【すべてのバランスが乱れていると感じたら】アーユルヴェーダの分類体質「ドーシャ」に目を向けよう

 【すべてのバランスが乱れていると感じたら】アーユルヴェーダの分類体質「ドーシャ」に目を向けよう
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私たちはいくつかの質問を通じて、自分自身を理解することができる。8年前、私は自分のドーシャアーユルヴェーダにおいて分類される体質)を知るためにオンラインの診断クイズを試した。結果はヴァータ体質で、そこに書かれていた特性は、不安、不眠、冷え性、消化不良、膨満感、ガス、便秘、乾燥肌、無月経……まるで自伝を読んでいるようだった。自分の体質を知り、これまでバラバラだったパズルのピースが、ようやくひとつにまとまった気がした。もう自分を不良品だとは思わなくなった。
そのクイズのおかげで、自分の症状がどのように関連し合っているのかがわかるようになった。それをきっかけに、私は伝統的なアーユルヴェーダを通じて体のバランスを取り戻す旅を始めた。
私の場合は明確な結果が得られたが、常にそうなるとは限らない。ドーシャについて読んだことがある人は、3つのドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カパ)すべての特性や傾向の多くが自分にあてはまることに気づき、どこから手をつけたらいいか戸惑う場合もある。
yogajournal.com/doshaquizで自分のドーシャ体質を確認してみよう)

ドーシャ診断でわかること、わからないこと

オンライン診断では、3つではなく次の4つのうちの自分の主要なドーシャと、それに対応する要素や特性を知ることができる。

●ヴァータ(空・風):創造性の体現
●ピッタ(火・水)
:情熱的
●カパ(水・土)
:安定への渇望
●トリドーシック(上記の要素を均等に持つ)

ほとんどのドーシャ診断では説明されていないが、実は体質には「生まれつきの状態」と「現在の状態」のふたつの見方がある。私たちには生まれつき優勢なドーシャがあり、個々のドーシャバランスによって体質が決まっている。この生来の体質は、数個の短い質問だけでは見極められない。
オンライン診断でわかるのは、現在どのようにバランスが崩れているかということだ。私たちは皆、一生を通じてそれぞれのドーシャを経験するのだが、生まれ持った体質や人生の時期によってその度合いは異なる。つまり、私たちは誰もがトリドーシックであるとも言える。たとえばヴァータのバランスが乱れていても、ピッタとカパの特性、傾向、バランスも乱れているとは限らない。安定感があり、骨格がしっかりしていて、家で過ごすことを好む人はカパが優勢かもしれないが、食べ物を消化したり、願望を追求するにはピッタの炎が必要だ。また、呼吸だけでなくアイデアを生む創造性にもヴァータのエネルギーを要する。
まれに3つのドーシャを均等に備えているトリドーシック体質の人がいるが、このタイプはすべてのバランスを同時に崩しやすい。だからといって、トリドーシックが悪いというわけではない。古代医学アーユルヴェーダの目的は、自分自身や他人を型にはめてしまうことではなく、私たちが今どのようにバランスを崩しているのかをより明確に理解するための言語を提供することだ。自分の心と体のバランス、あるいはバランスの欠如を感じることは、自分にとってプラスになる決断をするうえで重要で大切なカギとなる。自分の行動や身体的な症状の原因がわかれば、自分自身を整えられるようになる。トリドーシックの場合は、バランスの乱れを緩和しようとするときに、どのドーシャに注意を向けるべきか判断するのが難しいというだけだ。

ドーシャバランスが乱れたときの症状

すべてのドーシャのバランスが崩れていると、最も影響を及ぼしているドーシャの見極めがより難しくなる。各ドーシャのエネルギーが過剰になると次のような症状が現れやすくなる。自分の現在の状況と照らし合わせてみよう。 

●ヴァータの乱れ
常に不安がある。寝つきが悪い。

●ピッタの乱れ
体が休息を求めているにもかかわらず、無理をして仕事をしたり、体を鍛えたりする傾向がある。

●カパの乱れ
変化を恐れる。たとえそれが健康的でなくても、あらゆる種類の安定に執着する。

日常を構造化しよう

どのドーシャが優勢であっても、体はバランスを取り戻すための確かな土台(枠組み)を必要としている。まずは日常的な行動や習慣を見直すことから始めよう。
起床時間、就寝時間、食事の時間を確認し、バランスが乱れていると思われるドーシャに合わせて日課を変えてみるのだ。ドーシャごとに推奨されている日課を試し、体がどのように反応するかを観察してみよう。ある日課を始めて体調が良くなったら、それに関連するドーシャが最もバランス調整を必要としていると言える。新たな日課によってバランスが整うと、それが基盤となって他のドーシャバランスも整ってくる。

●ヴァータのバランスを整える日課
十分な睡眠を確保するために少し早めに就寝し、遅めに起床する。毎日3食を欠かさず食べる。ヴァータ体質の人は食事を忘れる傾向があり、限界まで空腹を感じないこともある。

●ピッタのバランスを整える日課
少し遅く就寝し、早めに起床する。空腹になるとイライラしがちなので、そうなる前に休憩して食事を摂るようにする。

●カパのバランスを整える日課
カパは最も睡眠時間を必要としないので、少し遅めに就寝し、まだ外が暗いうちに起床する。消化器系に負担がかからないように一定の間隔をあけて食事をする。

すべてがうまくいかないときはヴァータのバランスを整えてみる

自分がトリドーシックかもしれないと思ったり、どこからバランスを整えればいいのかわからない場合は、まずヴァータに対処しよう。「風」が過剰になると、他の要素を簡単に動かしてしまうので、常に不整合な状態に陥ってしまう。たとえばピッタの消化の炎が強い場合、ヴァータの風のエネルギーが体内で過剰になると、熱が皮膚に向かって押し出されて炎症や赤みが生じることがある。
実際、身体的な自覚症状のほとんどは、空気の要素のバランスが崩れていることが原因だ。『Textbook of Ayurveda:Fundamental Principles(アーユルヴェーダの基本原則教本)』(ヴァサント・ラッド著、The Ayurvedic Press、2001)によると、症状の80パーセントはこのヴァータドーシャに起因しているという。

ヴァータのバランスを整えるには、次に挙げるグラウンディングを強化する行動が効果的だ。

☑生野菜など冷たいものや乾燥したものを控え、温かく消化しやすいスープなど熱を通した食事を摂るようにする。

☑調理した根菜類などグラウンディングを強化する食べ物を増やす。

☑オイルマッサージ(アビヤンガ)で肌にうるおいを与える。

☑体を温め、風を避ける。

☑激しい運動よりも、安定性を重視した運動を選ぶ。スローヨガや陰ヨガの練習をする。特にチャイルドポーズ、猫と牛のポーズ、ダウンドッグなど、大地とつながりながらムーラダーラ(第1)チャクラを安定させるポーズをとる。

好奇心を持ち続ける

オンラインでいくつかの質問に答えるだけでは、体質や状態のすべてを正確に把握することはできない。現在の自分のアンバランスな状態に気づくことは最初の一歩に過ぎない。そこから答えを求めてさらに深く自身とつながり、プラクティショナーや治療法の力を借りながら、自分にとって最適な方法を見つけよう。時間が経つにつれて、生来の性質、あるいはできるだけ生来の状態に近づく方法がわかるようになり、心、体、精神をホリスティックに癒せるようになるだろう。バランスを取り戻す努力を続ける一方で、アーユルヴェーダは生涯にわたる旅であることも忘れないでほしい。

文●サハラ・ローズ
ベストセラー作家でポッドキャスト「Highest Self」のホスト。ディーパック・チョプラから「パラダイムシフトにおけるミレニアル世代の指導的発言者」と称されている。彼女とつながるには@iamsahararoseへ。

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by Sahara Rose
photo by Tolgart/GETTY IMAGES
translation by Sachiko Matsunami
yoga Journal日本版Vol.84掲載

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