【研究で判明】1日1カップの“ある豆”で炎症と悪玉コレステロールが減少！心臓病・糖尿病予防にも？

糖尿病予備軍にうれしい変化が

今回の研究は2025年6月、米国オーランドで開催されたアメリカ栄養学会（American Society for Nutrition）の年次総会「NUTRITION 2025」で発表され、大きな注目を集めている。イリノイ工科大学の研究チームは、糖尿病予備軍と診断された成人72名を対象に、「ヒヨコ豆、黒豆、（比較対象である）白米」3つの食品のいずれかを1日1カップずつ、12週間食べ続けてもらう実験を行った。参加者は特別な食事制限を受けることなく、普段どおりの生活の中でこれらの食品を取り入れるという、現実的で再現性の高い方法がとられた。

すると、ヒヨコ豆を食べたグループは、総コレステロール値が平均で約15mg/dL低下。黒豆を食べたグループでは、炎症を示す「IL-6（インターロイキン6）」という物質の数値が大きく下がった。どちらも、心臓や血管の健康に深く関わる指標だ。つまり、日常の食事を少し変えるだけで、将来の病気予防につながる可能性があることが示された。

豆の食物繊維が体外にコレステロールを排出する

研究を発表したイリノイ工科大学の博士課程研究者モーガン・スミス氏はこう語る。「今回の研究は糖尿病予備軍の方々を対象にしましたが、豆はすべての人におすすめできる食材です。コレステロールや炎症の改善は、心臓病や糖尿病予防に大きく役立ちます。」また、健康情報サイト「HealthDay」の取材に対しても、「豆は健康的な代替食品としても非常に有効です。たとえば赤身肉や加工食品の代わりに使うのがおすすめです」とコメント。研究チームは今後、豆が腸内環境に与える影響にも注目し、さらなる研究を進めるとしている。

一方、研究には参加していないものの、米国登録栄養士のローレン・マネーカー氏は豆の効果についてこう解説する。「豆類に含まれる水溶性食物繊維は、腸内でコレステロールと結びついて体外に排出する働きがあります。これが悪玉コレステロール（LDL）を減らすカギです。」さらに、豆は腸内の善玉菌のエサとなるプレバイオティクス効果もあり、慢性炎症を抑えることにもつながる。

手軽に取り入れるアイデア6選

豆は高価な健康食品とは違い、缶詰・乾燥・冷凍などで安く手に入り、保存もきくという優秀食材。取り入れ方もさまざまだ。

• サラダに加える…栄養バランスも食べごたえもアップ。

• スープやカレーに入れる…煮込むだけで旨みと食物繊維をプラス。

• フムスや黒豆ディップにする…パンや野菜に合わせれば手軽な朝食やおつまみに。

• ご飯や雑穀と混ぜて「豆ごはん」…黒豆ご飯やチックピーボウルでヘルシーな主食に。

• トルティーヤに巻いてタコス風に…スパイスをきかせて満足感たっぷり。

• オーブンでローストしておやつに …パプリカやガーリック風味で“やみつき豆スナック”。

コレステロールと炎症の改善は慢性疾患のリスクを下げる

今回の研究では、血糖値やインスリン感受性に明確な変化は見られなかった。そのため、「豆だけで糖尿病を防げる」とは言い切れない。しかし、研究チームは次のように強調する。「コレステロールと炎症の改善は、糖尿病をはじめとする慢性疾患のリスクを下げる重要な要素です。豆のような栄養価の高い食品を日常的に取り入れることが、健康維持の第一歩です。」健康の第一歩として、今日から豆を食卓に取り入れてみては？

出典：

Eating beans daily may help reduce inflammation, and lower cholesterol
Study finds daily cup of beans boosts heart and metabolic health

These 2 Foods May Help Lower Your Chronic Disease Risk, New Study Say