深くてリズミカル？体のどこがゆるんでいる？あるいは緊張している？
試してみよう：アーサナを長く保持する穏やかな陰ヨガを行う。または、一人でダンスに没頭して不安や緊張を振り払う。

【感情を解放する】

感情を感じる許可を自分に与えよう。泣いたり、叫んだり、歌ったり、感情を紙に書いたり、絵で表してもいい。
試してみよう：歩く瞑想を（できれば屋外で）行い、自分の考えをまとめる時間とスペースを持つ。

ヨガを教えている人は、クラスに参加する誰もが何らかのトラウマを体験している可能性があることを心に留めておこう。興奮したり動揺する生徒がいたら様子を見守り、休息したり、回復のポーズをとってもよいと伝えよう。

トラウマ・インフォームド・ヨガとは？

ヨガやヒーリングの多くのコミュニティでは、「トラウマ・インフォームド（トラウマに配慮した）」という言葉が広まりつつある。これはトラウマ体験者のニーズや症状に特化したプラクティスを指している。このヨガでは、グラウンディングや安定感を培い、安全に自分の感覚とつながり、練習を通じて体のシグナルを再び信頼できるようになることを目指している。練習を通じて自己調整力が培われ、身体的、感情的、心理的な安全だけでなく、自分の存在感やバランス感覚も得られるだろう。
トラウマ・インフォームド・ヨガでは特定のポーズ群やシークエンスを実践するよりも、一つひとつのポーズと、ポーズにゆだねることに焦点を合わせている。練習では、練習生が感情や感覚に圧倒されることなく向き合えるように、サポートされている感覚を生み出すことに重きを置いている。トラウマが解消されていないと、常に切り離された感覚があるからだ。トラウマ・インフォームド・ヨガでは、不快感を乗り越えるために、あえて不快感に背を向けずに耐える練習をする。このヨガは過去の記憶からあなたを解放し、真の意味での自己存在感を高めてくれるだろう。

— ハラ・コウリ