なぜ冬は不安になりやすい?日照不足で低下する幸せホルモン「セロトニン」を食事で増やす方法|管理栄養士が解説
気温がどんどん下がり、日照時間が短くなってくると『夏の頃より落ち込みやすいかも…』『なんだかわからないけど不安になる…』といった心にマイナスな症状が出てきたりしませんか?これは日光に当たる時間が少なくなったことによる、セロトニンという体内の幸せホルモンが減少することで起きている場合があります。そこで今回は、寒くなると減りがちなセロトニンの分泌を促すための食事対策について解説していきます。
幸せホルモン【セロトニン】とは?
セロトニンは脳内の神経伝達物質のひとつです。精神を安定させたり、頭を活発に働かせるために必要です。幸福感、リラックス、安心感などをもたらすので【幸せホルモン】とも呼ばれています。
セロトニンは神経伝達物質であるノルアドレナリン(恐怖、驚きなど)とドーパミン(喜び、快楽など)の情報をコントロールしています。集中力や積極性、やる気などにも関わっていて、これらを制御して心身のバランスを保っています。冬は日照時間が短くなることで、体内時計を司っている神経伝達物質の働きが遅くなり、セロトニン分泌の合成が低下してしまいます。セロトニンが低下すると、感情のコントロールが不安定になりバランスを崩すことで、攻撃性が高まったり、不安、うつ病などのメンタルの不調につながる可能性があります。
セロトニンを増やす食事習慣
セロトニンは腸と関係が深く、腸で約90%が作られています。食事をすると、体内に摂取したたんぱく質が分解される過程で、トリプトファンというアミノ酸が発生します。そのアミノ酸から腸内でセロトニンが合成されています。しかし、トリプトファンは体内で生成できないため、食事から摂取しなければなりません。日頃から、トリプトファンが含まれた食品を積極的に食べるようにして、体内のセロトニンを増やしていきましょう。
《トリプトファンが多く含まれる食品》
豆腐、納豆、みそ、卵、牛乳、チーズ、ヨーグルト、バナナ、ごま、ナッツ類、米
また、ビタミンB6は、トリプトファンをセロトニンに変換する酵素の補酵素として働きます。マグネシウムもセロトニン合成をサポートするミネラルなので、積極的に摂りたい栄養素です。
《ビタミンB6が多く含まれる食品》
鮭、さば、さんま、カツオ、マグロ、イワシ、鶏肉、鶏肉レバー、にんにく、じゃが芋、玄米、ナッツ類、バナナ
《マグネシウムが多く含まれる食品》
あおさ、わかめ、ひじき、のり、干しエビ、しらす、大豆製品、ナッツ類、緑黄色野菜
そして何より大事なのは、良く噛んで食べること!リズム性のある運動はセロトニン分泌に効果的といわれています。消化吸収が良くなり腸内環境を整えられると、相乗効果で更にセロトニン分泌が促進されます。
日光浴、運動、睡眠も大切
食事以外でも、セロトニンの分泌を促す習慣をつけるようにしましょう。
・朝日を浴びる
・日光浴をする(1日20~30分)
・ウォーキングやランニング、サイクリング
・深呼吸をする
・睡眠をしっかりとる
幸せホルモンを出す習慣を身に付けて、寒い冬も心身ともに健康に過ごしたいですね。
【参考文献】
セロトニン/eヘルスネット(厚生労働省)
腸活にいいこと腸大全/小林弘幸
【ライター】やなぎかおり
特別養護老人ホームにて介護食の大量調理や栄養士業務を経験。働きながら管理栄養士の資格を取得。その後、中学校給食センターにて献立作成、給食管理、食育授業に携わる。結婚、出産を経てヘルスケア栄養指導士の資格を取得。子育てをしながら栄養に関する記事執筆を行っている。
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