ストレスホルモンにも有効?ヨガの効果を科学的に検証する

 ストレスホルモンにも有効?ヨガの効果を科学的に検証する
Yoga HAWAII Magazine
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コルチゾール

コルチゾールは、闘争・逃走反応のメカニズムの一つとして、恐怖やストレスを感じると副腎から分泌されるストレスホルモンだ。ストレスには良いストレス(快ストレス)と、私が慢性ストレスと呼んでいる悪いストレス(不快ストレス)の二種類がある。快ストレスは、ゴールや新たな一日が待ち受けている時、仕事や一日を終えた時に気分を高揚させる働きがある。

一方、不快ストレスはもやもやした不安感をもたらし、絶えず私たちを望ましくない闘争・逃走反応の状態に陥れる。不快ストレスによって分泌されるコルチゾールが行き場を失うと、血中コルチゾール値が常に高くなり、やがては免疫機能や骨密度の低下、血圧やコレステロール、心臓疾患やうつなどのあらゆる慢性疾患や精神状態を引き起こす。

では不快ストレスを解消するにはどうすればよいのか? ここで登場するのがヨガアサナだ。蓄積されたコルチゾールは、きつい運動を続けることで解消されると言われている。そのため、ヴィンヤサヨガのような心肺機能を高めるスタイルは、ストレス緩和に驚くべき効果を発揮する。ポジティブで健康的な方法によって身体の緊張が解かれると、コルチゾールレベルは正常値に戻る。よくいわれる「ヨガでの高揚感」は、このストレスの解消によるところが大きい。一方、平穏な感覚をもたらす科学的な根拠については呼吸や瞑想が関わっており、さらに迷走神経も関係している。

迷走神経

迷走神経とは、身体の中で最も広く分布する脳神経だ。頭蓋骨の基部から全身にくまなく伸びており、主に呼吸や消化や神経系のシステムを司っている。心拍や呼吸、消化など主な身体機能のすべてを調整している神経だ。

消化や心機能の調子が良く、気分が安定している状態は、迷走神経が整っていて良好に機能している効果によるものだ。「迷走神経のトーンが高い」と、私たちは活発で時にはストレスフルなモードから、リラックスモードに容易に切り替えることができる。迷走神経が正しく機能していれば、人生や困難により楽に対処できるのだ。逆に迷走神経の働きが悪いと「迷走神経のトーンが低下」し、その結果、心拍数が増加したり消化力が落ちたり、気分が変わりやすくなって感情の制御が難しくなる。また「迷走神経のトーンの低下」は、うつやPTSD(心的外傷後ストレス障害)、慢性痛やてんかんとも相関関係がある。ヨガはこれらの状態を改善することがわかっており、それは、定期的なヨガ練習が迷走神経への刺激を促すためと考えられている。

海の呼吸とも呼ばれるウジャイ呼吸は、負荷をかけて行うヨガの呼吸法だ。この呼吸法はリラクゼーション反応を高めると同時に、心拍数の変動性を活性化し、迷走神経のトーンを整えることがわかっている。同様に、管楽器を演奏したり、歌ったり、チャンティングをしたり、柔らかな女性の声を聴くことでも迷走神経が整うという研究結果もある。

穏やかな陰ヨガや、回復を目的とするヨガニドラのような強度の低いヨガも、神経系に良い影響をもたらす。ゆったりとしたヨガ練習は、筋肉の張力を検知するゴルジ腱器官を活性化すると言われる。ゆっくり動きながら回復を促すことで、過度に優位になっている交感神経活動(闘争・逃走反応)が減少し、これをうけて迷走神経のトーンが大きく高まる。これら多くの科学的根拠を信じられるなら、とにかく深く呼吸をして、ヨガを練習しよう。自分の美しくて素晴らしい身体に慈愛をもって寄り添い、不健康なストレスレベルを軽減することが自分のためになると信じよう。さらに、ゆっくりと深い呼吸に集中しながら瞑想すれば、マインドは驚くほど穏やかになり、不快な反応も劇的に抑えられる。練習するヨガの強度が高くても低くても、ストレス解消に大きな効果があるはずだ。

私は今も「悟り」の域にたどり着けないでいるが、ヨガは身体とマインドと魂との深くて大切なつながりに気づかせてくれた。ヨガのおかげでいつも健康でいられるし、霊的な気づき(つまり、意識の進化)への道も歩めている。効果的にストレスに対処すれば、私たちは自分自身を愛するようになる。それはある意味喜ばしいことだ。自分を愛することで、私たちは周りの人ともその愛を分かち合えるようになるからだ。

ヨガはストレスを和らげる
photo by Yoga HAWAII Magazine

教えてくれたのは…サリーナ・ストロフズク
サリーナは、カピオラニ公園で屋外でハタヨガを教えているバラッド・ダス師のもとで練習を始めた。マヤ・ヨガ・スタジオの著名なヨギー、ニッキー・ドーンとエディ・モデスティーニのもとで200時間ヨガティーチャートレーニングを修了し、認定ヨガティーチャーとなった(RYT-200)。サリーナはホノルルでアシュタンガヨガ陰ヨガヨガニドラハタヨガを教えている。サリーナの経歴はこちら

ヨガハワイマガジン/「Yoga Relieves Stress

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by Salina Maxine Surorozuk
Translated by Sachiko Matsunami



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