“心のバランス”は腸で決まる?セロトニンの90%が腸で作られる理由と、増やす生活習慣|医師解説

“心のバランス”は腸で決まる?セロトニンの90%が腸で作られる理由と、増やす生活習慣|医師解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-12-17

「最近イライラしやすい」「なんだか気分の波が激しい」──そんな相談を受けると、メンタルの問題と思われがちですが、意外と“腸の状態”が深く関わっていることがあります。医師が解説します。

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腸とメンタルがつながっているって本当?「腸脳相関」という考え方

医学の世界では 腸と脳が双方向で影響し合う“腸脳相関(Gut-Brain Axis)” という考え方が定着してきました。

たとえば、緊張するとお腹が痛くなる経験は多くの人がありますよね。これは、脳のストレスが腸の動きに伝わった典型例。

逆に、腸内環境が乱れると、脳に届くシグナルも変わり、ストレス耐性や不安感にも影響が出てしまいます。

特に重要なのが 「セロトニン」。

いわゆる“幸福ホルモン”と呼ばれる神経伝達物質ですが、実は体内の約90%は腸で作られていると言われ、腸の状態がセロトニンの生成に直結しています。

なぜセロトニンの大部分が腸で作られるのか?知られざる仕組み

「幸せホルモンなのに、なぜ脳ではなく腸で作られるの?」と不思議に感じるかもしれません。その理由は、腸が「身体最大のホルモン工場」であり、外から入ってくる食べ物・菌・ストレスの影響を最初に受け止める臓器だからです。

腸の壁には 「腸クロム親和性細胞(EC細胞)」 がびっしり存在しており、これらがセロトニンを合成して血中に放出します。そして腸内細菌が、このEC細胞に「もっとセロトニンを作って」と刺激する役割を果たしています。

つまり、
腸内細菌 → EC細胞 → セロトニン生成 → 脳へ情報が伝わる
という流れがひとつの回路になっているわけです。

腸内環境が整っている人は、以下のような特徴が見られます。

  • 朝の目覚めが良い
  • ちょっとしたことで落ち込みにくい
  • ストレスからの回復が早い

反対に、腸内環境が悪化すると、メンタル面にも影響が出やすくなります。

  • イライラしやすい
  • 不安感が強い
  • 寝つきが悪い

今日からできる、セロトニンを増やす生活習慣5選

セロトニンは「増やそう」と思えば、日常生活でしっかり増やせるホルモンです。ポイントは“腸内細菌が喜ぶ生活をすること”。

腸内環境
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以下は、医療現場でもよくアドバイスする方法です。

① 発酵食品をとる(腸内細菌のエサを補給)

ヨーグルト、味噌、納豆、キムチなどの発酵食品は、善玉菌を直接腸に届ける代表格。「毎日少しずつ」がコツで、大量にとる必要はありません。

② 食物繊維を意識して増やす

腸内細菌の“ごちそう”は食物繊維。玄米、オートミール、野菜、果物、海藻などを少し意識するだけでも腸が変わります。

③ 太陽の光を浴びる

朝に光を浴びると、脳内でセロトニンが活性化します。外に出られない日は、窓際で光を浴びるだけでもOK。

④ リズム運動(散歩・軽いジョギング)

一定のリズムで体を動かすと、セロトニン神経が刺激されやすくなります。ゆっくり歩くだけでも十分効果があります。

⑤ 腸を冷やさない

冷たい飲み物・薄着・ストレスで腸は冷えやすくなります。腸が冷えると動きが悪くなり、セロトニン生成も落ちやすくなります。

まとめ:腸が整えば、心のバランスも自然と整う

セロトニンの90%が腸で作られるという事実は、「心の健康を整えるには、腸を無視できない」ということを物語っています。

毎日の生活習慣を少し整えるだけで、メンタル面にも良い変化が出ることが多いです。

  • イライラが減る
  • 気分の波が落ち着く
  • 睡眠の質が上がる

“心のケア=脳の問題”と思われがちですが、実はその前に“腸のケア”を見直すだけで、意外なほどメンタルは軽くなります。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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