これからも表現が私を自由にしてくれる。バレエダンサーから看護師へ。生きやすい場所へ向かう今の心境

 これからも表現が私を自由にしてくれる。バレエダンサーから看護師へ。生きやすい場所へ向かう今の心境
私たちの自由な選択
腰塚安菜
腰塚安菜
2024-06-28
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生きづらいなら、自分が生きやすい場所へ逃げてもいい。

ーーこよみさんが仕事の自分から離れる時のリフレッシュは?

こよみさん: 最近気がついたのですが、やっぱり表現することがリフレッシュにもなっているんですね。元気になれるんです。今、踊る機会は特にはありませんが、写真を撮られることや動画に映っている自分を見ることは好きです。

ーー動画で表現することも気分転換の一つに。デジタルネイティブならではの発想でもあり、こよみさんの強みなのかもしれませんね。

こよみさん:出勤日、休日の朝から帰宅後までの食生活のルーティーンを自分のために動画で記録・編集してみるなどもチャレンジしています。

こよみさん
こよみさんにとって、表現することがリフレッシュにもなっている。

ーー仕事と同じくプライベートでも変わっていく自分を楽しんでほしいと思います。これから叶えたい夢や、なりたい自分像はありますか?

こよみさん:そうですね......。次の仕事も悩んでいるので、今はまだ夢を選ぶのは難しいですね。
でも「自分をどうするか」ということなら、自由がほしい。自由になりたいです。自分が幸せになることに罪悪感を抱いてしまっているので、そんな自分に羽をつけてのびのびと生きていきたいです。31歳の誕生日に宣言した目標は「自分が幸せになる選択をしながら生きる」ということでした。

ーー自分がしんどい時、自己表現が心の支えになっていたことも伝わりました。今後も何らかの形で表現することを続けたいですか?

こよみさん:何らかの形で続けたいです。「転職」という形では厳しいと思いますが、華やかなドレスを着るモデルはずっと夢でした。オーディションを過去にも受けたことはありましたが、レッスンを受けなければならず、費用が高額なので諦めました。今は挑戦する予定はないですが、チャンスは探っています。

ーー最後に、こよみさんの下の世代で生きづらさを感じている子へ、ご自身の経験をふまえてアドバイスやメッセージを送ってください。

こよみさん:「逃げてもいい」ということですかね。不登校の子や自ら死を選ぶ子など、多いなと感じています。私も不登校の経験があり、親子で悩みましたが、親の理解もあって「学校に行かなくてもいいや」という選択ができました。
病院で働くことを辞める選択をした時にも「希望が通らなかったので辞めます」とはっきりと言いました。
自分に合う場所となかなか巡り合えないこともありますが、「サボる」と「逃げる」は別だと思うので。
言い換えると、いたくない場所にはいなくていい。絶対どこかには、しっくりくる場所があるから大丈夫、と伝えたいです。

取材後記

今は置かれた現場で十分花を咲かせていたこよみさん。これからの場所は、バレエの舞台でも、医療・看護の現場でもない、外の広い世界にも可能性を感じました。

取材のタイミングで、家族が不調に陥った際もサポート側に周り、自分の心身も不調になりながら、ケアの仕事にも通い続け、三方向で人の健康を支えなければならない場面もこなしていた姿が心に残りました。

医療・看護で人を支える方が、仕事場で表に出せない部分で辛い時があることは、現場に従事していない私たちも理解を深めたいものです。

自分を強く持っていれば、形を変えてずっと表現し続けられること。個性を発揮することが応援されるこの時代に、どんな形でも仕事と両立しながら表現して生きていきたい若者を後押ししてくれる先輩像でした。

自分のケアも大事に、これからも表現を拠り所に自由な選択をしていけるよう、エールを送らせていただきました。

Profile : こよみさん

1993年生まれ。兵庫県出身。関西在住。7歳からクラシックバレエを始め、全国コンクールで上位入賞や名門ロイヤルバレエスクールの留学経験を経て、24歳まで国内外でプロとして活動。怪我をきっかけに引退し看護師免許を取得。自分にとっての幸せとは何か日々模索中。生きやすいライフスタイルを発信していきたい。好きなものはディズニー。

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腰塚安菜

腰塚安菜

慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代から一般社団法人 ソーシャルプロダクツ普及推進協会で「ソーシャルプロダクツ・アワード」審査員を6年間務めた。 2016年よりSDGs、ESD、教育、文化多様性などをテーマにメディアに寄稿。2018年に気候変動に関する国際会議COP24を現地取材。 2021年以降はアフターコロナの健康や働き方、生活をテーマとした執筆に転向。次の海外取材復活を夢に、地域文化や韓国語・フランス語を学習中。コロナ後から少しずつ始めたヨガ歴は約3年。



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