【海外旅行】時差ボケするのは脳だけじゃない!?長距離フライトで「腸」まで乱れる…疲労・便秘を防ぐ方法
海外旅行で長時間のフライトを終え、目的地に到着したものの、「体がだるい」「眠れない」「食欲がない」「お腹の調子が悪い」と感じたことはないだろうか。こうした不調は、睡眠リズムが乱れる「時差ボケ」だけが原因ではないかもしれない。
腸内細菌にも「体内時計」が存在する
近年、研究者の間では、時差によって腸内細菌の活動リズムまで乱れる「腸の時差ボケ」が注目されている。ポーランドのヴロツワフ医科大学の研究チームが発表したレビューでは、長距離移動による体内時計の乱れが、腸内細菌のバランスや消化、睡眠、エネルギー代謝などに影響する可能性が指摘された。研究は主にアスリートの移動を対象としているが、一般の旅行者にも関係する可能性がある。
私たちの体には約24時間周期で働く「概日リズム(サーカディアンリズム)」があり、睡眠や覚醒、ホルモン分泌、代謝などを調整している。腸もこのリズムに合わせて働き、腸内細菌も食事や睡眠の時間に応じて活動を変化させる。ところが、複数のタイムゾーンを一気に移動すると、睡眠だけでなく、食事、日光、活動量、ストレスなども大きく変化する。その結果、体の生体リズムと腸内細菌の活動リズムが一時的にずれる。これが「腸の時差ボケ」だ。
腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸にも影響を与える
旅行先で起こる便秘や膨満感、胃腸の重さ、食欲の変化は、慣れない料理だけが原因とは限らない。食事時間が変わると、消化酵素の分泌や胆汁の産生、腸のぜん動運動にも影響し、腸内細菌のバランスが一時的に変化する可能性がある。その結果、腸の動きが鈍くなり、便秘や消化器症状につながると考えられている。さらに、腸内環境の乱れは睡眠の質にも影響する可能性がある。睡眠不足で疲労が抜けにくくなり、活動量が落ちれば、さらに腸の働きが鈍る。時差ボケ、腸の不調、疲労が互いに影響し合う悪循環につながる可能性もある。
また、腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸にも注目が集まっている。短鎖脂肪酸とは、腸内細菌が食物繊維などを分解することで生まれる物質で、腸の健康だけでなく、エネルギー代謝や筋肉の働きにも関係する。長距離移動によって腸内細菌のバランスや多様性が乱れると、短鎖脂肪酸の産生にも影響する可能性がある。特にアスリートにとっては、こうした変化が疲労やコンディション、パフォーマンスに影響する可能性があるとして研究が進められている。
出発前から体を「現地時間」に慣らそう
時差ボケ対策は、旅行の数日前から始めるのがポイントだ。少しずつ就寝・起床時間を目的地に合わせ、日中は日光を浴びて体内時計を現地時間に近づけていく。食事も目的地の時間に合わせ、機内や到着後は現地の昼間にあたる時間帯に食べる。体が「夜」と認識している時間帯の食事はできるだけ控えたい。こまめな水分補給と十分な睡眠も大切だ。プロバイオティクスやプレバイオティクスの活用も提案されているが、旅行による腸内環境の乱れを防ぐ効果については、今後さらなる研究が必要とされている。
長距離フライトによる時差ボケは、眠気や疲労だけの問題ではない。腸内細菌も時差によってリズムを乱す可能性があることが分かってきた。不規則な睡眠や食事が続く交代勤務などでも、同じように腸内環境が乱れる可能性が指摘されている。旅行先で少しでも早く体を現地時間に慣らすには、睡眠、日光、食事、水分補給を意識することが大切だ。長距離フライトの後に疲れや便秘、お腹の張りを感じたら、腸もまだ旅の途中なのかもしれない。
出典:
Jet Lag Doesn’t Just Wreck Sleep. It May Mess With Gut Bacteria Too
Long-haul flights disrupt gut bacteria and make jet lag worse
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