ドーシャのバランスを整える心の性質「サットヴァ」の高め方

 ドーシャのバランスを整える心の性質「サットヴァ」の高め方
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綾
2022-10-16

自分の優勢なドーシャを整える=自分の長所を発揮し健康になることだと私は考えています。それに不可欠なヨガと心の質について書きました。

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アーユルヴェーダでは「ドーシャ」と呼ばれる3つの生体エネルギーがあるとされています。その3つのエネルギーのバランスが人それぞれ違うことで体質や精神活動に異なる性質が現れます。

ドーシャとは?

ヴァータは風のエネルギーで主に軽性、冷静、乾性、動性の性質を持っています。やせ型、行動が機敏、早口、気が変わりやすい、創造性に富んでいる、体が冷えやすい、などの特徴が多い人はヴァータ体質です。

ピッタは火のエネルギーで主に熱性、鋭性の性質を持っています。中肉中背、知的で情熱的、怒りっぽい、暑さが苦手、汗っかきなどの特徴が多い人はピッタが優勢な体質です。

カパは水と土のエネルギーで重性、冷静、鈍性、油性、安定性の性質を持っています。骨格が大きく体力と持久力がある、穏やかでゆっくり話す、黒く大きな瞳をしているなどの特徴が多い人はカパが優勢な体質です。

これらのドーシャのうち2つが優勢な人や、3つのドーシャの割合がほぼ等しい「トリドーシャ」と呼ばれる人もいます。

自分が生まれ持った3つのエネルギーのバランスを保つことで健康な体を維持することができます。しかしいずれかのエネルギーが増えすぎることで心身に不快な症状が現われたり、増えすぎることで病気にもなります。

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ドーシャは乱れるもの、それを整えるには?

では、これらのドーシャが乱れないようにするためにはどうすればよいのでしょうか。そもそも「ドーシャ」という言葉に「乱れる」という意味があり、つまり乱れるものであることが前提なので、乱れる前にそのドーシャに適した生活習慣で整える、または未病の時点でドーシャの乱れを見つけてドーシャを生まれ持った状態=乱れる前の状態に戻す、というのがアーユルヴェーダの健康法です。

アーユルヴェーダドーシャを整えるためにディナチャリヤという“一日の過ごし方”に沿って生活することをすすめていますが、この中でヨガと瞑想をすることを推奨しています。

ヨガの実践が育むバランスのとれた心

ヨガ本来の目的は「サマーディに至る=瞑想をして大いなるものと一つになる」というもので、そのために行う流れを「ヨガの八支則」といい、サマーディを含み8つあります。

八支則の1-2番目は禁戒と歓戒、道徳的な教えです。社会や周りの人に対してやってはいけないことや自制を促すこと、そして自分の内側へと意識を向けることを教えています。

3番目はアーサナで、ポーズをすることはこれに該当し、本来の目的は瞑想するときに楽に快適に座るために体を整えます。

4番目は調気、呼吸法で生命エネルギーのプラーナを体内に取り込み巡らせます。

5番目は感覚制御。普段外を向いている感覚を内へと向けてより感覚を研ぎ澄ますこと。

6番目は集中。

7番目は瞑想です。

よって、瞑想もヨガの一つです。八支則の7番目までの全ては8番目のサマーディに至るための実践であり、平和で穏やかな心と純粋な意識を育みます。このバランスの取れた心の状態のことをサットヴァと言います。

サットヴァ

心の性質トリグナ

サットヴァは3つの心の性質の一つで、その他の2つの性質は「ラジャス」と「タマス」と呼ばれています。

ラジャスは動性で激しく荒々しくなりやすい。疲れすぎ、頑張りすぎもこれにあたります。

タマスは怠惰、無知を意味しバイタリティーに欠けて心が動きにくく停滞した状態。執着しやすい傾向になります。

ドーシャが本来のバランスを失うと、ラジャスやタマスが現れやすくなり、感情のコントロールが難しくなったり怠惰な生活に陥るなど精神活動にも影響が現れます。サットヴァはバランスが取れている状態で物事を公平に見ることができ、周囲を気にせず自分の誠実な生き方ができます。すなわち、ドーシャを整えるためには心の性質をサットヴァに保つことが必要なのです。

サットヴァがもたらす健康と幸せ

しかしながら、サットヴァでいることは難しく、ラジャスやタマスに心が寄りがちになるのが普通です。だからこそ、生活習慣を整えヨガを生活の中に取り入れることが大切です。ヨガと言うと、アーサナだけに偏りがちになりますが、日常生活の中でも実践しやすい八支則の中のヤマ・ニヤマを学び、思いやり、正直さ、清浄、知足、献身などを実践することが大切です。同じようなドーシャのバランスを持っている人でも人それぞれ個性があります。自分の個性の中の良いところを発揮して生活する方が自分にも周囲の人にも良いに違いありません。健康と幸せを形作るのはやはり自分の内側から。

アーユルヴェーダとヨガを日常に取り入れて心のバランスをうまくとれるようになりましょう。

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AUTHOR

綾

ヨガインストラクター、食養生コーディネーター。幼少期からクラシックバレエ、ダンスなどの身体活動を経験、2004年よりヨガを練習し始める。ヨガの呼吸とバランスの取れた動きと疲れた心身を回復する絶大な効果に感銘を受け、ヨガをライフワークにするためにインストラクターとなる。2005年~2021年までの間スタジオを中心にヨガインストラクターとして活動。現在はオンラインのグループレッスンとプライベートレッスン、対面の産後ヨガ、シニア向けのヨガを教えている。専門は「女性のためのヨガ」であり、女性の様々なライフステージをヨガでサポートするためのクラスやワークショップを開催。精神の学びにはまず体と心の健康が欠かせないという気づきから、食養生とアーユルヴェーダを学び実践中。真の健康と美しさを探求している。



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